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彼女

まだ最中

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「はっ……ぁんっ!んんぅ、ふっ……あぁ」
胸がびりびりする。
右も左も交互に舐められて吸われて、吸われていないときは大きな手に包まれる。時々たわむれに先端を弾かれて、全身がびくりと震える。
「せとさ……、せとさっ……!も、むりぃ」
舌で乳首を弾いている彼の頭を捕まえて、咲綾は懇願する。
このまま続けられたら、溶けてしまう。彼の頭を捕まえている両手さえ、力が入らなくて震えてしまっているから、今は起き上がることすらできないだろう。
「ああ……夢中になりすぎた。悪い」
ようやく唇が離れたと思ったら、ぐりっと両方の先端が胸の中に押し込まれる。
「ひゃあぁんっ」
痛いはずなのに、咲綾は嬌声をあげてしまっていた。
うまく息ができなくて、はくはくとエサを欲しがる金魚のように息継ぎをしないと、シーツの上で溺れてしまいそうだ。
「気持ちよさそうだな」
からかうように言われ、恥ずかしさに体温が上がる。
胸なんか触られて気持ちよくなるはずがないと思っていた。自分で触ったって全然気持ちよくなったことなんてないのに。
見下ろした胸は、中心がぷっくりと立ち上がって、唾液に濡れてぬらぬらと光っている。自分の体だと思いたくないほどいやらしい。
胸を隠そうとした途端、腕を取られて、体のわきに固定されてしまう。
彼の頭は、今度は胸からしたへ、おへそへと舌を滑らせ……

「ひゃ、あ、あっ!?」

陽介の唇ばかりに集中していたら、両足を持ち上げられ、そのまま左右に開かれてしまった。
開かれた足の間に空気が入って、すうっと冷たさを感じる。
思ってもみない感覚に、体が揺れる。
――濡れてる!?
さっきまで、そんな感じ全く無かったのに?漏れたような感覚もないから、きっとこれが気持ちよくなって濡れるということなんだと思うけど、触られてもないのに濡れたりするもの?
これはおかしいのかおかしくないのか。
気持ちよくなるとあそこが濡れるということはしっているけれど、触られてもいないこのタイミングで濡れていてもいいのか。咲綾が処女だとバレたのは、濡れ方が少なかったからというのもあったように思う。だったら、今、これだけ濡れているっていうのは……。
「どうかしたか?」
咲綾がアタフタしているのに気がついて、陽介が顔を覗き込んでくる。
暗いからきっと、咲綾のあそこが濡れているとは気がついていないのだろう。
――だったら、陽介が触る前に、彼の指を濡らしてしまえばいい。
咲綾の足を掴んでいた陽介の手を引っ張る。
予想外の動きだったのか、思った以上に簡単に手を自分の口元に持ってくることができた。
足を開かせていた手がなくなっても、足の間にはすでに陽介がいて閉じることはできない。
きっともう触る気だ。
急がなきゃ。
陽介の指をパクリと口に含む。

「はっ!?」

陽介の驚いた声が聞こえるが、とりあえず逃げられる前に彼の手を唾液でべとべとにしなければ。
「んむ。むぅ……んっ」
人差し指を口に含んで、自分のそれよりずっと長くて太い指に舌を巻きつける。
一本終わったら次、大きな手を捕まえたまま咥えるのは思った以上に重労働だ。知らず、息が上がってくる。
陽介の手がどうしたらいいのか分からないように動く。咥えようとした指が逃げてしまう。
きゅっと彼の腕を両手でつかんで逃げられないようにして舌を伸ばす。

「……マジか」
呆然とした声が聞こえて、指をくわえたまま上を見上げる。
さっきよりも息が荒くなった陽介が、咲綾を見下ろしていた。
指をくわえたまま、どうしたのかと首を傾げる。
ぬるっと口の中の指が動く。絡めていた舌を逆にこすられて口内をまさぐられる。
「ふあっ……!」
ぞわっと背中を寒気とは異なる感覚が走り抜ける。
唾液に濡れた指が顎を掴んで指の代わりに陽介の舌が入り込んでくる。
「物欲しそうにして」
至近距離で陽介がニヤリと笑う。
ぐっと胸を押されたように息が止まる。
本当に、彼の笑顔は心臓に悪い。ときめきすぎて死んでしまう。
陽介の手が、咲綾の秘所に伸びる。
さっき触れられたときは、全く濡れていなくて痛かったそこは、ぬるりと彼の指を包み込む。襞の間を上下にこすられるだけで、気持ちよくて、頭がおかしくなりそうだ。
「こんなにどろどろに濡らしてたのか」
陽介の言葉に、咲綾は顔に熱が集まるのを感じた。

「なんでっ……!」

止まらない手を押しとどめながら、咲綾は言う。しっかりと話そうと思っているけれど、出てくる声は快感にかすれてしまってどうしようもない。
「ぬ、濡れてるの、私が指を舐めたからだからって思わないのっ……!」
あそこが濡れているのをバレないように舐めたのだ。そのために、少々苦しくても結構頑張ったというのに。
陽介は瞬いて、しばらく考えてから「ふはっ」と笑った。

――!!

今の笑顔、写真撮りたかった!待ち受けにして、常時眺めて痛いほど格好良かった!

「なんだ。急かされているかと思っていたら、そういうことか」
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