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第四章:決壊する絆
決壊する絆 5
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書き始め、という言葉が適当なのかはよくわからないが、ひとまず活字愛好倶楽部の活動内での今年最初の執筆は
、遊び程度の軽い短編を書いてみた。
特にどこかの賞へ応募する予定もなく、部の仲間内で読み回し感想を伝え合う程度のために書いた練習作品。
テーマを考えることはせず、本当にその場の思い付きでストーリーを組み上げ一気に書き上げてみたのだが、まぁ出来はそこそこといったところか。
話を読んだメンバーの講評は可もなく不可もなくといった内容だったが、それは想定内であったため特に不満もなかった。
「これ、即興で全部考えて書いたんだろ? それでこのクオリティなら普通に凄いよ。いつも思ってるけど、やっぱりずっと書き続けてるだけあってうまいなぁ」
最後に俺の書いた話を読み終えた守草が、ふぅと息を吐きながらパソコンを注視していた視線を上げ、しみじみとした口調でそう感想を述べてきた。
「ありがとう……と言いたいところだけど、お世辞なら不要だぞ? 即興で作った話だし、特に盛り上がりもないからそれほど面白い要素もないだろ。単に物語の形になってるだけだよ」
「いや、それが充分に凄いんだよ。これだけできてるのに大したことないみたいに言えるって、どういう感覚なの? もしおれがこれを書いたなら、馬鹿みたいに自慢するよ」
「そうか。守草も、いい機会だから一度くらい何か書いてみろよ。遊び半分で書いた小説がベストセラーになる、なんてこともあり得るんだから。ましてや、守草くらい読書家の人間なら、文章構成とかの基本的なノウハウは感覚で見についていそうだし。俺はやればできると思うぜ」
読み専を自称する守草に、俺なりの率直な意見を述べたつもりだが、当の本人は本気にはしてくれないようであっさりと首を横へと振って返してくる。
「勘弁してよ。おれはあくまでお客の側で、クリエイターにはなれないよ。みんなには失礼な言い方かもしれないけどさ、自分で何かを作るより提供されてる方が楽しいから」
「もったいねぇなぁ。まぁ、本人がそう言うなら強制もできねぇけど」
創作は本人の自由意志で行うべき行為。
例え才能がありそうな相手であっても、本人にその気がないのなら無理にやれとは誰にも言う権利はない。
「でもさ、守草くんは読んだ後の感想とか、いつも的確なこと言ってくれるよね! 次の作品作りに生かせるアドバイスとか多いから、これまでにも結構助けられてること多いよ。やっぱり、読む才能みたいなのがあるんだよ」
屈託ない笑みを浮かべ、妃夏が守草へ言葉をかける。
「それ何か前にも似たようなこと言われた記憶あるけど、本を読むのに才能はないでしょ。ただ思ったことを素直に言っちゃってるだけだし。大袈裟だなぁ」
「そんなことないよ。だって、本を読んでそこまで内容を深く考える人って少数派だと思うし、書く側としては有難い存在なんんだよね。活字愛好倶楽部に守草くんがいてくれて良かったなって、あたしはいつも思ってるよ」
「ちょっと、恥ずかしくなるから言わないでよ、そういうこと」
まんざらでもなさそうに顔を赤くし照れながら、守草はもどかしそうな声を漏らす。
書き始め、という言葉が適当なのかはよくわからないが、ひとまず活字愛好倶楽部の活動内での今年最初の執筆は
、遊び程度の軽い短編を書いてみた。
特にどこかの賞へ応募する予定もなく、部の仲間内で読み回し感想を伝え合う程度のために書いた練習作品。
テーマを考えることはせず、本当にその場の思い付きでストーリーを組み上げ一気に書き上げてみたのだが、まぁ出来はそこそこといったところか。
話を読んだメンバーの講評は可もなく不可もなくといった内容だったが、それは想定内であったため特に不満もなかった。
「これ、即興で全部考えて書いたんだろ? それでこのクオリティなら普通に凄いよ。いつも思ってるけど、やっぱりずっと書き続けてるだけあってうまいなぁ」
最後に俺の書いた話を読み終えた守草が、ふぅと息を吐きながらパソコンを注視していた視線を上げ、しみじみとした口調でそう感想を述べてきた。
「ありがとう……と言いたいところだけど、お世辞なら不要だぞ? 即興で作った話だし、特に盛り上がりもないからそれほど面白い要素もないだろ。単に物語の形になってるだけだよ」
「いや、それが充分に凄いんだよ。これだけできてるのに大したことないみたいに言えるって、どういう感覚なの? もしおれがこれを書いたなら、馬鹿みたいに自慢するよ」
「そうか。守草も、いい機会だから一度くらい何か書いてみろよ。遊び半分で書いた小説がベストセラーになる、なんてこともあり得るんだから。ましてや、守草くらい読書家の人間なら、文章構成とかの基本的なノウハウは感覚で見についていそうだし。俺はやればできると思うぜ」
読み専を自称する守草に、俺なりの率直な意見を述べたつもりだが、当の本人は本気にはしてくれないようであっさりと首を横へと振って返してくる。
「勘弁してよ。おれはあくまでお客の側で、クリエイターにはなれないよ。みんなには失礼な言い方かもしれないけどさ、自分で何かを作るより提供されてる方が楽しいから」
「もったいねぇなぁ。まぁ、本人がそう言うなら強制もできねぇけど」
創作は本人の自由意志で行うべき行為。
例え才能がありそうな相手であっても、本人にその気がないのなら無理にやれとは誰にも言う権利はない。
「でもさ、守草くんは読んだ後の感想とか、いつも的確なこと言ってくれるよね! 次の作品作りに生かせるアドバイスとか多いから、これまでにも結構助けられてること多いよ。やっぱり、読む才能みたいなのがあるんだよ」
屈託ない笑みを浮かべ、妃夏が守草へ言葉をかける。
「それ何か前にも似たようなこと言われた記憶あるけど、本を読むのに才能はないでしょ。ただ思ったことを素直に言っちゃってるだけだし。大袈裟だなぁ」
「そんなことないよ。だって、本を読んでそこまで内容を深く考える人って少数派だと思うし、書く側としては有難い存在なんんだよね。活字愛好倶楽部に守草くんがいてくれて良かったなって、あたしはいつも思ってるよ」
「ちょっと、恥ずかしくなるから言わないでよ、そういうこと」
まんざらでもなさそうに顔を赤くし照れながら、守草はもどかしそうな声を漏らす。
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