龍王の番

遥か昔から人と龍は共生してきた。

龍種は神として人々の信仰を集め、龍は人間に対し加護を与え栄えてきた。

人間達の国はいくつかあれど、その全ての頂点にいるのは龍王が纏める龍王国。

そして龍とは神ではあるが、一つの種でもある為、龍特有の習性があった。


ーーーそれは番。


龍自身にも抗えぬ番を求める渇望に翻弄され身を滅ぼす龍種もいた程。それは大切な珠玉の玉。
龍に見染められれば一生を安泰に生活出来る為、人間にとっては最高の誉れであった。
しかし、龍にとってそれほど特別な存在である番もすぐに見つかるわけではなく、長寿である龍が時には狂ってしまうほど出会える確率は低かった。
同じ時、同じ時代に生まれ落ちる事がどれほど難しいか。如何に最強の種族である龍でも天に任せるしかなかったのである。

それでも番を求める龍種の嘆きは強く、出逢えたらその番を一時も離さず寵愛する為、人間達は我が娘をと龍に差し出すのだ。大陸全土から若い娘に願いを託し、番いであれと。

そして、中でも力の強い龍種に見染められれば一族の誉れであったので、人間の権力者たちは挙って差し出すのだ。


龍王もまた番は未だ見つかっていないーーーー。


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