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第5章

第130話 クレーター

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 半田千早は、驚異の世界を驚嘆の眼差しで見ていた。
 ジュラシック・パークは、ごく一部だが図書館で見たことがある。3分ほどの切り取られた映像だった。
 しかし、それとは明らかに違う。眼前の風景のほうが、恐ろしげだ。
 巨大なドラゴンを絞めている巨大なヘビは、どうやって食べるのだろうか、少し呆けているのかとても不思議に思う。
 草食のドラゴンは凶暴で、襲ってきた肉食のドラゴンを食い殺した。殺しただけでなく、食っている。完全な草食ではなく、選択食なのだ。草食ではあるが、機会があれば肉も食う。ジャイアントパンダと同じ。主食はタケやササだが、肉食もする。ネズミやナキウサギを補食することが知られている。
 ということは、このクレーター内のすべてのドラゴンやヘビとトカゲにとって、ヒトは餌となり得るのだ。
 身の毛がよだつほどの恐怖を感じる。

 ナデートは、騎馬隊全体が追撃してくることを確認して、即製の起爆装置のスイッチを入れた。信号は届き、ドラム缶に入れたサンダーで削って作ったアルミの粉と錆びた鉄(酸化鉄)の混合粉末が爆発する。手製のテルミット爆薬が爆発して、装甲ドーザーが地面を削っただけの脆い傾斜路を吹き飛ばした。
 このクレーターの中に追跡者を閉じ込めたのだ。

 低い丘の上で、半田千早は左脇のニューナンブM60の回転弾倉を開け、装弾を確かめた。
 マーニも同じようにS&W M36チーフスペシャルを点検しているはずだ。
 この世界には、苦しい死ともっと苦しい死の2つがある。死を前にして、できることは限られる。苦しみは底なしであり、自らの手で生を終わらせるほうが、幸運なこともある。2人が持つ5連発のリボルバーは、そのための道具だ。
 ニューナンブは俺が初めて手に入れた銃であり、貴重品入れに隠していた。それを半田千早は知っており、自決用にと俺に乞うて自分のものにした。
 マーニは、半田千早のニューナンブを見て「私も!」と商品だったチーフスペシャルを我が物とした。単に半田千早を真似たのか、自決用と知ってか、それは俺にはわからない。
 半田千早は「この世界で、38口径で殺せるとしたら、ヒトだけ」と呟いた。小さな声で、隣に座るヴェインにはまったく聞こえなかった。
 彼女たちの武器で、クレーター内の生物に有効な弾種は、7.62×51ミリNATO弾だけだ。それさえ、どこまで効果があるのか皆目見当が付かない。胴体に1発命中させただけでは、倒せないだろう。
 全車に搭載している機関銃と、マルカラ中継基地の4人が装備するボルトアクション小銃以外は、無力かもしれない。いいや、動きの速い小型の種には、7.62×39ミリ弾を発射するアサルトライフルが有効なはずだ。
 半田千早は、そう思うことにした。

 先頭を走る装甲トラックは、事前の計画通りにクレーターの中心に向かっていく。走りやすいが、地面に細かな凹凸があり、速度は出せない。
 同時に追跡者たちのウマも走りにくく、追いつくことは難しい。
 殿〈しんがり〉を受け持つバギーSは、速度を下げながらも、十分な間合いをとって追跡車の追及を誘った。

 ドラゴンは当初、5輌の車列に興味を示さなかった。しばらくすると、動くものに反応する性質があるらしく、草食、肉食問わず、ごく短時間だが追跡してくる。
 半田千早は、ドラゴンのそういった行動に気付いていた。
「スピード、上げるよ。
 歯を食いしばって、舌噛まないように!」
 オルカは、半田千早がスピード狂であることを知らなかった。
「ふぁぁぁ~!」
 洗濯板のような凹凸のある路面では、高速で走行するほうが車体の振動が少なくなる。
 半田千早はそのことをよく知っていたし、そういう状況でのドライビングテクニックを熟知していた。

 半田千早は、反時計回りで追跡者の周囲を1周した。慌てた追跡者たちは、馬上から発射したが、バギーSに命中弾はなかった。
 彼女はすぐに離脱し、西へと向かう車列の最後尾に位置する。
 バギーSの動きは、小型と中型のドラゴンの注意を引いた。ドラゴンが追跡者たちを追尾し始めたのだ。
 明らかな捕食行動だ。
 後方を監視しているオルカが「ドラゴンがココワのヒトを追ってるよ」と車内通話で伝える。車内通話は、自動的に外部にも伝達され、全車がモニターしている。
 半田千早は「やっぱりね」と言い、続けて「西ユーラシアのドラゴンは音に反応するんだ。アフリカのドラゴンも同じなんだ。おバカちゃんたちが、いきり立って撃ってくると思った。自分たちが発した音で、ドラゴンを引き寄せたんだ」と。
 マニニアンが全車に命令。
「直接的な生命の危険がない限り、発射はひかえる」
 反対はなかった。

 太陽が西に沈み始めている。西ユーラシアのドラゴンは、夜間行動をしない。半田千早はアフリカにおいても、その傾向は変わらないと判断した。
 大きな音を立てなければ、ドラゴンを引き寄せることはない。
 マニニアンも同意見で、夜間は車輌を盾にした囲いの中ならば、車外に出ても大丈夫だと判断した。
 西ユーラシアのドラゴンは、日の入り直前直後と日の出の直前直後に行動が活発になる。夜間の活発な動きはほとんど目撃例がない。スーパームーンに飛行していた、とされる子供の証言があるくらいだ。
 このクレーター内には、飛翔性のドラゴンはいないようだが、長い前肢と後肢の間に広い面積の皮膜を持つ小型種がいる。滑空程度はできるものと、推測している。

 ヘッドライトはもちろん、スモールランプさえも点灯しなかった。
 今夜は新月。
 暗夜だ。
 ナデートが命じ、全車が停止する。5輌で全周防御の配置をし、完全に太陽光が遮断されるまで待つ。
 東の方角から盛んに銃の発射音が響いてくる。追跡者がドラゴンに襲われているのだ。
 ヴェインが「朝まで誰も、生き残れないだろう」とポツリと言った。
 オルカは、ドラゴンを初めて見た。
「こんな恐ろしい生き物がいるなんて……」
 半田千早が否定する。
「ドラゴンよりも、人食いのほうが恐ろしいよ」
 ヴェインが肯定する。
「あぁ、ドラゴンよりも人食いのほうが何百倍も恐ろしい……」
 オルカは内心、西ユーラシアには行きたくないと思った。ドラゴンよりも恐ろしい生き物に囲まれて生活するなど、考えられなかった。
 同時に、西ユーラシアの人々が不屈で、戦上手なのは、その“人食い”という生き物がいるからなのだ、と確信した。
 西ユーラシアの人々は「ヒトとヒトは争ってはならない」と言うが、その理由は“人食い”がいるからなのだ、とも察した。
 同時に西ユーラシアに行ってみたいとも思う。飛行機や自動車を製造できる街とはどんなところか、見たかった。

「車外に出るぞ。
 各車、各銃塔、警戒を厳にせよ」
 ナデートの命令で、各車のドアが開く。
 男も女もスコップを持って用足しに走る。
 昼間でも何度かのトイレ休憩はしていた。こういったことは、西ユーラシアの人々は幼いときから訓練されている。ドラキュロがドラゴンに置き換わっただけだ。
 ヴェインは、半田千早からニューナンブを借りた。丸腰で野糞をたれる度胸がある西ユーラシア人は皆無。そのリボルバーは、オルカに渡される。

 生理的な火急の用が終わると、警戒につく隊員以外が車輌で作った囲みの中に集まる。
 暗くて、顔が見えない。
 マニニアンが「今夜で決着がつく。チハヤの判断はよかった」と言い、ナデートが「まったくだ。こんなところには1分だって長居したくない」と応じた。
 カルロッタが「ここのドラゴンと西ユーラシアのドラゴンは、見かけは違うけど、性質は似ているんだね」と言い、イベリア半島出身で成長するまでドラゴンを知らなかったホティアが「ドラゴンを倒せるようになったのは、最近のことだと聞いた」と応じ、ララが「ドラゴンを倒した戦士は、伝説の英雄になったんだ」と答えた。
 ナデートが翌日の計画を説明する。
「明日、十分に太陽が昇った後、油屋のキャンプに向かう。
 生存者がいた場合、1人のみ捕虜にする。生存者全員の救助はしない」
 また、銃声が轟く。
 マーニが「ビビって撃ちゃうんだよ」と言い、全員が笑う。
 マニニアンが「俺は、人食いのクラスターに囲まれたことがある。いまの状況の何百倍、何千倍も恐ろしかった」と言い、ヴェインが「俺の経験だが、ライフルを撃ちつくし、剣を抜いたときに、偶然近くにいたキャラバンが駆けつけてくれた。無骨なおじさんが、美しい精霊に見えた」と語り、また全員が笑う。
 オルカは赤道以北アフリカよりもはるかに厳しい環境で、西ユーラシアの人々は助け合いながら生きてきたことをうらやましいと思った。

 赤道以北アフリカでは、ヒトとヒトが争っている。

 マニニアンが「チハヤの機転で、2晩が1晩ですむかもしれない。ココワの連中次第だが、できるだけ明日にはここから出よう」と提案し、ナデートが「そうしよう」と賛成する。

 半田千早たち3人は、交代で寝た。
 日の出前、各車は静まりかえる。ドラゴンが活発に行動する時間になったからだ。
 追跡者のキャンプは東にある。そして、生存者がいる。夜通し、散発的に銃声が聞こえていた。
 ドラゴンは夜間行動しない。影に怯えて、撃っているのだ。

 ヘビやトカゲは、気温が下がる夜間は体温を維持できない。外気温によって体温が変動するからだ。昨夜の最低気温は8℃だった。体温が変動する爬虫類が活発に行動できる気温ではない。
 爬虫類ではあるが恒温性のドラゴンは昼行性で、夜間は寝る。
 そして、小型の哺乳類以外見ていない。少なくとも、大型の肉食獣はいない。
 だから、夜間は安全だった。
 暗夜を有効に使ったマルカラ隊と、夜通し怪物の影と戦い続けた追跡者との対峙の瞬間が近付いていた。

 バルカネルビとバマコは、マルカラ隊からの「クレーターらしき地形に入る」との無線を最後に、状況が不明になったことから、焦りを感じていた。
 クレーター内では地形が電波を遮り、通信状態が悪かった。

 バンジェル島は、バマコに1機だけ駐機していたノイリン製スカイバンⅡ“シェルパ”による偵察を要請したが、急病人の輸送がありかなわなかった。
 バルカネルビでは、ノイリン、クフラックが飛行機による捜索を計画していたが、不運にも飛べる機体と飛ばせるパイロットが一致していなかった。
 飛行場の整備隊員は、パイロットなら誰でも飛ばせるノイリン製ボナンザの整備を急いでいたが、完了まで数時間を要する状況だった。

 俺は、マルカラ隊からの連絡が途絶えた直後にバルカネルビに降り立った。

 バンジェル島に配備されているフェアチャイルドC-119フライングボックスカーを改造したガンシップは、定期整備のためノイリンに戻っていた。
 その穴を埋めるため、12.7ミリM2ブローニング重機関銃2挺と7.62ミリMG3機関銃2挺を機体左側面に装備するシェルパ改造のガンシップが試験飛行を始めていた。
 城島由加は、この機を使ってバマコに向かおうとしている。

 イロナは先遣隊2個中隊規模をバマコに送っていた。この隊は、すでに到着している。地上からの捜索のため、北東に向けての移動が命じられている。
 だが、クマンを主力とする捜索隊本隊は編制は完結していたが、いまだバンジェル島対岸にいた。

 俺は商館には向かわず、飛行場に留まっていた。無線が途切れるまでは、半田千早とマーニをそれほど心配してはいなかった。2人のタフさはよく知っているし、恐怖や感情に押し流されて、軽率な行動をするとは思えなかった。
 だが、無線が途絶えたと聞き、父親の愚かさが俺の感情に入り込んでしまった。
 狼狽は見せていないつもりだが、内心は千々に乱れていた。
「ウルヴァリンは飛べるんでしょ!」とのミエリキの声が聞こえる。
 ウルヴァリンは飛行可能だが、この機を飛ばせるパイロットがいない。
 ミエリキは、ピラタスで飛行訓練を受けている。同系機であるウルヴァリンを彼女が飛ばすと主張しているようだ。
 飛行場長は反対している。その理由は、彼女が飛行訓練生であること。だが、ミエリキは単発機の飛行訓練は終えている。航法の訓練も修了している。
 双発機の単独操縦資格がないだけだ。
 俺は2人の娘が心配で、常軌を逸していた。通常の精神状態でない俺は、見境なく飛行場長に頼み込んだ。
「頼む。曲げて、ミエリキの飛行を認めてくれ」
 飛行場長は俺の肩に手を置く。
「ヴルマン初のパイロットに無理をさせたくないんだ。
 だが、父親の気持ちはわかる。
 ミエリキとチハヤの関係も知っている。
 クフラックの航法士にミエリキとの飛行を頼んでくれ。
 それと、ミエリキにはウルヴァリンでの操縦訓練をしてもらう。
 何もかもがピラタスと同じじゃない」

 太陽が十分に昇ってからウルヴァリンが離陸していく。

 クマンの騎馬隊を基幹とする捜索隊先遣隊は、日の出前にバマコを出発した。

 マルカラが襲撃されてから3日目、ようやく脱出した隊員たちの捜索が始まった。

 イロナは、膨れあがった捜索隊の規模に当惑していた。
 総兵力1万。
 クマンは、この戦力を西に送るため輸送隊3万を用意すると伝えてきた。
 クマンはフルギアが持ち込んだカンガブル製戦車を、コムギとの交換で入手していた。操縦訓練は、クフラックとノイリンの協力者によって行われた。
 クマンはこの中古戦車を8輌投入する。威力偵察とするには、本格的な部隊編制だ。
 ノイリンは、軽戦車と戦闘車合計20輌を投入する。
 フルギアやヴルマン、精霊族と鬼神族も戦車を投入する。その数、12輌。
 戦車と戦闘車は、総数40輌に達する。これ以外にも、装輪の装甲兵員輸送車や歩兵戦闘車が参加する。
 輸送は馬車が主力だが、実働部隊は乗馬歩兵と騎兵を除いて機械化されている。
 クマンは金銀での支払いよりも、武器や車輌などの工業製品とのバーター貿易(2国間の輸出入額を均衡させる方式で、物々交換に近い)を好み、西ユーラシア各街から短期間に多くの機械を入手していた。
 クマンはもともと文化的に高い国で、数学、天文、医学などでは、200万年前の技術を一部保持していた。我々が最近使い始めた“原始化”という文明退行にはなっていない。
 西ユーラシアから機械を導入して、ごく短期間で使いこなした。それだけではない。作動の理論も理解していた。
 西ユーラシアからの機械導入に特に積極的であったのは元首パウラで、数カ月で北のバルマドゥ多民族国との経済的・軍事的差を逆転させてしまった。
 セロに対しても圧力を強めている。
 元首パウラは、西ユーラシアとの交易を拡大するには食糧の増産が必須で、そのためには内陸部の開発が不可欠だと考えている。湖水地域を占領する意思はないが、内陸の開発を進めれば、必然的に東方との連携は必要になる。
 そのためには、湖水地域の人々にクマンを知ってもらわなければならないと考えている。クマンが1人、2人と行くのではなく、ある程度のまとまりでの進出をしたかった。
 イロナの捜索計画は、東方進出を画策していた元首パウラによって、ねじ曲げられてしまったと言える。
 だが、元首パウラは、半田千早のことを心底から心配していた。彼女の心配が捜索隊の肥大化につながったとも言える。
 同時に、城島由加は心のどこかで、湖水地域全体ではないにしても一部勢力に対して“許せない”という感情があった。
 娘への性的暴行を喧伝する輩〈やから〉を許せる母親などいない。
 ある意味、ココワの油商人は城島由加というトラの尾を踏んだのだ。半田千早とマーニの無事を確認した後の城島由加が何を考え、どう動くか、それは俺にもわからない。
 確実なことは、ココワの油商人は殲滅される。
 父親たる俺は、母親の暴走を食い止める精神的な余裕がない。
 娘への性的暴行を喧伝する輩を許せる父親などいないから。

 この世界において、第二次世界大戦後の主力戦車は意味をなさない。黒魔族(ギガス)、白魔族(オーク)は戦車を使う。彼らの戦車は、37ミリ対戦車砲で破壊できる。ヒトの主力装備は47ミリ対戦車砲に移行しており、異種の装甲車輌を圧倒できる。
 セロ(手長族)は装甲車輌を持たない。セロの陸上部隊は、装輪装甲車でも制圧できる。セロが厄介な点は飛行船を持つこと、黒魔族の強みはドラゴンを操ること。
 その点、空からの攻撃がない白魔族は、対処しやすい。
 西ユーラシアでは、対空戦車の必要性は感じていたが、105ミリライフル砲や120ミリ滑腔砲を装備する主力戦車が欲しいとは考えていない。
 新たな敵となり得る救世主の存在は意識しているが、現時点で主力戦車は必要ない。
 要求しているのは、城島由加とベルタ。だが、どこまで本気なのかまったく不明。
 この時期、バンジェル島に派遣されている戦車は、アルビスFV101スコーピオンのサスペンション以外をコピーした10トン級軽戦車だった。
 砲塔と備砲もスコーピオンのままだ。150馬力ターボチャージド4気筒ディーゼルを搭載し、整地で時速60キロを発揮した。
 備砲を20ミリのラインメタルRh202機関砲に変えた、戦闘車タイプも送り込んでいる。

 ノイリンでは、金沢壮一が城島由加やベルタが希望する“主力戦車”に近付けた車体の開発を続けていた。
 サスペンションをトーションバーから2輪連動ボギー式に変更し、装甲の厚さを増し、後部車体長を伸ばしたM24チャーフィー軽戦車の車体に、フランス製AMX-13軽戦車の揺動砲塔を搭載する重武装軽戦車だ。主砲も紆余曲折あったが、入手していたフランス製CN-105-57戦車砲のコピーと決定した。
 重量25トンの軽戦車でありながら、反動の小さい44口径105ミリのライフル砲を搭載できた。
 金沢壮一は、このインチキ“主力戦車”をバンジェル島に送る準備を始めていたが、今回の作戦には間に合うはずはなかった。
 また、こんなオーバースペックな代物が輸出できるわけはなく、ノイリン北地区だけの装備とするほかなく、製造数は限られる。
 開発費の回収が難しく、採算は合わない。

 金沢壮一は何年間も、奇妙な予感に苦しんでいた。城島由加やベルタには、自分と同じ“予感”があるのではないか、と漠然とした心の澱のようなものがあった。
 そして、彼がどうにか完成させつつある“主力戦車のようなもの”が、アフリカで必要になる“予感”があった。
 彼は、工場の入口から内部を眺めていた。
「いま、送れるとしたら、2輌か……」
 わずか2輌を戦力と呼べるか?
 自問するがわからない。
 ノイリンの車輌班は、装甲牽引車以外では、営業的に苦戦している。戦車はカンガブルやシェプ中流北岸諸街に分がある。
 車輌班は、性能の追求から、メカニズムに凝る傾向があるからだ。高度なメカニズムは、高コストに直結し、販売実績を引き下げる。
 営業的に成功しなければ、じり貧になっていく。
 それでも、金沢壮一は可能な限り最高の性能を持たせたかった。
 そして、ノイリン北地区の要求、つまり城島由加やベルタの要求に応えたかった。
 彼には、平均的な戦車の全備重量が10トン前後のこの世界で、全長6メートル、全幅3メートル、主砲44口径105ミリ、砲塔と車体の前面装甲50ミリ、重量25トンの重い戦車が営業的に成功するとは思えないが、城島由加やベルタが40トン級戦車を要求するなら、可能な限り答えたかった。

 200万年後の世界で生きていくことは、簡単ではない。
 ヒトは食物連鎖の頂点にはいないし、万物の霊長でもない。比較的大型の雑食性哺乳類の一種に過ぎない。
 ヒトが他の動物よりも優れている点とは、進化の長い道のりを歩まなくとも、道具を作るという行為によって環境への適応をショートカットできることだ。
 道具の発明は進化よりは短期間だが、それでも時間はかかる。突然道具が必要になっても、対処はできない。事前に作っておかなくてはならない。
 金沢壮一は、進化では間に合わない部分を道具でカバーしようとしていた。彼自身、滑稽だと思ってはいたが、それがヒトという生物だ。

 彼は近々、砲口口径105ミリ、砲身長44口径(4.62メートル)のライフル砲を装備する戦車が必要になる、と漠然と感じていた。
 予感ではなく、確信だ。

 グスタフのディラリが指揮するクマンの乗馬歩兵と騎兵は、先行して出発した。
 イロナは、戦車隊の編制完結を待っていた。彼女の戦車隊は“連合戦車隊”と呼ばれていた。
 最終的にヒトが西アフリカにおいて保有する、稼働可能なほぼすべての装甲車輌が集められた。
 用途や装甲の厚さにかかわらず、装軌と装輪の装甲車輌は例外なく招集をかけた。
 連合戦車隊に随伴する輸送隊も機械化されている。隊員の総数ならば、1個連隊規模はある。
 編制の途中だが、装甲車輌だけで100輌に達する可能性がある。
 空前の大部隊だ。

 マルカラ隊は、太陽が十分に昇ってから本格的な車外作業を始め、出発の準備に取りかかる。十分に用心しながら、燃料の補給と、武器の点検を行う。
 各車の車載機関銃は、バギーSを除くと500発程度しかない。最も発射速度の遅いM60機関銃でも、1分間に500発発射できる。
 500発では、計算上なら1分間で撃ち切ってしまう弾数なのだ。
 バギーSには半載の3000発があったが、給弾に弾帯を使用しない構造であることから、弾薬自体は共有できても、MG3やM60が使用している非分離型金属弾帯がなければ融通することができなかった。
 7.62×39ミリ自動小銃弾も少ない。半田千早とオルカは正規装備数を持っていたが、ナデートやマニニアンたちは、弾倉を2個ほどしか持っていない。
 正規装備数は弾倉6だから、3分の1しかないのだ。
 西ユーラシアにおいて、ドラキュロに襲われた場合、弾倉を交換する余裕はない。ドラキュロの群れは10から15頭が通常だから、30発弾倉の自動小銃ならば、予備弾倉1個で十分なのだ。
 ナデートやマニニアンたちはもちろん、半田千早だってヒトと戦うつもりなんてない。盗賊は機関銃を装備する装甲車輌なんて、最初から狙わない。
 半田千早はマーニに「はい、これ」と言って、バナナ型の弾倉を2個渡す。オルカは、ホティアに手のひらに2個置いた。
「ホティアとララで使って……」
 パイロットたちは、予備弾倉さえ持っていなかった。拳銃は装備していたが……。

 何人かが空のジェリカンを手に提げている。燃料の補給が終わったのだ。
 ナデートが気難しい顔をしている。
「これから、追っ手のキャンプに向かう。
 銃声が途絶えてから数時間だが、生き残りがいる可能性がある。銃撃戦になるかもしれない。安易に車外には出るな。車外に出る場合は、命令する。
 決して個人判断はするな。
 生きて帰ろう」
 全員が頷く。

「ギャッ!」という声が聞こえた。
 農業班の1人が車輌の囲みから出ていた。何をしようとしていたのか?
 車上銃塔の隊員は、ナデートの話に意識の半分を振り向けていて、周囲の見張りが疎かになっていた。
 それに、全周の視界の中にドラゴンはいなかった。ドラゴンはガソリンの臭いを嫌う、という不確実な言い伝えがある。吸血鬼はニンニクを嫌う、といった類いの話だ。
 だが、マニニアンは車輌の周りに軽油を撒いてみた。結果、ドラゴンは近寄ってこなくなった。現象的には効果があった。
 だから、マルカラ隊の全員にドラゴンに対する警戒心が薄れていた。

 マニニアンが絶句する。1人の農業班員が巨大なヘビに締め上げられている。大柄な男が、胴体はもちろん、首の付け根から太股までをヘビに巻かれ、明らかに息絶えている。
 ヘビは骨格を完全に破壊したヒトを、頭から飲み込もうとしていた。
 ナデートが銃を構える。
 それを、マニニアンが制止する。
 ホティアが「ナデートが、みんなで帰ろう、って言ったのに……」と呟き、マーニが半田千早の背後から抱きついて、嗚咽を漏らす。
 マニニアンがバギーSの車体側面から斧を外すと、車輌分の斧を構える男が5人。
 マニニアンが、ヒトに巻き付いたヘビの胴に斧を振り下ろす。
 ヘビの牙がマニニアンを襲う。ヘビの頭はヒトの頭よりも大きい。
 マニニアンに向かうヘビの背後から、ナデートが一撃を加える。
 そして、ヘビの頭が胴から離れるまで、斧が振り下ろされる。

 装甲ドーザーのブレードで、できるだけ深い穴を掘った。ヘビの犠牲となった農業班員を毛布に包み横たえる。
 そして、彼の上に厚く土がかけられる。その上から軽油を撒く。
 ドラゴンに遺体を荒らされないためだ。

 低速で東に向かって走るバギーSの車内は、空気が重かった。半田千早は、重苦しい雰囲気に耐えかねて、何か言わないと、と考えるが言葉が見つからない。

 追跡者のキャンプは、ヒトとウマの砕かれた骨が散乱していたが、無傷の生存者が4人いた。他にもいるかもしれないが、マルカラ隊5輌を見て、助けを乞うて姿を現したのは4人だけだった。
 ドラゴンの姿はない。あの動物の補食行動は、昨日の日没を期して終わっていた。夜間は気温が低く、ヘビやトカゲが属する体温の維持ができない有隣目は行動しなかった。
 そして、哺乳類の大型捕食者はいない。
 追跡者は一晩中、恐怖が見せる影と戦っていた。

 4人は、5輌を見て駆け寄ってきた。顔には安堵が溢れている。
 最後尾にいた半田千早は、4人の顔を見てイラッとした。
 殺そうと思っていたのか?
 捕らえようとしていたのか?
 捕らえて、油田の在処を吐かせ、その後はどうするつもりだったのか?
 やはり、殺すのか?
 捕らえた女の子は、どうするつもりだったのか?
 ただで殺すわけはないよね?
 追跡者は残り数メートル走ると、装甲トラックの左側面に達する位置まで近寄っている。
 生き残りの嬉しそうな顔を見ていたら、半田千早はムカついてきた。
「オルカ!
 あいつらの足下に掃射!
 絶対にあてちゃダメ!」
 オルカが掃射する。

 4人は驚きの表情で立ち止まる。
 半田千早は「オルカ、空に向けて派手に撃って!」と言い、オルカは「了解!」と軽快な声で答える。
 銃声は乾いた大気を振るわせ、彼方まで轟いた。
 最初に現れたのは、体高1メートルほどの小型のドラゴンだった。2メートル級の中型も姿を見せる。
 彼らの身体的な動きは、ヒトとは次元が異なる。圧倒的に速い。
 半田千早がヴェインから無線マイクを受け取る。
「行こう」
 応答はなかったが、先頭の装甲ドーザーが前進を始める。
 ナデートとマニニアンは、捕虜の確保を命令しなかった。

 4人は必死でマルカラ隊を追ってくる。先頭の装甲ドーザーは、時速20キロほどで前進する。必死で走れば追い付けそうに感じる速度だ。

 銃塔のオルカには聞こえていた。
「止まってくれ!」
「おいていかないで!」
「助けて!」

 オルカは笑い出したかった。
「助けてって言ってるよ。あいつら、助けてって泣く女の子を助けたことないでしょ。多分だけど……」
 最後尾を走る1人が食われる。小型のドラゴンは、獲物を生きながら食う。残り3人が捕食される。
 半田千早は、左ドアミラー越しに4人が食われる様子を見ていた。
 感じるものは、何もなかった。
 ただ、「おまえたちの死に様は、親父さんに教えてやるよ」と誰にも聞こえないように呟いた。

 低空を通過した機体は、ウルヴァリンだった。小さなのぞき窓からの一瞬でも、ララが見誤るはずがない。
 ララは上部ハッチの1つを開けて、上半身を車外に出し、真っ青な空を見上げる。
「ウルヴァリンだ!
 誰が飛ばしているの!」

 ダブルキャブの装甲トラックは、空から呼びかける無線を傍受していた。
「マルカラ隊を発見!
 車輌5。
 東に向かっている」
 マニニアンは、上空の飛行機との通信を試みる。
「私は、マルカラの農業班隊長マニニアン。
 上空の飛行機、応答されたし」
「私は、ヴルマンのミエリキ。
 あなたたちを探しに来た。
 全員無事?」
「いいや、男性1人死亡。
 他は怪我人・病人ともいない。
 ココワの追っ手は全滅した」

 俺はバルカネルビの飛行場で「男性1人死亡」の報に接し、内心ホッとしていた。半田千早とマーニは、無事だと……。
 そんな思いを誰かに悟られまいと、俺の精神は自分の本質とは異なる過激な方向に進んだ。俺は、鉄骨と木材で作られた管制塔にいた。
「飛行場長。
 少しの人数でいい。
 貸してくれないか。
 ココワに行く」
 飛行場長が気色ばむ。
「危険すぎる。
 ココワに乗り込むなんて!」
 管制官が報告。
「まもなく、ジブラルタルからフェニックスが到着します」

 フェニックスから降りてきた男を見て、俺は驚いた。
「デュランダル……」
「ハンダ、しばらくだ」
「コーカレイはたいへんだろう?」
「ベルタがいる。
 いまは、チハヤたちだ」
 デュランダルが俺に耳打ちする。
「マーニを助けに来た」
 俺もデュランダルの耳だけに言葉を伝える。
「マーニと千早は助かった。
 俺は、2人を危ない目に遭わせたクソジジイを殺しに行く」
 デュランダルが目を細める。
「付き合うぞ」

 格納庫の前で、俺とデュランダル、飛行場長が話し込んでいると、整備員がメモを届けてくれた。
「ハンダ様宛秘密電です」
 デュランダルが「何だ?」と。
 俺は驚き呆れた。
「由加からだ。
 例の男は殺すな、とある。
 自分が殺るそうだ」
 デュランダルの顔色が変わる。
「怒らせたようだな」
 俺の顔もこわばっている。自分でもわかるほど……。
「死人がたくさん出る。
 ココワの油商人は壊滅する。
 俺が得た情報では、事の起こりは千早にあるんだ。
 あいつが、ココワの油商人の1人にバイオ・ディーゼルの販売を持ちかけた。
 マルカラで作っていたやつだ。
 で、連中はマルカラで油田が発見されたと勘違いした。
 油田の占領を狙って、マルカラ中継基地を襲ったんだ。
 俺が調べた限りなんだが……。
 湖水地域の燃料事情は、ココワの油商人が独占している。
 連中は政治には興味がなく、平たく言えば金儲けだけなんだ。
 だが、経済的連鎖の頂点にいる。
 結局は誰も逆らえない。法の埒外〈らちがい〉の存在だった。
 燃料の供給源、油田の在処はごく少数の油商人幹部しか知らない。
 それが、バレル七家だ。セブンスブラザースとも呼ばれている。
 油田の所在はバレル家しか知らない。そして、バレル家は数百年の間に7つに分かれた。本家や分家といった序列はなく、フラットな関係らしい。
 バレル七家の下に二四支家がある。バレルを名乗れないが、バレルの血筋らしい。
 性的欲望の強い家系らしく、数十人の妻を持つ男もいるそうだ。
 バレル家は七家と二四支家で、最近まで経済的に湖水地域を支配していたらしい。
 そこに、西ユーラシアや西アフリカからヒトがやって来た。
 燃料持参でね。
 しかも、この地で燃料を売ろうとした。
 バレル家一族は、パニックに陥った……。
 それが、今回の騒ぎの発端なんだ」
 デュランダルが付け加える。
「油田だが、ニジェール川の河口から400キロ上流にある。ベヌエ川との合流部のやや南だ。
 バレル七家のうち2つの家系は絶えていて、存在しない。残り5つの家系のうち、3つは没落している。
 その没落した家系の一部が、救世主に通じた。
 油田は、救世主に奪われている。現在は、河口から800キロ上流のカインジ湖岸のどこかにある備蓄基地の残存分しかない。
 ただ、ニジェール川東岸の油田は救世主に奪われたが、やや上流の西岸油田はまだ確保しているとの情報もある」
 飛行場長が驚く。
「お2人は、それらをノイリンやコーカレイにいながら調べたのですか!」
 デュランダルが頷く。

 俺は剣聖デュランダルの顔をよく見る。齢を重ねた様子はあるが、まだまだ若い。
「バレル家討伐は、由加に任せよう。
 その替わり、俺たちはもう少し厄介なことにあたる。
 バレル家崩壊後の湖水地域全体の秩序をどうするか」
 デュランダルが微笑む。
「ここは、白魔族との戦いの最前線になる。安定してもらわないと困るからな」

 俺とデュランダルは傲慢にも、湖水地域の人々の頭越しに、この一帯の安定をどうするか、模索し始めていた。 
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