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私は、義兄を愛している(後編)

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「なんでそんなの持ってるの!?」

いや、自然と押し倒されていることとか、起きているのに気が付いていたようなこととか、いろいろ言いたいことはあるけれど、一番気になったのが、避妊具を朝陽が持っていることだ。
しかも、パッケージが開けられている。
何に使ったの!?
彼女がいたことはなかったはずなのに!
私がショックを受けているのに気が付いていないのか、朝陽は袋を破りながら呑気に答える。
「着けるの、練習しといたほうがいいと聞いたから、練習に何個か使った。……これって、使用期限とかあるのかな?」
朝陽が、自分自身にゴムを装着するのを、思わず見てしまった。
大きくそりあがったアレに、器用にゴムを被せていく。
私の足の間に朝陽が座り込んで、すぐにでも挿入できそうな体勢に、胸が高鳴る。
朝陽は、箱を裏返して「あ、やべ」と呟く。
「使用期限、切れてる。まあ……ずっと前のだからなあ」
言いながら、くちゅくちゅと朝陽自身が襞を往復する。
その動作に迷いが無く、やめようという気がどこにも見当たらない。
「期限、切れてるって……!つ、続けようとしてない?妊娠しちゃったら、どうするの!」
コンドームの不具合に気が付きつつも、やめそうにない動きに、私は慌てる。
快感に酔った体で、どうにか朝陽を押し退けようとしてみる。
「そうなったら、結婚しようよ」
「けっこ……あっ!」
朝陽から飛び出た結婚の言葉に、驚いた瞬間に、ぐりっと肉棒が蕾を押す。
こんな、妊娠する可能性を思い出して危機感を覚えていても、快感に反応してしまう。
「そう、結婚。陽葵……いや?」
下半身は密着したまま、朝陽が私に覆いかぶさる。
両腕を私の顔の両脇に置いて、至近距離で顔を覗き込んでくる。
兄妹でも、こんなに近い距離にいたことはなかった。
少し動けば、唇が降れそうな距離。
下半身さらけ出しといてなんだが、私はキスさえしたことがない。
「陽葵、愛しているんだ。もう、兄ではいられない」
さっきまで呑気にしていると思った朝陽が、苦し気に顔をゆがめる。
同時に、彼が、膣の入り口にぐっと押し付けられる。
「おにっ……ちゃ……!」
「お兄ちゃんじゃない。俺は、最初から陽葵が本当の妹じゃないって知っていたし、初恋だって、妄想の相手だって、陽葵だった」
腰が押し進められて、圧迫感を感じる。
「お兄ちゃん、入っちゃう……!」
「入れたいんだ。陽葵の中に入りたい。だめ?」
首を傾げる仕草が好きだ。
大きな体をして、可愛らしい仕草をする朝陽が、私は大好きだ。
寝たふりしているところをいたずらされて、起きたのを気が付かれてもそのまま続けられて。
流れ作業のようにこの状態にまでなったが、私は、朝陽が好きなのだ。
未来が望めなくても、良いとさえ思えるほど。
私は、手を伸ばして朝陽の頬に添える。
「さ、先にキスがいい……!」
今更、順番なんか関係ないと言われるかもしれないが、処女喪失よりは、ファーストキスは終わらせたい。
朝陽は、少しだけ目を丸くして、ふっと微笑む。
「ああ。陽葵」
名前を呼ばれて、自然と目を閉じた。
柔らかな唇が、そっと触れて、離れる。目を開けば、嬉しそうな朝陽。
すぐに、またキスが降ってくる。
啄むように何度も何度も唇が触れ合い、その心地よさにうっとりと朝陽を見上げる。
「妊娠してもしなくても、結婚はしような」
その言葉に驚く間もなく、体が引き裂かれるような痛みが走る。
「あうっ……!」
あまりの痛みに声をあげるが、朝陽は体を押し進めるのをやめない。
「くっ……。ちょ、陽葵、力抜いて。入らない」
「力って……だって、すごく痛いのにっ」
痛みを我慢している最中に力を抜けとは、無茶を言う。
腰骨を無理矢理ずらされているような痛みの中で、力を抜いてリラックスなんてできるもんか。
朝陽が困ったようにぐりぐりと押し込んでくるが、私は痛くてそれどころじゃない。
「ええ?……これ、入るの?なんか、狭くて入る気がしない」
私の足をぐいと広げて、朝陽が繋がろうとしている部分を覗き込む。
「やあっ……!えっち!」
改めて足を広げて見られると恥ずかしい。
「えっち……って。この状況でさらに俺を悶えさせて、何かメリットがあるの?」
悶えさせたつもりは毛頭ない。メリットなんかあるものか。
しかも、朝陽が私の腰を持ち上げたから、彼の先端が私の穴に入り込んでいるのがしっかりと見えてしまった。
「ああ……本当。えっちな眺め。陽葵のここ、思い切り広がって一生懸命俺を呑み込もうとしてる」
朝陽がつながっている部分を指でなぞる。
その光景と感触に、ぞわりと背筋を駆け上る快感。
「ん?気持ちいい?……ああ、そうか。こっちも一緒に可愛がろう」
そう言って、敏感になりすぎている陰核を柔らかく撫でる。
「やっ……ぁ、そっちは、だめぇ」
悲鳴なような声をあげておいて、「ダメ」なんて思っていない声だと、自分でも思った。
痛みで忘れていた快感が蘇る。
体の奥が、またうるんでくる。
「ああ……入りそうだ」
朝陽が押し進んでくる。
「やああ……」
苦しさに捕まれる何かを探せば、朝陽が手を取って彼の首へ導かれる。
そのまま、朝陽を引き寄せれば、抵抗なく下りてきて、唇を合わせた。
引き裂かれそうに痛くて、圧迫感が強くて息もしにくいのに。

――どうして、気持ちがいいんだろう。

ずん、と重い感触がして、一番、奥まできたのが分かった。
目の前には、嬉しそうな朝陽がいて、私の頬にキスをした。
「ごめんね。動くよ」
こういうのは、私の痛みが去るまでそのままじっとしておくとかあるんじゃあ……!?
なんて耳年増なことを考えたけれど、入ったままだったら、結局痛いものは痛いだけかもしれないとも思う。
「あ、やあっ……!おにっぃちゃ……!!」
「陽葵。朝陽って呼んで」
朝陽の首に回した腕に力を入れると、同じくらいの力で抱きしめられた。そして、名前を呼ぶように促される。
私はいつの間にかにじんでいた涙で霞んだ視界の中、朝陽を必死に見つめて呼んだ。
「あ、朝陽っ……朝陽。あさっ……やあっ……そんなにしちゃ……っあ」
「陽葵、くっ……可愛い。陽葵っ!」
お互いを見つめ合いながら、何度も何度もお互いの名前を呼んだ。
初めて同士だ。何の技巧もない。
朝陽は私を抱きしめて、強く激しく腰を打ち付けた。どんなに激しくしても、彼は私を離さない。
全身を彼に絡めて、貪るようにキスをした。
下半身だけ裸っていう、とんでもない格好で、とんでもない相手と、とんでもない場所で、とても幸せな体験をした。
この後、しっかりと裸になって、朝陽のベッドで朝まで抱き合っていた。

次の日は、シーツとソファーカバーを洗って、汚した理由を誤魔化すために、ラグやマットも洗った。
両親がいない間に大掃除をしておいたよ大作戦だ。


とりあえず、私の一人暮らしが、朝陽との二人暮らしになった。

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