里穂の不倫

半道海豚

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Episode7 冬の前に

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 年内に、それも本格的な冬になる前に、私たちの山荘の工事を終わらせることになりました。
 幸いにも、壁の断熱材は状態がよく、痛みがひどかった床は全面的に張り替えることになりました。
 最初は消極的だった私ですが、楽しみになってきました。
 それと、1階16畳の防音を可能な限りしっかりとしていただくことをお願いしました。
 ステレオをガンガン鳴らしたいので。
 嘘です。
 私が気を使わずアンアン声を出したいので。
 今年のお正月は、山荘で迎えられそうです。

 夫に「家電とかどうする?」って尋ねたら、まったく考えていませんでした。
「洗濯機、冷蔵庫、炊飯器……。
 かなりお金がかかるよ」
「……」
 夫は沈黙。しばらくして「慰謝料は?」って。
 私は「薪ストーブに使っちゃたよ」と嘘。「俺、もう金ないよ」
 確かに、それほど多くは残ってないでしょう。里穂ちゃんとのいけない行為に、つぎ込んでいるので……。
「じゃぁ、家電は私が出すよ。
 これ、貸しだからね」
「あ、ありがとう」

 夫は里穂ちゃんとの4時間コースを2回も楽しんでいます。
 メイドの里穂にもお金を払ってくれないかな。花嫁の里穂はリアルすぎて、ダメみたい。

 はっきりとは聞いていないのですが、奥様はお子様を奪還したみたいです。一緒に住んでいるとの情報が……。
 よかった。

 年末年始の話題が出始めると、社長との問題は越年を覚悟しなければならなくなりました。
 社長のクルマを見かけることはなくなりましたが、替わって興信所らしい人物が、私たち家族のことを調べているようです。
 気を付けないと……。

 夫が「コンパクトミニバンの中古を見つけたんだけど、見に行く?」と。
 私は山荘の工事を見に行きたいし、それにクルマを買い換える余裕なんてありません。「今週末でないとダメなの?」
「明日の夜はどう?
 早く帰ってくるからさ」
「見るだけよ」
「それでいいから」

 当然、娘も付いてきました。
 夜の中古車屋さん。防犯のためか、明るいです。
「1.5リットルの3列シート7人乗り。
 カーナビ付きでこの値段」
「え!
 嘘!」
 30万円なんです。
「総額50万くらいかも」
 娘は大喜び。
 夫が続けます。
「タイヤは交換しないと、とりあえずスタッドレスを着ければいいよ。雪が降ると困るから」
 驚いたことに、お店に店員さんが残っていて、事務所から出てきたんです。
「年式は古いけど、整備記録簿が残っていて、故障や修理状況がわかりますよ」
 夫が「ここ、修理しているでしょ」と言い、店員さんは少し考えます。
「ラジエーターまでいってます。あとはライトと上部のフレーム。だけどフロアは無傷です。
 数年前の事故ですね。修理はデーラーがしています」
「だから、安い?」
「そうですね。
 でも、エンジンを降ろしたんで、そのときにマウント類も交換したんです。
 ある意味、お買い得ですよ。
 車内を見ますか?」
「お願いします」

 もう娘は大喜び。
「私一番後ろ!」
 運転席からの視界がいいので、運転はしやすそう。

 夫が何か店員さんと話しています。

 戻ってきました。
「今日は遅いから、帰ろう」

 山荘の資金には余裕があるので、50万円なら出せます。
 それを言い出すかどうかは別問題。
 夫の様子を見ます。

 あれから夫はクルマのことを何も言いません。やっぱり、諦めたのでしょう。
 あれもこれもは贅沢すぎます。

 山荘のリフォームが終わりに近付いた頃、少しだけ早く帰ってきた夫が「見せたいものがある」と言いました。
 この時間なので、私はまたエッチなことかなって期待したんですが、裏切られました。
 夫が手招きし、娘が「私も行く!」と付いてきました。
 中古車屋さんで見たのと同型だけど、色違いのクルマがマンションの敷地内に……。
「親父のクルマだ。
 廃車にして、ガレージに置いていた。
 あの中古車屋さんは、整備が専門なんだ。コイツを整備して車検を通すには、いくらかかるか相談した。
 それと、2台はいらないから、いまのを処分してくれるかも尋ねてんだ。
 22年落ちだけど、走行が少ないからまだまだ乗れる」
 娘はもう乗っています。
「どっか行こう?」

 この夜、新しいクルマを来客用駐車場に止め、初ドライブは金曜の夜と決まりました。

 山荘は、エアコンの設置やテラスの工事が残るだけで、建物は完成していました。
 明日、引き渡しです。
 家具や家電は何もありませんが、電気は点くので泊まることができます。
 今夜は、泊まることにしていました。
 新居での初めての夜です。
 娘の部屋は2階なので、深夜ですが、寝具を運びます。
 娘は興奮気味でしたが、フローリングに敷いた布団に入って2時には寝ました。
 私と夫は、1階16畳の部屋に布団を敷きます。

 私はドキドキでした。
 絶対にされることがわかっていたので……。 でも……。
 寒くてお布団から出られません。暖房なしでは、かなり強烈な寒さです。
 結局、お布団の中で普通のエッチになっちゃいました。すっごく期待して、心の準備をしていたのに……。

 翌日、施工会社と完成検査をして、正式に引き渡しされました。
 その日は、エアコンの設置、私たちのマンションから発送した荷物の受け取り、家電製品の受け取りと、大忙しでした。
 でも、ようやく住めるようになりました。
 ベッドは使わなくなっていた私と娘のシングルベッド2つ。
 なるべく節約しました。
 家電も高価なものではありません。単身パックみたいなセット品です。
 食器や絨毯など、まだまだ足りないものは多いですが……。
 オール電化です。だから、電気がなくなると、何もできません。

 学校が冬休みになったら、私と娘はここで生活します。私はリモートワークになります。
 前職の社長が何をしてくるのか予測ができないので、しばらく避難します。
 夫は自宅に帰ります。
 寂しいけど、仕方ないです。
 すべて、私の不倫が原因です。

 1階16畳の防音効果を試すと、会話できないほどの大音量で音楽を流しても、室外にはまったく漏れません。
 あまりの効果に驚いています。
 これなら、好きなだけ声を出せます。

 お隣とお向かい、と言っても結構歩くんですが、菓子折を持って挨拶に行きました。
 週末だけの方やリタイヤしてお住まいの方がいて、みなさん親切です。
 娘はお隣で、初めて落ち葉焚きを見て「ウチでもやろう」と。煙が出ている落ち葉の下から、アルミホイルに包まれたお芋が出てきて大感激。
 やることがたくさんあるのに、明日はマンションに帰らないといけません。

 初めてのお風呂は、夫ではなく、娘でした。そういうことを気にする人ではありませんが、私は気にしました。でも、夫は「舞ちゃん、初風呂~」と囃し立てていました。結果、初めてのお風呂を堪能したのは娘です。
 そして、遊び疲れていたので、20時には寝てしまいました。

 この家は、16畳の部屋から脱衣所を通って直接浴室に行けます。
 夫とお風呂に入り、普通に会話していました。
「ここって、雪降るの?」
「降るよ。
 そんなには積もらないけどね」
「雪道、自信ないなぁ~」
「ボードとか、行ったことないの?」
「スノーボード?」
「うん。
 行くなら、雪道を運転するでしょ」
「ないなぁ~。
 大学の頃は貧乏だったし」
「スキー場ってあるの?」
「大きなスキー場はないけど、ファミリー向けみたいなのはあるよ」
「スノーボードできるの?」
「いや。
 でもスキーはできる。
 10年以上やってないけど」
「今年の冬、行ってみる?」
「スキー場に?」
「うん。行こうよ!」
「俺、もうお金ないよ」
「誰かに貢いだから?」
「……」
「昨日は里穂としたから、今日は里穂ちゃんとする?」
 夫のリーサルウェポンが一気に巨大化します。
「なにこれ!
 そんなに里穂ちゃんが好きなのぉ~」

 夫にはダイニングで30分待ってもらいました。
「いいよぉ~」と声をかけると、夫が入室します。
 里穂ちゃんはベッドに腰掛けています。
 今日は黄色のスウェットワンピースで、ショーツは黒。休日の里穂ちゃんは、いつもノーブラです。

 夫は一眼レフを手にしていたのですが、私、里穂ちゃんを見ると、カメラを静かに床に置き、襲ってきたのです。
 いつもは冷静に、お尻を丹念に撫でて楽しむのですが、今日は違ってました。
 私はビックリして、本気で「キャー」って叫びました。すごい力でベッドに押し倒され、反動で上がった両足を抱えると、両手をショーツの両脇に入れて、一気に脱がされました。
 それから、夫は慌ててジャージと下着を脱ぎ、いきなり入れてきました。
 力任せで強引な動きで、一気に出されちゃいました。外には出してくれたのですが、スウェットワンピに大量にかかってしまい……。
 夫は床に胡座をかいて座り、肩で息をしています。

 私も息絶え絶えといった感じで、すぐには起き上がれませんでした。
 私は左腕を額にのせ、呼吸を整えようとしていました。すごい声を出していたと思います。喉が痛いのだから……。

 夫は信じられないことを言いました。
「里穂ちゃん、今日は早く終わったから、半額にして」
「えぇ~、ヤダぁ~」
 これは里穂ちゃんではなく、里穂が言いました。

「ワンピが、精子でベトベト」
 私がそう言うと、夫はワンピを触り、自分の精子を指に着け、私に舐めさせました。
 私は精子を舐めたばかりの口で、夫にキスしました。
「ちゃんと履いて、部屋の外で待ってて。
 里穂に戻るから」

 里穂に戻った私の身体に、夫はいつもと同じように舌を這わせてきました。
「里穂、好きだよ。
 お金、払えって言わないし」
「えぇ~、何それ~」

 翌朝、娘が「夜、外から悲鳴みたいのが聞こえたよ」と。
 私は焦っちゃいました。
「きっと、動物よ」
「動物って?」
「シカとか、リスとか、フクロウとか」
「うそ、いるの!」
「いるよ。ここなら」
「見たい、見たい、見たい」
 夫は私と娘の会話を微笑んで聞いていました。

 年の瀬、という言葉がちらほら聞こえだした頃、真白さんから電話が……。
「社長側の代理人が辞任しちゃった。
 里穂さんが住んでいるマンションの管理組合が、警察に通報したことが影響しているみたい。
 それと、社長が代理人に相談せず、あまり筋のよくない興信所を使って、奈々さんや里穂さんを調べていることがわかったとか。
 私が調べた限りでは、そういうことらしい。
 弁護士は逃げたんだよ。
 また、振り出しに戻った。
 この件、厄介だね。
 危害を加えてくるとは思えないけど、一応、身辺には気を付けて」

 私は、本格的に怖くなってきました。

 今年の年末年始は曜日の配分がよく、長くお休みできます。
 私と娘は先にクルマで山荘へ行き、夫は仕事を片付けてから、数日遅れて中央線と富士急を使って来ることになりました。

 私と娘が山荘に着いたのは、クリスマスイブの昼前でした。

 夫から聞いた話です。
 仕事納めが終わり、夫だけが出社していたクリスマスの翌日、突然、社長の新しい代理人だと名乗る女性の弁護士さんが尋ねてきたそうです。そのときの録音を聞きました。
 夫を新藤健昭と確認してから、話し始めます。
「私の依頼人とあなたの奥様との不貞に関することで、お話ししたいのですが」
 社長の代理人は、会社が仕事を納めたあととは思っていなかったようです。
 夫が会議室に案内します。
「社員がいませんので、お茶も出せませんがご容赦ください」
「もう、仕事納めとは思わなかったので……。
 依頼人は、この問題を年越ししたくないと、お考えです。
 不貞に関して、謝罪し、謝罪の証として、相応の慰謝料を支払う用意があります」
「前の代理人さんにもお伝えしましたが、私は謝罪と慰謝料は求めていません。
 単に事実関係を確認したいのです」
「そのことは、伺っています。
 ですが、事実確認に何の意味があるのでしょう?
 不毛に思えますが……」
「私は妻から詳細な証言を得ています。ただ、妻の証言の正誤はわかりません。密室でのことですからね。嘘をついている可能性もあるのです。
 だから、一方の当事者である間男さんの証言を事実確認というカタチで得たいのです」
「もし、証言に食い違いがあった場合は、どうされるのですか?」
「再度、妻に確認し、虚偽があれば離婚します」
 私は夫から何も聞かれていません。実際、当事者である私よりも、夫のほうが詳しいはずです。
 離婚の言葉に狼狽えましたが、嘘の以前に何も質されていないのです。
「奥様とは関係を再構築されているのではありませんか?」
「そういう事実はありません。
 単に方針が未決定なだけです」
「……」
 代理人は困ってしまったようです。
「謝罪を受け入れ、賠償を受け取り、再構築は考えられませんか?」
「あり得ないです。
 そもそも、私と妻との関係において、あなたの依頼人の存在は薄い」
「……」
 弁護士さんは、明らかに当惑しています。
「謝罪するとか、賠償するとか、そんな必要はないんです。
 私は何も気にしていないので。
 しかし、妻は違います。妻は家族です。私が今後も守り続ける価値があるのかを確認しなければなりません。
 事実確認については、私からのお願いです。イヤならそれでいいんです。
 社員から、ヤリ逃げ野郎と陰口を言われて一生を終えるだけですから」
「何も気にしないとおっしゃいましたね?」
「はい」
「奥様は、依頼人と不貞をしたのですよ。
 それが、気にならないんですか!」
 弁護士さんは、やや感情的になっています。
「女性にこういう発言はどうかと思うのですが、適当な表現が思いつかないので容赦してください」
「かまいませんよ」
「バイブレーターに嫉妬する男はいませんよ」
 女性の弁護士さんが呆気にとられていることが、音声だけでもわかります。
 夫がたたみかけます。
「先生は、狭間社長の代理人ですよね」
「はい」
「狭間社長のクルマが私が住むマンションの近くで頻繁に目撃されていたようで、不審なクルマとしてマンションの管理組合が警察に通報した件はご存じですか?
 それと、離婚を望んでおられる社長の奥様にストーカーまがいの付きまといをしていること。
 それと、筋のよくない興信所を使って、私の妻や社長の奥様を調べていることについてはどうですか?」
「……」
 弁護士さんは、明らかに動揺しています。
 夫が突き放します。
「私は、私の家族である妻を守る義務があります。あなたが、私の家族を傷付ける側に回るなら、私は容赦しない。
 傷付けるとは、危害を加えるという意味です」
「あなたが、謝罪を受け入れ、慰謝料を受け取れば解決することでしょう!」
 女性の弁護士さんは、完全に感情的になりました。
「解決しませんよ」
「……」
「社長さんは、謝罪をして、慰謝料を払って、妻と関係を続けるつもりですからね」
「……」
「自分が耕した畑に、自分の種をまくことは、権利だそうです」
「……」
「他人の畑を勝手に耕して、種をまき、収穫してもいいと思うんですか?」
「……」
「高額の報酬につられて受任したんだろうけど、ちょっと情けないよ。
 お帰りください」
 これ以後、弁護士さんは一言も発しなかったとか。
 以前、真白さんが「新藤を敵に回すなんて、ただのバカだよ」と。
 何となくわかります。

 私はこのことを真白さんに伝えました。音声データも送りました。
 真白さんからの情報では、奈々さん関係の社長の代理人は男性だそうです。
 さらに、ややこしくなってきました。

 山荘の床下、高い土台の内部は、以前は車庫でした。普通の乗用車なら、楽々入ります。
 ですが車庫として使わなくなったのか、ブロックを積んで完全に塞いであったのです。
 この鉄筋の入っていないブロックの壁を崩して、シャッターを付けてもらいました。
 物置として、十分な広さがあります。

 夫からメールです。夫はLINEは使いません。そういう種族らしいです。
 談合坂に着いた?
 電車のはず。
 どういうことなんだろう?

 烏の濡れ羽色、と言うのでしょうか。とても美しいスポーツカーに乗って来たんです。
 そのクルマを車庫に入れ、シャッターを降ろします。
「あのクルマ、何?」
「俺の」
「えっ!」
「ガレージはしばらくしたら解約する。
 親父の持ち物は、ここに移す」
「……」
「画像、見せたことあるよね」
「……」
「触っちゃダメだよ」
「……」

 夕食後、娘の目を盗んで、夫に質します。
「あのクルマに、何人の女の人を乗せたの?」
「1人もいないよ」
「ウソ~」
「ウソじゃないよ。
 里穂ちゃんでも乗せない。
 というか、里穂ちゃんは乗せない」
「私は?」
「……」
「乗るからね」
「……」

 どうしても必要な家具を買いに、ホームセンターに行きました。
 パソコンデスクとチェアを3人分と、夫のベッド。夫は「折りたたみベッドがいいよ」と、寝心地なんてどうでもいいみたい。
 食器棚は括り付けがあるので、とりあえず大丈夫。
 どうしても必要なものだけ買いました。
 林の中に住んでいるのに、薪になる木がなくて、薪を買いました。
 これで、薪ストーブが使えます。
 ウッドデッキのテーブルと椅子がほしいですが、また今度にします。

 薪ストーブに火が入ると、娘はその前から動かなくなりました。
 そしてポツリと。
「犬飼いたい」
 私と夫がスルーすると、娘がムキになります。
「このへんの家は、みんな犬飼ってんだよ。ウチも飼おうよ。
 おっきい子がいいよ」

 悪戯な夫に、聞き分けのない娘。
 私はたいへんです。

 夜になると、娘は少し落ち着かなくなります。都会と違い、外が真っ暗になるからでしょう。
 でも、身体をよく動かすためか、寝付けば朝まで起きません。

 お湯の節約を理由にして、夫と一緒にお風呂に入っています。
 お風呂のあと、夫に肩から背中にかけてエッチじゃないマッサージをしてもらうと、気持ちよすぎて寝てしまいそうになります。
 これを、頻繁にやってもらっています。
 しばらくすると、夫のエッチなマッサージが始まります。

 夫は私のお尻が好きで、触ったり、叩いたり、舐めたり、噛んだり、いろいろします。
 夫がお尻を持ち上げたので、私は足を広げます。もちろん、舐めてほしいところがあるからです。
「ねぇ、永久脱毛しちゃおうか?」
「剃る楽しみがなくなるよ」
「だけど、ときどきジョリジョリになってるよ」
「その舌触りもいいんだよ」
「ヤダ」
「明日、スキー場に行ってみる?」
「するの?」
「とりあえず、どんなところか見ようよ」
「じゃぁ、買い物のついでとかでいい?」
「いいよ」

 これは、アナルを舐めてもらっているときの会話です。
 いまでは、これが普通。
 夫はクリを舐めながら、仕事の話もします。決算がどうとか。一緒の会社で働くことが、楽しくなっています。
 夫は攻めることが好きですが、私もそうなんです。
 今夜は決意の上、夫のアナルを舐めようと思います。どんな反応をするか楽しみです。
 夫が仰向けになったので、無理矢理俯せにします。夫の望みは騎乗位ですが、私は夫のお尻を持ち上げ、左手で夫を握り、右手で背中を押します。
 そしてアナルを舐めます。
「おい、ダメだ。
 やめろよ」
 私はやめません。
 いつも私に恥ずかしいことをしているのに、自分はイヤだなんて許せません!
 夫に負けないように舐め続けます。これからは、夫のVIOは私が手入れします。

 スキー場までは15キロ!
 ちょっと見るだけのつもりでしたが、娘が「スノボ、やりたい!」と言い出して、ウェアと用具を借りて始めました。
 夫は少しだけスノボの経験があり、極基本的なことは教えてくれました。
 転んでばかりなのに楽しく、娘とキャーキャー言いながら遊びました。
 夫はスキーを履いて、2人を見守ってくれ、起き上がれないときだけ、助けに来てくれます。
 夫が「スクールに入ったら」と提案してくれ、未経験コースにチャレンジしました。
 夕方には、ほんの少しですが滑れるようになり、もっと楽しくなっていました。
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 すると、夫は「ならば、道具は揃えたほうが安上がりだ」と。
 それで、スノーパークからスポーツショップに直行しました。
 夫はスキーパンツだけを買い、私と娘はスノボのウェア一式を購入しました。
 娘はカラフルなジャケットを、私は上下ともダークグリーンとダークブラウンという渋いカラーにしました。
 理由は、単に安かったから……。

 遅い夕食になってしまい、ご飯が炊けると、夫が「俺が作るよ、親子丼でいい?」と言ってくれました。
「ママがバサーと倒れて、そのままズーッと滑っていって、面白かったよ」
 娘と話をしながら、大いに盛り上がった食卓になりました。
 私が「ボードするとなると、お夕飯はどうする?」と夫に尋ねると、夫はこういうシチュエーションに慣れているらしく「鍋にすればいいよ。寄せ鍋、水炊き、すき焼き、キムチ鍋、ソップ鍋。大晦日まで鍋づくしなら簡単だろ」と。
 娘が「ウン、ウン」と大賛成。
 でも、夫は私たちがすぐに飽きると思っていたようです。
「何事も経験だね」と。

 夫と無意味なほど長い時間、シックスナインをしています。私が上、夫が下。
 私が「富士山きれいだったね」と口を離して言うと、夫もクリを舐めるのを中断して「明日はカメラを持っていこうよ」と。
 私は「ビデオもお願い」とせがみました。
 言葉はなるべく短く、フェラはなるべく長くを心がけています。
 私はもう何度もイッていて、夫への攻撃を加速します。夫から私の口の中を突き上げてきて、出してくれました。
 いつもはティッシュに出すのですが、このときは飲んじゃいました。
「飲んじゃった」
 夫が「どんな味?」と問うので、口内に精子が残っている状態で、夫にキスしました。
「こんな味」

 翌朝、起きると、娘はもうウェアに着替えていました。

 スノーパークは今日も快晴、3人で思う存分に雪遊びをします。私と娘対夫で雪合戦もしました。
 娘はなだらかな斜面なら滑れるようになり、私は苦戦中。
 それでも、楽しい。
 尻餅をついていたら、若い男性が滑ってきて手を貸してくれました。
「教えてあげようか?」
 そう言われてちょっとビックリ。
「娘と一緒なら……」
 そう告げると、逃げて行っちゃいました。

 お昼はラーメン。3人で同じものを注文したんです。
 夫が「ナンパされただろう」と。
 娘が「ママ、やったじゃん!」と。

 昼食を済ませ、ゲレンデに出ると、夫が「1本だけ滑ってくるから」とリフトのほうに行きました。
 私と娘はゲレンデに立ち、夫の帰りを待ちます。
「あれパパ!
 ウッソ!」
 娘の感想の通り、すごく上手なんです。
 夫が私たちの直前でスキーを揃えて急制動をかけ、「十数年ぶりじゃ、こんなもんか。明日は筋肉痛がひどいぞ」と。

 この夜、ベッドに横たわり、私は夫を握り、夫は私に指を入れていました。
 私たちには、ごく軽いコミュニケーションです。
「スキー、どこで覚えたの?」
「東北で。
 小学生の頃、2年間だけ東北で暮らしていた」
「初耳だけど?」
「いまから思えばだが……。
 親父は仕事でミスをしたんだ。
 それで、会社にいられなくなった。詳しい事情は知らない。半分は成長後の俺の想像。
 親父は疲れていた。精神的に参っていた。働けなくなった親父はマンションの部屋を処分し、その金と蓄えを頼りに東北に行った。
 その頃、お袋がいなくなった。それ以前から、お袋は外泊が多かった。愛人のところに行っていたんだ。
 稼ぎがなくなった親父に見切りを付けたんだろう。
 俺と親父だけの東北の山荘での生活が始まる。山荘は親父の親父、俺の爺さんが建てたらしい。
 地元の学校にはなじめなかった。友だちもいない。歩いて行ける距離にリフト1本だけの小さなスキー場があった。
 俺は冬の間、スキーだけをしていた。最初は我流、しばらくしてスキー場のパトロールや、除雪の人が教えてくれた。
 2シーズンで、結構滑れるようになった。
 2年後、親父は伝手を頼って、再就職する。無職だったので、その会社の社長が賃貸の保証人になってくれたらしい。
 親父の仕事は俺と似ていた。プログラミングの手法が、オブジェクト指向に変わる頃で、また同時にハードウエアはダウンサイジングが本格化していた。
 マシンは大型汎用機からパソコンやワークステーションに切り替わり始めたんだ。
 親父は、2年間で自分の技術を新時代仕様に変換した。オブジェクト指向言語に対応したんだ。
 で、給料は相当下がったようだが、2年間のブランクを乗り越えて再就職できた。
 中学2年まで、年末年始はその山荘だったんだ。
 親父は料理が苦手で、毎日鍋だった。正月もお盆も鍋だ。
 信じられるか?
 真夏に鍋だぞ」
 夫は私に指を入れながら、子供の頃の話をしてくれました。
「その山荘は、どうなったの?」
「曲がりくねった県道を直線にする工事に引っかかって、買収されたよ。
 二束三文だったらしい」
 シックスナインの体勢に移ります。
 私は夫を握りしめていて、先端を少しだけ舐めました。
「スキーはやめちゃったの?」
 夫はお返しに、クリをペロッと。
「いや、高校から大学は、上越で滑っていた。
 俺は仕方なくスキーを始めたんだが、舞は楽しそうだね」
「私も楽しいよ」
「それはよかった」
「ねぇ、出す?」
「毎日はきついよ」
「弱虫!」
 私は激しく手を動かし、先端を口に含みました。
 夫は意外なほどあっさりと、私の口の中に出しました。
 もちろん、飲んであげました。

 夫は仕事があるので、私と娘をスノーパークに送り、15時頃迎えに来てくれることになりました。
「お節なんていいよ。
 お雑煮だけ作ろう」
 夫がそう言って、私と娘を自由にしてくれます。

 夫が迎えに来てくれるとすぐに娘が、「パパ、ママ、今日もナンパされたんだよ」と。
 私は「チ・ガ・ウ。パトロールの人が心配してくれただけ」と否定します。

 夫は30日まで、仕事をします。
 邪魔しないよう、娘と楽しみます!
 娘の元気は無限ですが、私の体力は限界に近付いています。

 大晦日、夫はエビ、イカ、キス、サツマイモ、大葉の天ぷらを作ってくれました。
 そして、乾麺ですがお蕎麦を茹でました。
 3人の年越し蕎麦でした。
 明日は夫もお休みで、娘もスノボを休んで家にいることになっています。
 明日は早起きしません。
 だから、今夜は年越しエッチです。
 夫が私の煩悩を消すため、除夜の鐘に合わせて108回突いてくれることになっています。
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