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【 大火 】
ケルベムレンの戦い 後編
しおりを挟む 防衛隊指揮官“歩く城塞”マリクカンドルフ・ファン・カルクーツ将軍の命が発せられると共に、民兵隊に対して防衛隊による弓矢の斉射が始まった。
慌てて石垣から逃げ落ちる者、落とし穴に自ら飛び込む者。そして多くの者が状況を理解できずに橋に殺到するが、広いのは入り口だけだ。すぐに詰まり、落とされ、そしてそこに矢が降り注ぐ。
阿鼻叫喚の悲鳴が上がり、石垣を登り切った部隊はパニックに陥りながら次々と討ち果たされていく。だがまだ、登って来る者は状況を把握できていない。上で戦闘が行われている程度の認識で、早く到着せねばと焦って上る。
登ってくる民兵にも弓矢を持つ者はいるが、予想外の狭さのため味方が密集し、矢を射る事が出来ないままに撃ち倒されていった。
守備兵達で、魔族領に行った者は僅かだ。これまでの遠征軍に参加した将兵は、殆どが死んでいるからだ。だから魔族と比べてどうかは知らない。だがマリクカンドルフは、しっかりと感じ取っている。
――人間とは……これほどまでに弱く、脆かったのか……。
今までも何度も人間と戦ってきてはいる。彼の異名はその過程で付いたものだ。だが魔族領で亜人の軍団と戦った彼にとって、粗末な武器だけしか持たず、満足な統率も取れていない民兵はあまりにも脆弱だった。
戦闘開始から4時間。ただそれだけの時間で、百万を超える民兵が虐殺される。しかも守備隊は3交代制の編成の第一陣。数百人の負傷者を出しつつも死者は0。全く戦いにもならない、一方的な殺戮であった。
「全員を一時後退させよ」
サウル王の命令によりようやく民兵隊が後退する。だがどういう事だ、この街にあのような防衛手段が作られているなど聞いたことが無い。ゼビア王国と共に侵攻して丁度30日目。まだ、たったそれだけの日数しか経っていないのだ。
「かなり早い時期から予想していたのでしょうか?」
長身ではあるが細くしなやかなで、猫科の獣を思わせる体に黄金色の全身鎧。
兜は外しており、シャープな顔立ちと糸のように細い目が顕わになっている。髪は薄青色で、後ろは短く刈りあげているが、前髪は目に掛かる程に長い。
サウル・ハム・ラッフルシルドの直系の孫である、ツェミット・ハム・ラッフルシルド将軍は、顔色を窺うように王に進言する。
「フム……それは有り得ぬだろう。分かっていればここまで侵攻はさせまい」
こちらは身長はほぼ同じだが、その分厚い筋肉のせいでツェミットの倍ほどにも見える。やはり黄金色の全身鎧で身を包み、兜も同じく外している。
短く揃えた白い髪、そして黒い瞳には思案の色が濃く浮かぶ。
バロウス・バロウス。”百刃の剣聖”の異名を持ち、またバロウス血族初代党首でもある。この北国では、その名を知らぬものは居ないと言われるほどの英雄だ。
他の諸将も、事前に情報を掴まれているとは思っていない。それは、ここまでの進軍の容易さが如実に物語っていたからだ。
だがサウル王は、凡その察しを付けていた。
――いや、やられたな……。
おそらく早い段階から動きは掴まれていたのだ。そうでなければ、このご時世に畑を潰してまで防衛体勢を敷く必要性が無い。
だが問題は、その理由。バロウスの言うように、分かっていればもっと万全の体制で迎え撃てるはずなのだ。
不確かだったから中途半端な防御態勢になった……そう考えるのが妥当だろう。
ならば、他が更に固まる前にここを突破する必要性がある……。
「防衛指揮官は誰だったか」
「領主のペニー・ダミスか、駐屯兵隊長のラウリア・ダミスだとは思われますが、どちらが総指揮をしているかは不明ですが、両名共に戦場では大した武功を上げていない人物ですな」
王の言葉に対し、バロウスがすぐに返答する。
「これといった特色は無しか。ならば正攻法を良しとしよう。北と西を主攻とし、東と南は牽制のみで良かろう。だが手薄となれば、そのまま突破して構わぬ」
ラッフルシルド王国軍が再度の攻撃を仕掛けたのは、翌日の昼過ぎだった。再び全方位から進軍するが、今度は正規の兵も混じる。
先ほどまでの民兵だけとは違う、主攻部隊だ。
ケルベムレンの街、大きな建物の中にぽつんと立つ小さな住居。そこにマリクカンドルフは本陣を構えていた。
さほど広くない部屋には10数人の部隊長や通信士が控え、中央に置かれたテーブルには配置図が置かれている。
「今回は正規兵も含まれている様です」
「早くも出してきましたか……数日は牽制しながら囲むのみと思ったのですが」
部隊長達としては、いきなり主攻を仕掛けてくるとは予想していなかった。確かに外は厳しい冬の寒さだ。あまり長居はしたくないだろう。だがいくらなんでも強硬策が過ぎるのではないだろうか?
だがマリクカンドルフとしては、相手の意図ははっきりと判る。
「北と西が本軍だな。半分は東と南から3割の人員を割いて、それぞれに移動させよ」
奴等はここの防衛が整えられている事に危機感を覚えたのだ。このままでは、この先も予想以上に防備が整えられて益々不利になると。だから急ぐ。
今の季節は北西から強い風が吹く。山に囲まれた平野の中心にあるこの高台は、更に影響が大きい。弓矢による被害を少しでも減らすには、北と西から攻めるのが基本だ。
――基礎は出来ている。だがそれ故に読みやすい……。
「では、迎撃を始めよう。手筈通りにな」
慌てて石垣から逃げ落ちる者、落とし穴に自ら飛び込む者。そして多くの者が状況を理解できずに橋に殺到するが、広いのは入り口だけだ。すぐに詰まり、落とされ、そしてそこに矢が降り注ぐ。
阿鼻叫喚の悲鳴が上がり、石垣を登り切った部隊はパニックに陥りながら次々と討ち果たされていく。だがまだ、登って来る者は状況を把握できていない。上で戦闘が行われている程度の認識で、早く到着せねばと焦って上る。
登ってくる民兵にも弓矢を持つ者はいるが、予想外の狭さのため味方が密集し、矢を射る事が出来ないままに撃ち倒されていった。
守備兵達で、魔族領に行った者は僅かだ。これまでの遠征軍に参加した将兵は、殆どが死んでいるからだ。だから魔族と比べてどうかは知らない。だがマリクカンドルフは、しっかりと感じ取っている。
――人間とは……これほどまでに弱く、脆かったのか……。
今までも何度も人間と戦ってきてはいる。彼の異名はその過程で付いたものだ。だが魔族領で亜人の軍団と戦った彼にとって、粗末な武器だけしか持たず、満足な統率も取れていない民兵はあまりにも脆弱だった。
戦闘開始から4時間。ただそれだけの時間で、百万を超える民兵が虐殺される。しかも守備隊は3交代制の編成の第一陣。数百人の負傷者を出しつつも死者は0。全く戦いにもならない、一方的な殺戮であった。
「全員を一時後退させよ」
サウル王の命令によりようやく民兵隊が後退する。だがどういう事だ、この街にあのような防衛手段が作られているなど聞いたことが無い。ゼビア王国と共に侵攻して丁度30日目。まだ、たったそれだけの日数しか経っていないのだ。
「かなり早い時期から予想していたのでしょうか?」
長身ではあるが細くしなやかなで、猫科の獣を思わせる体に黄金色の全身鎧。
兜は外しており、シャープな顔立ちと糸のように細い目が顕わになっている。髪は薄青色で、後ろは短く刈りあげているが、前髪は目に掛かる程に長い。
サウル・ハム・ラッフルシルドの直系の孫である、ツェミット・ハム・ラッフルシルド将軍は、顔色を窺うように王に進言する。
「フム……それは有り得ぬだろう。分かっていればここまで侵攻はさせまい」
こちらは身長はほぼ同じだが、その分厚い筋肉のせいでツェミットの倍ほどにも見える。やはり黄金色の全身鎧で身を包み、兜も同じく外している。
短く揃えた白い髪、そして黒い瞳には思案の色が濃く浮かぶ。
バロウス・バロウス。”百刃の剣聖”の異名を持ち、またバロウス血族初代党首でもある。この北国では、その名を知らぬものは居ないと言われるほどの英雄だ。
他の諸将も、事前に情報を掴まれているとは思っていない。それは、ここまでの進軍の容易さが如実に物語っていたからだ。
だがサウル王は、凡その察しを付けていた。
――いや、やられたな……。
おそらく早い段階から動きは掴まれていたのだ。そうでなければ、このご時世に畑を潰してまで防衛体勢を敷く必要性が無い。
だが問題は、その理由。バロウスの言うように、分かっていればもっと万全の体制で迎え撃てるはずなのだ。
不確かだったから中途半端な防御態勢になった……そう考えるのが妥当だろう。
ならば、他が更に固まる前にここを突破する必要性がある……。
「防衛指揮官は誰だったか」
「領主のペニー・ダミスか、駐屯兵隊長のラウリア・ダミスだとは思われますが、どちらが総指揮をしているかは不明ですが、両名共に戦場では大した武功を上げていない人物ですな」
王の言葉に対し、バロウスがすぐに返答する。
「これといった特色は無しか。ならば正攻法を良しとしよう。北と西を主攻とし、東と南は牽制のみで良かろう。だが手薄となれば、そのまま突破して構わぬ」
ラッフルシルド王国軍が再度の攻撃を仕掛けたのは、翌日の昼過ぎだった。再び全方位から進軍するが、今度は正規の兵も混じる。
先ほどまでの民兵だけとは違う、主攻部隊だ。
ケルベムレンの街、大きな建物の中にぽつんと立つ小さな住居。そこにマリクカンドルフは本陣を構えていた。
さほど広くない部屋には10数人の部隊長や通信士が控え、中央に置かれたテーブルには配置図が置かれている。
「今回は正規兵も含まれている様です」
「早くも出してきましたか……数日は牽制しながら囲むのみと思ったのですが」
部隊長達としては、いきなり主攻を仕掛けてくるとは予想していなかった。確かに外は厳しい冬の寒さだ。あまり長居はしたくないだろう。だがいくらなんでも強硬策が過ぎるのではないだろうか?
だがマリクカンドルフとしては、相手の意図ははっきりと判る。
「北と西が本軍だな。半分は東と南から3割の人員を割いて、それぞれに移動させよ」
奴等はここの防衛が整えられている事に危機感を覚えたのだ。このままでは、この先も予想以上に防備が整えられて益々不利になると。だから急ぐ。
今の季節は北西から強い風が吹く。山に囲まれた平野の中心にあるこの高台は、更に影響が大きい。弓矢による被害を少しでも減らすには、北と西から攻めるのが基本だ。
――基礎は出来ている。だがそれ故に読みやすい……。
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