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初めてなんです
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その声に、いろいろな言い訳を横に置いて、鍵を開けてゆっくりとドアを開け……
「うわっ?」
「そこは、きゃあがいいけど」
そう言いながら、鍵を開けた途端ドアを開け放した大塚さんに、まず文句が言いたい。
「心の準備が!」
「それはここにオレを連れてくるまでに終わってるはず」
なるほど!そりゃそうだ。私が誘ったんだし。
だけど……!
「ま、まだっ……」
「まだできてないなら、もう無理だから、流されてなさい」
厳しいお言葉!
大塚さんが私の腕を掴んで、浴室から言葉通りに引きずり出された。
くっ、バスタオルを落ちないように掴んでいると力が出ない。
「初めてなんです!」
「はいはい。分かってますよ~」
適当なお返事!でも分かっていたなら良かったです!
ひょいと抱えられて、寝室に向かった。
どうしてそこが寝室だと知っているの。いや、扉が一つしかないから当たり前なんだけど。
自分で疑問に思って、自分で答えるというよく分からない思考回路に陥りつつ、なんとか自分を落ち着かせようと試みるが、その前にふわんと体がベッドの上に下ろされた。
多分、大塚さんは私がシャワーを浴びている間に、この部屋に入ったのだろう。
いろいろ確認するために。
だって、一目ぼれして買ったはいいものの、ほとんど使われていなかった間接照明がつけられていた。
私は、バスタオルの結び目を両手で握りしめて、目をうろうろと彷徨わせた。
大塚さん、上半身裸なんだもの!
いつから?いつそんな格好になったっけ?最初から?
「キスも初めて?」
そう聞く言葉が降ってきて、私は考える前に頷いていた。
「そうか」
くすくす小さく笑う声がして、馬鹿にされたのかと視線をようやく大塚さんに向けた。
そこには、優しい瞳で私を見つめる大塚さんがいて、見惚れてしまった。
「真由美……」
その私の視線を受けて、彼の体が私の上にかぶさってくる。
そっと、頬に手を添えられて、私は、初めてのキスを経験した。
「ひゃあああぁぁ」
直後に、乳を揉まれるということも。
そのまま、悲鳴をあげた口を彼の口でふさがれて、柔らかい舌が口の中に入ってきた。
驚いて引っ込んでしまった舌に、彼の舌が絡みついてきて、優しく撫で上げていく。
どうやったらそんな風に舌が動くのかと思うほど絡められて、歯列を辿られて、口内のあらゆるところを探られた。
「ふあ、ん…んぅ」
話には聞いたことがあるけれど、口の中って気持ちいいんだ。
ぼんやりとそんなことを考えた。
キスに夢中になっている間にはぎ取られてしまったバスタオルが放り投げられて、床に落ちたのを横目に見た。
大塚さんの唇が、私の首筋に落ちる。
くすぐったさに一瞬驚いたのに、ちゅうっと吸われて「んっ」と甘い声が漏れた。
そのまま、ゆっくりと胸の方に唇が私の体を辿っていく。
どうしたらいいのだろうと、手がうろうろと宙を舞う。
大塚さんの頭を抱きしめたいけれど、それって、もっととねだっているような動作ではない?
初めてなのに、ねだるような事するのってどうなの?
ああ、どうしたらいいのか分からないっ!
そうやって私が悩んでいると、胸元から笑い声が聞こえた。
顔をあげた大塚さんは、私の頭をよしよしと撫でて、彷徨っていた私の腕を自分の背中へ回した。
初めて触れた男性の背中に、かちんと体が固まる。
そんな私に、触れるだけのキスをして、彼は笑う。
「いろいろ考えなくていいよ。どうやら、たくさん知識だけはあるみたいだけどね?」
そう言いながら、優しく手は私の体を辿る。
それは官能を引き出すものではなくて、ゆっくりと落ち着かせるための手だった。
「別に、正解なんてないから、したいことをしていい」
そう言って、ぎゅうっと抱きしめられた。
「やめて欲しいことは言うし、して欲しいことは言って?」
「むむむむむ無理っ」
言うなんてことはできませんっと首を振れば、優しいキスが降ってくる。
「別に言葉攻めしようとは思ってないけど」
にやりと、意地の悪い顔が見えた。
「やってみたくなるような顔をするね」
どんな顔ですかあ?
問いかける前に、キスをされて、大塚さんの手の動きが再開する。
大きな手で私の大き目の胸が形を変える。
少し強いくらいの力で揉まれてるのに、それがしびれるような感覚を連れてくる。
電車の中でのことが頭をかすめて、体がびくりと震えた。
その震えをきっかけに、大塚さんの頭が私の胸へと降りていき、先端を口に含んだ。
「ひゃあ、あっ…ぁんっ」
ちゅうっと吸われながら、大塚さんの口内で先端部分だけが舌で甚振られている。
遊ばれているように舌がくるんくるんとその部分を回して。
それだけなのに、声を我慢できないほど気持ちが良かった。
もどかしいような感覚が体を襲ってくる。
彼の背中を力いっぱい抱きしめると、大塚さんが笑ったような気がした。
「うわっ?」
「そこは、きゃあがいいけど」
そう言いながら、鍵を開けた途端ドアを開け放した大塚さんに、まず文句が言いたい。
「心の準備が!」
「それはここにオレを連れてくるまでに終わってるはず」
なるほど!そりゃそうだ。私が誘ったんだし。
だけど……!
「ま、まだっ……」
「まだできてないなら、もう無理だから、流されてなさい」
厳しいお言葉!
大塚さんが私の腕を掴んで、浴室から言葉通りに引きずり出された。
くっ、バスタオルを落ちないように掴んでいると力が出ない。
「初めてなんです!」
「はいはい。分かってますよ~」
適当なお返事!でも分かっていたなら良かったです!
ひょいと抱えられて、寝室に向かった。
どうしてそこが寝室だと知っているの。いや、扉が一つしかないから当たり前なんだけど。
自分で疑問に思って、自分で答えるというよく分からない思考回路に陥りつつ、なんとか自分を落ち着かせようと試みるが、その前にふわんと体がベッドの上に下ろされた。
多分、大塚さんは私がシャワーを浴びている間に、この部屋に入ったのだろう。
いろいろ確認するために。
だって、一目ぼれして買ったはいいものの、ほとんど使われていなかった間接照明がつけられていた。
私は、バスタオルの結び目を両手で握りしめて、目をうろうろと彷徨わせた。
大塚さん、上半身裸なんだもの!
いつから?いつそんな格好になったっけ?最初から?
「キスも初めて?」
そう聞く言葉が降ってきて、私は考える前に頷いていた。
「そうか」
くすくす小さく笑う声がして、馬鹿にされたのかと視線をようやく大塚さんに向けた。
そこには、優しい瞳で私を見つめる大塚さんがいて、見惚れてしまった。
「真由美……」
その私の視線を受けて、彼の体が私の上にかぶさってくる。
そっと、頬に手を添えられて、私は、初めてのキスを経験した。
「ひゃあああぁぁ」
直後に、乳を揉まれるということも。
そのまま、悲鳴をあげた口を彼の口でふさがれて、柔らかい舌が口の中に入ってきた。
驚いて引っ込んでしまった舌に、彼の舌が絡みついてきて、優しく撫で上げていく。
どうやったらそんな風に舌が動くのかと思うほど絡められて、歯列を辿られて、口内のあらゆるところを探られた。
「ふあ、ん…んぅ」
話には聞いたことがあるけれど、口の中って気持ちいいんだ。
ぼんやりとそんなことを考えた。
キスに夢中になっている間にはぎ取られてしまったバスタオルが放り投げられて、床に落ちたのを横目に見た。
大塚さんの唇が、私の首筋に落ちる。
くすぐったさに一瞬驚いたのに、ちゅうっと吸われて「んっ」と甘い声が漏れた。
そのまま、ゆっくりと胸の方に唇が私の体を辿っていく。
どうしたらいいのだろうと、手がうろうろと宙を舞う。
大塚さんの頭を抱きしめたいけれど、それって、もっととねだっているような動作ではない?
初めてなのに、ねだるような事するのってどうなの?
ああ、どうしたらいいのか分からないっ!
そうやって私が悩んでいると、胸元から笑い声が聞こえた。
顔をあげた大塚さんは、私の頭をよしよしと撫でて、彷徨っていた私の腕を自分の背中へ回した。
初めて触れた男性の背中に、かちんと体が固まる。
そんな私に、触れるだけのキスをして、彼は笑う。
「いろいろ考えなくていいよ。どうやら、たくさん知識だけはあるみたいだけどね?」
そう言いながら、優しく手は私の体を辿る。
それは官能を引き出すものではなくて、ゆっくりと落ち着かせるための手だった。
「別に、正解なんてないから、したいことをしていい」
そう言って、ぎゅうっと抱きしめられた。
「やめて欲しいことは言うし、して欲しいことは言って?」
「むむむむむ無理っ」
言うなんてことはできませんっと首を振れば、優しいキスが降ってくる。
「別に言葉攻めしようとは思ってないけど」
にやりと、意地の悪い顔が見えた。
「やってみたくなるような顔をするね」
どんな顔ですかあ?
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「ひゃあ、あっ…ぁんっ」
ちゅうっと吸われながら、大塚さんの口内で先端部分だけが舌で甚振られている。
遊ばれているように舌がくるんくるんとその部分を回して。
それだけなのに、声を我慢できないほど気持ちが良かった。
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