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第四章:風岡夏純――②
風岡夏純――②
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腕の痛みが擦り傷かと錯覚しそうになる腹部の激痛に、意識が朦朧と霞む。
手で押さえた傷口から、温かい内臓が外へ飛び出そうと膨張してくる。
(ああ……)
秋本 夢美が手にするわたしの一部が、黒く変色していくのがわかった。
同時に、愛が噛み付く右肩から体温が消えていくような感覚が広がり始めた。
身体中の力が抜け、もう抵抗する余力も体力も残っていない。
(い……やだ……こん……な、死に……方……いや……)
抉られた腕、掴まれた顎にも冷気が広がる。
意識が遠退き、腹部を抑えていた腕もだらりと弛緩したように伸び、内臓の一部がズルリとはみ出し下へと落ちるのをぼんやりと感じた。
(…………)
こんなことなら、金に目を眩ませたりせずいじめになんて加担しなければ良かった。
肩も、腕も顎も、ずり落ちた内臓も黒く染まり始めながら息絶える直前、わたしが最期に思い浮かべたのは、そんなありきたりな後悔の念だけだった。
手で押さえた傷口から、温かい内臓が外へ飛び出そうと膨張してくる。
(ああ……)
秋本 夢美が手にするわたしの一部が、黒く変色していくのがわかった。
同時に、愛が噛み付く右肩から体温が消えていくような感覚が広がり始めた。
身体中の力が抜け、もう抵抗する余力も体力も残っていない。
(い……やだ……こん……な、死に……方……いや……)
抉られた腕、掴まれた顎にも冷気が広がる。
意識が遠退き、腹部を抑えていた腕もだらりと弛緩したように伸び、内臓の一部がズルリとはみ出し下へと落ちるのをぼんやりと感じた。
(…………)
こんなことなら、金に目を眩ませたりせずいじめになんて加担しなければ良かった。
肩も、腕も顎も、ずり落ちた内臓も黒く染まり始めながら息絶える直前、わたしが最期に思い浮かべたのは、そんなありきたりな後悔の念だけだった。
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