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第四章:風岡夏純――②
風岡夏純――②
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脳が揺れた――ような気がした。
何の前触れもなく視界がぶれ、気づいたときにはわたしの身体は宙を舞い杉の木に叩きつけられ地面へと倒れ込んでいた。
「……っ? うぅ……?」
身体を砕かれるような衝撃にうずくまりつつ、どうにか顔を上げて自身の身に起きた事態を確認する。
ほんの数メートル先に、わたしが落としたらしいライトが転がっている。
そのすぐ側に、見知っているはずの存在が仁王立ちして茜を見下ろしていた。
「あ……竜、次……?」
着ている服は、一緒にいたときとまるで変わらない。
ただ、その身体は全身黒く染まった岩沼 竜次が、そこにいた。
彼がわたしを後ろから弾き飛ばしたのだとすぐに理解し、同時に戦慄する。
いくら力が強いとは言え、人一人をあっさり吹っ飛ばすというのは尋常なパワーではない。
(人間だった頃より、力が増してる……)
「い……嫌……」
目の前に立つ竜次に、成す術もなく首を掴まれ宙吊りにされる茜。
何の前触れもなく視界がぶれ、気づいたときにはわたしの身体は宙を舞い杉の木に叩きつけられ地面へと倒れ込んでいた。
「……っ? うぅ……?」
身体を砕かれるような衝撃にうずくまりつつ、どうにか顔を上げて自身の身に起きた事態を確認する。
ほんの数メートル先に、わたしが落としたらしいライトが転がっている。
そのすぐ側に、見知っているはずの存在が仁王立ちして茜を見下ろしていた。
「あ……竜、次……?」
着ている服は、一緒にいたときとまるで変わらない。
ただ、その身体は全身黒く染まった岩沼 竜次が、そこにいた。
彼がわたしを後ろから弾き飛ばしたのだとすぐに理解し、同時に戦慄する。
いくら力が強いとは言え、人一人をあっさり吹っ飛ばすというのは尋常なパワーではない。
(人間だった頃より、力が増してる……)
「い……嫌……」
目の前に立つ竜次に、成す術もなく首を掴まれ宙吊りにされる茜。
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