龍王の番

ちゃこ

文字の大きさ
上 下
5 / 33
2集 龍と番

1

しおりを挟む
2.龍と番


 人間は16の年に選定を受ける。
 生まれた時から番の存在は調べようとするだけなら可能だ。
 しかし、調べる為に使う龍脈の力は人間の赤子や幼子には耐えられず死んでしまう。
 それが耐えられるようになるのが16歳だった。
 龍脈の力を込めた玉に触れると、もしも番が見つかれば玉が反応する。反応しなければ資質なしと見なされ家に帰され人間の男と普通に婚姻が出来る様になるのだ。

 ただ、全国から何千人、何万人と集められ選定を行ったとしても反応が出ることは滅多にない。前回見つかった番でさえ50年前だ。
 龍の寿命は平均が大体5千年。龍王種ともなれば更に長いと聞く。龍の個体数は滅多に増えないがそれも長命種ゆえ。
 龍は龍体にもなれるが人の形も取れるので異形種というよりも人間達にとってみれば近い存在であった。
 また龍人は普通の人間よりも見目麗しいので、忌避感なく憧れとなった。

 そして何故、召集されるのが人間の娘だけかと言えば…。

 龍種には何故か雌がいなかった。
 ではどうやって子孫を残すのか。

 それが番という存在であった。
 番の腹からしか龍は生まれない。
 何故なのかは誰にもわからない。

 だからこそ人間は娘を龍の番にと差し出すのだ。龍に選ばれる事こそ最高の誉れ。
 娘が選ばれれば一族が繁栄する。
 現に50年前に見つかった番の一族は今も繁栄している。

 番はどの龍の番かが判明するとその龍の寿命まで生き長らえるので50年前に見つかった番も現在存命中だ。龍と番が亡くなると一族の加護もなくなるのでその時点までは繁栄する事になる。

 

 とはいえ、見つかるか見つからないか分からぬ番という存在。
 龍達は番を得るとその番を慈しみ、溺愛し、執着するが番が見つからない個体ももちろん存在する。
 龍は本能で番を求めるが、番のいない龍人の末路は悲惨である。
 寿命の半分を過ぎると徐々に理性を失い、凶暴化し破壊衝動に襲われるのだ。
 番を得られない嘆きがそうさせるのか狂ってゆく龍。
 そうなると辺りが破壊され被害が出てしまうのでそうなる前に龍王がその龍人を止める。


 死をもって。


 死でしかその龍を救えなかった。番がいなければ正気にも戻れず、寿命まで暴れ回ってしまう。
 そうならないように龍王が慈悲を与えるのだ。

 輪廻を潜らせて再び番と出会う為に。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

竜王陛下の番……の妹様は、隣国で溺愛される

夕立悠理
恋愛
誰か。誰でもいいの。──わたしを、愛して。 物心着いた時から、アオリに与えられるもの全てが姉のお下がりだった。それでも良かった。家族はアオリを愛していると信じていたから。 けれど姉のスカーレットがこの国の竜王陛下である、レナルドに見初められて全てが変わる。誰も、アオリの名前を呼ぶものがいなくなったのだ。みんな、妹様、とアオリを呼ぶ。孤独に耐えかねたアオリは、隣国へと旅にでることにした。──そこで、自分の本当の運命が待っているとも、知らずに。 ※小説家になろう様にも投稿しています

転生したら竜王様の番になりました

nao
恋愛
私は転生者です。現在5才。あの日父様に連れられて、王宮をおとずれた私は、竜王様の【番】に認定されました。

番が見つけられなかったので諦めて婚約したら、番を見つけてしまった。←今ここ。

三谷朱花
恋愛
息が止まる。 フィオーレがその表現を理解したのは、今日が初めてだった。

竜の血をひく婚約者に溺愛されています。

夢見 歩
恋愛
領地に引き篭るように 慎ましく生活をしていたわたしに いきなり婚約者が出来た。 その相手は竜の血を濃く引いている 自国の第二王子だった。 挨拶程度しか交わしていなかったのに 何故か第二王子に溺愛されていて…?

あなたの運命になりたかった

夕立悠理
恋愛
──あなたの、『運命』になりたかった。  コーデリアには、竜族の恋人ジャレッドがいる。竜族には、それぞれ、番という存在があり、それは運命で定められた結ばれるべき相手だ。けれど、コーデリアは、ジャレッドの番ではなかった。それでも、二人は愛し合い、ジャレッドは、コーデリアにプロポーズする。幸せの絶頂にいたコーデリア。しかし、その翌日、ジャレッドの番だという女性が現れて──。 ※一話あたりの文字数がとても少ないです。 ※小説家になろう様にも投稿しています

『番』という存在

恋愛
義母とその娘に虐げられているリアリーと狼獣人のカインが番として結ばれる物語。 *基本的に1日1話ずつの投稿です。  (カイン視点だけ2話投稿となります。)  書き終えているお話なのでブクマやしおりなどつけていただければ幸いです。 ***2022.7.9 HOTランキング11位!!はじめての投稿でこんなにたくさんの方に読んでいただけてとても嬉しいです!ありがとうございます!

悪役令嬢は地下牢でただこの世界の終わりを願っていたのに変態魔術師と人生をやり直しすることになってしまった

ひよこ麺
恋愛
竜帝が統一しているドラコニア帝国。そこそこ平和に幸せに暮らしていた伯爵令嬢のベアトリーチェ・マグダラはある予言によってその日々を壊された。 『次の竜帝の番は銀髪に紫の瞳をしたこの国の少女である。いかなる場合も彼女を尊重しなければこの国は滅ぶだろう』 その予言により、帝国で唯一銀髪に紫の瞳だったベアトリーチェは第一皇子であるアレクサンドル・ドラコニアと婚約するが、アレクサンドルは、はじめからベアトリーチェに対して微妙な態度を貫いていた。 そして、それはベアトリーチェが隣国に嫁いだ叔母の娘、従兄弟のエリザベス・カスティアリャ子爵令嬢を伴い王宮に入った日に確信へと変わる。エリザベスは隣国の娘だが銀髪に紫の目をしていた。そこからこの国で生まれた彼女こそ運命の番だとアレクサンドルは言い切り冷遇されるようになる。しかし神殿は万が一ベアトリーチェが番だった場合も考えて婚約破棄を行わせず、ベアトリーチェは使用人もほとんどいない荒れた離宮へ幽閉されてしまう。 しかも、あれよあれよといううちにベアトリーチェがエリザベス殺害未遂の冤罪を着せされて処刑されることになってしまい、処刑はアレクサンドルとエリザベスの結婚式ならびに番の儀の翌日に決まる。 地下牢に閉じ込められたベアトリーチェがこの世界を呪っていた時、突然地上から恐ろしい轟音が鳴り響いた。番の儀式が失敗し、アレクサンドルが邪竜になったからだ。世界が滅びるのをただ地下牢から願っていた時、何故か妙にキラキラした男がやってきて……。 ※一部残酷な表現を含みますのでご注意ください。 ※タイトルにミスがあったので修正いたしました。 ※ ノーチェタグ追加のため竜帝タグを消しました。 ※ご指摘いただいたのと思ったより長くなったので『短編』⇒『長編』に変更しました。

処理中です...