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第五章:未来への兆し
未来への兆し 15
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「…………」
彼女たちはきっと、本当に夢を叶えるのかもしれない。
さようならと帰りの挨拶をして、上機嫌に校舎を出ていく生徒たちの背中を見送りながら、私は素直にそう思った。
目の前に立ち塞がる壁を前に、諦めや妥協を選ぶ生徒をこれまでに何人も見てきた。
そして、それでも諦めずに挑戦を続けた挙句に絶望し、人生をリタイアしてしまった弟を間近で見た。
だからこそ、なまじ半端に希望を追いかけることが常に正しいわけではないと、夢や目標を捨てる勇気も必要だという信念を持って、今日まで生徒たちと接する教師を演じてきたが……強い絶望や困難を容易く乗り越えてしまう子もいるのだという事実を教えられた。
「強いなぁ、みんな。本当に、羨ましいわねぇ……貴一」
暗くなり、星がまばらに見える空を、窓越しに見上げて私は一人呟く。
生徒へ物事を教え導く立場の人間が、逆に教えられているようではまだまだ自分は未熟な教師だ。
「私も、もっと頑張らなくちゃいけないわね」
弟のような運命を辿る生徒が現れないように、助けの手を差し伸べられる教師でありたい。
そんな自分の人生における意義を、今一度見つめ直していこう。
――若い子たちには、負けていられないものね。
姿が見えなくなり、微かに聞こえていたじゃれ合う声も聞こえなくなった生徒たちの気配を追うように、もう一度だけ彼女たちの去った廊下へ視線を向けてから、私は部室の鍵を掛け静寂に包まれた廊下を歩きだした。
「…………」
彼女たちはきっと、本当に夢を叶えるのかもしれない。
さようならと帰りの挨拶をして、上機嫌に校舎を出ていく生徒たちの背中を見送りながら、私は素直にそう思った。
目の前に立ち塞がる壁を前に、諦めや妥協を選ぶ生徒をこれまでに何人も見てきた。
そして、それでも諦めずに挑戦を続けた挙句に絶望し、人生をリタイアしてしまった弟を間近で見た。
だからこそ、なまじ半端に希望を追いかけることが常に正しいわけではないと、夢や目標を捨てる勇気も必要だという信念を持って、今日まで生徒たちと接する教師を演じてきたが……強い絶望や困難を容易く乗り越えてしまう子もいるのだという事実を教えられた。
「強いなぁ、みんな。本当に、羨ましいわねぇ……貴一」
暗くなり、星がまばらに見える空を、窓越しに見上げて私は一人呟く。
生徒へ物事を教え導く立場の人間が、逆に教えられているようではまだまだ自分は未熟な教師だ。
「私も、もっと頑張らなくちゃいけないわね」
弟のような運命を辿る生徒が現れないように、助けの手を差し伸べられる教師でありたい。
そんな自分の人生における意義を、今一度見つめ直していこう。
――若い子たちには、負けていられないものね。
姿が見えなくなり、微かに聞こえていたじゃれ合う声も聞こえなくなった生徒たちの気配を追うように、もう一度だけ彼女たちの去った廊下へ視線を向けてから、私は部室の鍵を掛け静寂に包まれた廊下を歩きだした。
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