里穂の不倫

半道海豚

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Episode-12 新たな犠牲者

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 午後になると雨脚が強まり、買い物は断念。
 娘はゲーム三昧。
 私と夫は、私たちの部屋で映画の鑑賞。夕食は夫が作ってくれることになり、夕食までは2人でまったり。
 ドアを開けていないと、室外の音がまったく聞こえないので。一応、空けたままにしてあります。
 2人でローソファーに座り、私が夫にもたれかかり、夫は私の髪をいじっています。
 私が動くと、夫の手が移動範囲に届けば、身体のどこかが触られています。
 つま先だったり、お尻だったり、いろいろです。私は夫に触られていると、とても落ち着くんです。
 ゆったりとした部屋着を着ているので、夫の手はいつでも好きなところを触れます。
 腰に手を回されていて、部屋着の中に手が入ってきて、お腹を触られると、この手が上に行くのか、下に行くのか、すごく気になります。
 お腹を触られるのも気持ちいいのですが、アラフォーなのでさすがに恥ずかしがらないと……。

 夫が私の脇腹を2回つまみました。
 これは、私から離れるよ、という合図です。
 夫が戻ってきて、私が背もたれから背中を離せば、手を回せ、という無言の要求です。
 手を回してくれて、そのままいろいろと触ってくれると、できるだけ身体を寄せます。

 映画を見終わり、ダイニングに行くと、娘が降りてきました。
 ゲームに飽きたようです。
 娘がいても少しだけならベタベタします。

 3人でおやつを食べ、お茶を飲んでいたら、娘が部屋に駆け戻り、ドタドタと駆け下りてきました。
「黒髭やろ。
 負けた人は、2人からデコピン」
 娘に付き合って、3人で樽に剣を順番に刺していきます。
 夫が全滅。確実に負けるんです。最初の一刺しで、海賊が飛び出たことも。
「パパ、ダメじゃん。
 弱すぎるよ」
 夫がムキになって、娘に挑みますが、結局負けるんです。娘は力一杯デコピン。加減を知りません。
 3人で大騒ぎしていたら、夕暮れになりました。
 食事の準備、お風呂の準備、忙しいです。
 夫は不思議そうに、樽に入ったおじさんを見ています。CPUを搭載していないマシンは、夫に対して無敵なんです。

 娘がお風呂から出てきたので、私は試しに言ってみました。
「ママ、パパと入っていい?」
 娘キョトン。
 こりゃダメだな、と思ったので「冗談」と言ったのですが、娘はなぜか残念そう。
「陽咲ちゃんのママとパパは、旅行に行くと必ず一緒にお風呂入るんだって。
 ママとパパもそうかと思った」
 夫が固まっています。
 こりゃダメだ。
「ママが先に入るから、その次はパパね」

 夕食は生姜焼きでした。もちろん、夫が作ってくれました。

 夫は夜になっても黒髭をいじっています。
「何?
 どうしたのぉ?」
 私が笑うと、夫が私と目を合わせません。
「おかしい。
 俺が負ける確率が高すぎる」
 私が音楽をかけます。
「私とする?」
「いいけど。
 ルールは?
 デコピンはナシ」
「負けた方が命令に従う」
「王様ゲーム?」
「そうだね。
 変則王様ゲーム」

 剣4本目で夫の負け。
 パジャマの下を脱がせます。
 これで、夫は本気モード。
 パジャマと下着しか着ていないので、全裸になってからが真の戦いです。
 夫が先に裸になりましたが、私もすぐにすべて脱がされました。
 私が負けました。
「広げて見せて」
 私はM字開脚にして、自分で広げます。
「自分でしたの初めて」
 夫がジッと観察しています。
 やっと解放。
 夫が負け。
「自分でしてみて」
 夫にオナニーを要求。
 夫が見せつけるように、自分でします。
 私の負け。
「四つん這いで、アナルを見せて」
 すごく恥ずかしい格好をします。

 夫が我慢できなくなり、激しくアナルを舐めます。私は、誰にも遠慮せず声を出します。
 その後の展開は予測できます。
 やはりバックで入れてきました。
 私が激しく痙攣し、動かなくなると、夫が心配してやめました。
「大丈夫?」
「やめちゃダメでしょ」
 また再開。
 最近の私は、ときどき意識が飛ぶというか、頭の中が真っ白になるんです。
 この夜は、結構長く頭の中が真っ白になり、声も出さず、反応がない状態になったとか。
 このあとなんです。戻ってきた瞬間の感覚が最高に気持ちいいんです。こんなこと、私の身体を知りつくした、夫とでないとできません。
 たぶん……。

 フラフラな私に、夫がショーツを履かせてくれます。パジャマの上を着せて、ボタンを留めてくれました。
 私はヨロヨロとベッドへ。
 夫もベッドに。
 今夜も抱き合って寝ました。

 朝から暖かいです。
 昨夜、寝たままの姿で、ダイニングでコーヒーを飲んでいます。ショーツの色はダークレッド。
 娘も起きています。
 私のこの格好にも慣れたみたい。
 私は両足に軽いしびれがあり、夫がまだ中にあるように感じます。
 この感覚は以前にもありましたが、私は慣れていません。

 今日は、四輪バギーが体験できるコースに行ってみます。片道15キロのドライブになります。

 出発の前、運転席で私がモジモジしていると、ルーフに手をついて私と会話していた夫が笑います。
「入ったままみたいに感じるの」
 私がそう言ったからです。もちろん、夫のはとれていません。しっかり目視確認しました。

 そこは、スキー場の跡地のようなところで、スキーリフトの鉄柱が残っていました。
 施設もスキー場のレストハウスを転用しています。
 車輌の貸し出しはないし、ヘルメットやプロテクターも自前になります。
 娘は、自転車用のヘルメットとインラインスケートのプロテクターをもっていきました。
 ちゃんとした装備ではありませんでした。わずか15キロしか離れていないので、私と娘はクルマで、夫は四輪バギーに乗って向かいました。

 コースには走行する車輌数に制限があり、走行時間の制限もあります。
 自転車のヘルメットは許可されず、特別に貸していただきました。
 娘は12歳以下コースをゆっくりと走り、大喜びでした。
「明日も来たい!」
「明日はオンライン授業でしょ」
 こんな会話をしました。
 娘は、雪のない季節の遊びを発見したようです。

 一度、山荘に戻り、ホームセンターでウッドデッキ用のテーブルと椅子、バイクショップで子供用モトクロス製品を購入しました。
 娘はヘルメットの色や形状にこだわり、お気に入りを見つけました。

 夫が野菜を洗っていて、私がシンクに近付くと、耳元でささやきました。
「まだ、入ってる?」
「あっ、しない」
「よかった」
「何で?」
「入ってたら、入れられないだろ」
 私が笑うと、娘が「ないしょ話ズルイよ」と文句。
 でも、この会話には入れません。

 翌日は平日なので、夫は仕事。娘はオンライン授業です。
 私は本を読むことにしました。
 コミックだけど。

 19時過ぎ、前職の会社の友人からメールがありました。もちろん個人のアドレスからです。
 私は夫にメールを見せ、夫が読みます。
「秘書課の仁科さんが自殺未遂です。婚約破棄のショックじゃないかって」
 夫が怪訝な顔をします。
「この仁科さんって?」
「アラサーかな。
 背が高くてきれいな人」
「例の社内妻と関係ある?」
「ない。
 お父様は経産省の官僚よ。
 あるわけない」
「そうなら、ないな。
 無関係だろう」

 夕食後、夫は22時まで部屋にこもって仕事をしていました。私は、私物のノートパソコンでドラマを見ながら、ウィスキーの水割りを飲んでいます。

「今日は終わった」
「お疲れ様でした」
 夫が私の柿の種に手を出します。
「何か作ってあげようか?」
「優しいんだ。
 下心があるんでしょ」
「ないよ」
「ウソ~。
 私にエッチなこと、したいんでしょ」
「飲み過ぎてる?」
「大丈夫。
 ちゃんとできるよ」
「何が?」
「言わせないでぇ~」
「おいで」
 夫に手を引かれて、私たちの部屋に行きました。

 パジャマを脱がせてもらい、ショーツもすぐに剥ぎ取られ。
 ベッドに上半身を俯せに、膝は床からわずかに浮いていました。この格好はよくさせるんです。私も楽だし。
 やはり、いつも通りにアナルを舐められます。でも、今夜は私がしてあげたかったんです。
「私がしてあげる」
 夫は私を起こしベッドの上に横方向で寝かせました。
 両足の膝から先がベッドからダラリと下がり、頭もベッドから出ていました。
 ちょうど、のけぞるように喉が伸び、頭のてっぺんが床を向いています。
 自然と口が開き、そこに夫が入ってきました。
 ビックリするフェラの姿勢です。
 私は動けないので、夫が動きます。ちょっと苦しいけど、犯されている感が素敵で、口が閉じにくい分、夫に舌を絡めつかせます。
「里穂の線がよく見える。
 きれいな一本線だね」
 私がおかしくて笑おうとしても、ヘンな声になってしまいます。
 夫が私を起こし、ごく普通にベッドに寝かせます。
「舐める、入れる、選んで」
「入れてほしい!」
 夫は私の感触をゆっくり楽しむつもりなのはわかっていましたが、私が我慢できませんでした。
 私の激しい反応に、夫がつられて動き、射精の瞬間、夫が離れようとしたので、私は咄嗟に抱き付き足を夫の腰にからめて、阻止しました。

「ダメだよ。
 出ちゃったじゃない」
 夫の文句に「大丈夫だよ。ちゃんと考えてるから……」と私が甘えます。
 いつものように夫が拭いてくれて、ショーツの行方を捜してくれます。
 私はショーツを履きながら、「あの格好、すごいよね。明日もやろうよ」と。
 夫が「寝起きにもう1回いい?」と聞くので、私は「いいよ。寝てたら起こして」と答えました。

 せっかくのお休みなのに雨。
 この日は娘の提案で、予報を信じて朝から絶叫マシンに乗りに遊園地に行きました。
 予報の通り、お昼前には雨が上がりました。

 この頃、私たちは特別なイベントがなくても、山荘ライフを楽しむようになっていました。
 娘は家の周りを四輪バギーで回り、そのバギーコースを兼ねて、花壇を作ったり、ウッドデッキにシェードを取り付けたり、燻製釜を作ったり、ピザ釜を作る計画もあります。
 ほぼ正方形の土地は、とても使い勝手がよく、いろいろな楽しみ方ができます。
 燻製は、何でも燻製にします。お肉、お魚、チーズ、ゆで卵、ちくわ、豆腐、たくあん、何でも。
 鶏ササミの燻製は、お酒の肴に最高。
 もちろん、夫が作り、私が食べる係です。
 スーパーで買えるものは、何でも燻製にします。夫は朝から燻製作り、私はウッドデッキで読書、コミックだけど。娘は飽きもせずグルグル回ります。
 おいしいラムが手に入るので、ジンギスカン鍋も買っちゃいました。
 食べて、動いて、また食べる生活です。
 夜は充実のエッチ。

 夫が「朝風呂入りたいなぁ」と。
 私が「いいね」と。
 娘が「ママとパパで入れば」と。
 夫が「舞も一緒に入る?」と尋ね、娘が即座に「絶対ヤダよ」と全否定。
 夫ガッカリ。
「じゃぁ、ママ入ろう」
「先に入ってて、バスタオルとか持っていくから」
 娘がビックリしています。本気にはしていなかったみたい。

 夫と一緒に湯船に浸かり、夫が面白い話をするので、私がキャッキャと騒いでいたら、娘が覗きに来ました。
 浴室のドアは閉めていません。
「うるさかったぁ」
 私が娘に尋ねると、不満げに「すっごく仲よさそう」と。

 もっと一緒に入っていたかったけれど、娘の教育上の見地から出ました。
 裸でいたかったけれど、娘がいるので、部屋着にしました。
 夫が「露天風呂があるといいね」と、私は「ガラス張りのお風呂がいいよ。南側に作れないかな」と勝手な希望。お風呂で盛り上がる両親を娘は完全無視。

 ゴールデンウィークは、瞬く間に終わりました。

 終業時間になり、その日の出勤社員が「お先に」と退勤しました。
 真琴さん以外は……。
「里穂さん、相談していい?」
「仕事のこと?」
 真琴さんは頭を振り「彼氏のこと」と。
 私は、別れ話かぁ、と感じました。
「喫茶店とか行く?」
「居酒屋がいい」
「珍しいね」
「うん」
「パパに電話するね」
 私は、真琴さんと飲んで帰ることを夫に伝えました。夫は「飲み過ぎたら、電話しろよ」と。

 とりあえず、ビールで乾杯。焼き鳥盛り合わせとシシャモを頼みます。
 チェーン店ではない、昭和っぽい居酒屋です。いい女2人には、ちょっと場違い。テーブル席に向かい合って座ります。
「実は……」
 真琴さんが切り出しました。
「彼のお父様が、彼に私の家族と顔合わせをさせろって」
 私は、何が問題なのかわかりません。
「ママとパパじゃダメなの?」
「彼が言うには、お父様ってちょっとヤバイ系みたい」
「どういうこと?
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「彼も、子供の頃からよく殴られたって。
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「パパは文句言わないよ。
 パパもそんな感じだし。
 私たちは披露宴どころか、結婚式も挙げてないし。そもそも、2人とも付き合いのある身内がいない」
「彼、お父様が怖いみたい」
「殴られ続けたから……」
「少しでも逆らうことが、恐ろしいって」
「そんなに怖いの?」
「お父様の声を聞いただけで、震えてしまうとか」
「う~ん」
「彼、新興の家電メーカーに勤めているんだけど、そこがお父様が勤める銀行から融資を受けているの」
「それ、彼氏さんとは関係ないでしょ」
「何だけど、お父様が彼に『俺に従わなければ、おまえの勤め先に圧力をかけて、おまえを辞めさせるぞ』と脅したんだって」
「ただの脅しでしょ」
「私もそう思うけど、彼は怖がっていた。
 何をするかわからないって」
 私が「すいませ~ん。冷酒、グラス2つ」と注文し、店員さんがグラスを持ってくると、真琴さんが「タコの唐揚げとクジラベーコン」を注文します。
「で、彼が怯えて、私に両家家族の顔合わせを、頼んできたの」
「うん、ならママとパパでいいんじゃない」
「ダメでしょ。
 あの2人だけじゃ、大暴れしちゃうよ。
 下手すりゃ、DV親父が病院送りになる」
「パパは暴力なんて、無縁だよ」
「そうだけど、ママは違う。
 パパが雰囲気悪くして、ママがぶちこわす」
「それはあるかぁ~」
「それで、里穂さんにも来てほしいの」
「私が?
 どういう立場で?」
「継母」
「えぇ~、それヤダ」
「だから、頼んでいるの」
「飲まなきゃやってられない」
「飲も。パパに迎えに来てもらおう」
「真琴ちゃん、今日はウチに泊まりな」

 翌朝、夫は真琴さんの恰好に気圧されて、両家家族の顔合わせに同意しました。
 真琴さんに、交際している男性がいることさえ知らなかったので、ややパニクっていました。
 恰好は、いつもの私と同じ。パジャマの上だけ。娘のそういう恰好を見て、どうしたらいいかわからなくなったみたい。
 娘が「お姉ちゃん、パパにパンツ見られて恥ずかしくないの」と質すと、真琴さんは「パパなんだから恥ずかしくないよ」と答えていました。

 真琴さんが在宅勤務のために、自分のマンションに帰る支度を終えると、夫は私と真琴さんを呼びました。
 3人がダイニングテーブルの椅子に座ります。
「姐御、ママから電話があった。
 昨夜だ。
 詳細はわからないが、里穂の前の勤め先で、自殺未遂の女性がいたが、その人のお父さんが姐御の事務所を訪れた。
 やはり、狭間社長と関係があるらしい。
 話しの途中で、父親は怒りに震え、泣いていたそうだ。
 詳細はわからないし、姐御も核心部分は話さない。だが、動きがあったので、警戒しろ、と言っていた」

 両家家族の顔合わせは、1カ月後にフレンチの個室で行われました。
 彼氏側は、彼氏、両親、兄。
 真琴さん側は、当人、実父母、私と娘です。
 最初から父親の態度は、ひどいものでした。
 真琴さんを私生児と呼び、現在はフリーランスの夫は野良犬呼ばわり。
 金融関係以外のビジネスマンは、人以下の存在だそうです。
 ただ、夫を見直した点がありました。例えかわいい娘のためであっても、あそこまでマウントされ、野良犬、ヒモと蔑まれても、華麗にスルーするんです。
 料理がとてもまずかった……。
 反転攻勢は、真白さんでした。
 父親が「で、父親のいない子供をおもしろ半分で作ったあなたは、どんなご職業ですか?」
 真白さんは、娘を侮辱されて怒っていました。
「弁護士です。
 刑事が専門です」
「ベ、ベ・ン・ゴ・シ……」
「えぇ。
 私はもともとは公務員、正確には特別国家公務員。平たく言えば自衛官でした」
「自衛隊……」
「そうです。
 自衛隊にもいろいろな職種、古い言い方だと兵科があります。
 私は警務隊、昔風にいえば憲兵でした」
「ケ・ン・ペ・イ」
 夫が真白さんを見て、首を横に振ります。「言うな」と言っています。
 真白さんは夫を無視します。
「昔のことですが、バルカン半島の小国で、宗教原理主義グループがホテルを襲い数日間占拠しました。
 そこで、大勢が殺されたんです。人気の観光地だったので、日本人もたくさん宿泊していました。彼ら彼女たちも殺されました……。年齢に関係なく。
 私の後頭部に理解できない言葉を話す男が銃口を突き付けたんです。死を覚悟しました。両目をつぶり、恐怖に怯えながら、死を受け入れました。
 でも、死ななかった。
 娘の父親に助けられたんです。
 いい男に見えましたよ。そのシチュエーションなら当然ですよ。女はね。
 で、そういうことになった。
 お父様が望んでいるような、キャバ嬢と客の関係でなくてごめんなさいね」
 父親は「作り話か」と笑いました。
 真白さんは、テーブルにファイルを置きます。かなり厚い……。
「憲兵なんて仕事を経験し、刑事被告人の弁護をやっていると、人の裏側をイヤってほど見るんですよ。
 で、娘の相手が心配になった……。
 だけど、彼氏を調べたら、娘に嫌われる。こんな母親でも娘には嫌われたくはないんですよ。
 仕方ないので、父親を調べさせてもらいました。私の事務所と提携している調査会社、いわゆる興信所にね。
 で、いろいろとわかりました」
 真白さんは、中指でファイルを叩きます。
 お父様の顔が青白くなっています。
「もし、これ以上、娘を侮辱するなら、塀の内側に入ってもらいます。
 私は法律家なんで、悪事は見過ごせないですよ」
 お父様は「ヒィ」という悲鳴とも、雄叫びでもない奇妙な声を発して、個室を出て行きました。
 娘が不思議そうに「あの意地悪なおじちゃん、どうしたの」と尋ねたら、夫が「もっと意地悪なおばちゃんがやっつけたんだよ」と言ったんです。
 娘は「パパがやっつければいいのに」と不満顔。
 その場が大爆笑。彼氏さんの兄だけが空気でした。
 彼氏さんのお母様が突然。
「先生、相談したいことが……」
 真白さんは躊躇わずに「受任します」と答えました。
 お母様は透き通るような白い肌のとてもきれいな方でした。長男さんはお父様似、次男の彼氏さんは明らかにお母様似でした。

 最近、前職の友人たちが続々と辞めています。多くは女性の管理職で、家族からの「辞めろ」が最終的な動機ですが、遠因は社長の常軌を逸した行動にあります。
 社長室につながるヤリ部屋もその1つです。
 その部屋は隠滅のためでしょう、発見からわずか1晩で跡形もなく壊されたそうです。
 親しかった経理部の係長も辞めるとか。
 メールでは「仁科主任は、性接待要員だったとのうわさ」とありました。
 性接待?
 また、おぞましい言葉が出てきました。
 社内では「女性管理職は、全員社長のお手つき」との噂も流れていると……。
 また、以前、社員が利用できない福利厚生施設があることが社内で噂になったことがあり、最近その施設の名がアルカディアだとわかったとか。
 私の知らなかったことが、少しずつ漏れ出し始めたようです。
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