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第四章:風岡夏純――②
風岡夏純――②
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「……!」
どこか近くから悲鳴のような声が聞こえてきて、わたしはビクリと身体を強張らせた。
今度は何だと思いながら耳を澄ますと、ガサガサと草を揺らす音が耳へ届いてくる。
それと一緒に、
「……誰か! 助けて!」
(――茜!)
聞き慣れた声が夜闇に伝播し、わたしはすぐにその声がした方向へと駆けだした。
相手の走る音と、わたしの奏でる葉擦れの音。
双方が同時に距離を縮め、すぐに前方からライトの光が見え始めた。
「茜! こっち!」
「夏純!?」
「そのまま真っ直ぐ走って!」
指示を出し、更に加速して揺れ動く光を目指す。
「茜! 良かった、まだ無事だった」
お互いの距離がゼロになると、わたしは茜の肩を抱いて安堵の息をつく。
だけど、茜の方はそれほど余裕を取り戻すことができていない様子だった。
「夏純、ここにいたら駄目。すぐに逃げないと……」
自分が来た方向を怯えたように振り返り、茜が告げてくる。
どこか近くから悲鳴のような声が聞こえてきて、わたしはビクリと身体を強張らせた。
今度は何だと思いながら耳を澄ますと、ガサガサと草を揺らす音が耳へ届いてくる。
それと一緒に、
「……誰か! 助けて!」
(――茜!)
聞き慣れた声が夜闇に伝播し、わたしはすぐにその声がした方向へと駆けだした。
相手の走る音と、わたしの奏でる葉擦れの音。
双方が同時に距離を縮め、すぐに前方からライトの光が見え始めた。
「茜! こっち!」
「夏純!?」
「そのまま真っ直ぐ走って!」
指示を出し、更に加速して揺れ動く光を目指す。
「茜! 良かった、まだ無事だった」
お互いの距離がゼロになると、わたしは茜の肩を抱いて安堵の息をつく。
だけど、茜の方はそれほど余裕を取り戻すことができていない様子だった。
「夏純、ここにいたら駄目。すぐに逃げないと……」
自分が来た方向を怯えたように振り返り、茜が告げてくる。
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