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第四章:風岡夏純――②
風岡夏純――②
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慌てて走り出す夏純を一瞥し、竜次は暗闇に沈んでいる足元へ視線を移す。
「…………」
何もない剥き出しの土の中から黒い粒が湧きだし、いつの間にか音もなく左足を這い上がってきている。
背後から迫り来る気配も大きくなり、すぐにでも追いついてしまう距離にいるのは考えるまでもなく理解できた。
「ちっ……!」
黒い粒の触れた部分は、まるで氷でも貼りつけられたかのように冷たくなり、体温を消滅させていく。
膝上まで上がってきた黒い粒を忌々しく睨みつけながら無理矢理足を動かそうとするも、固まったかのように微動だにせず、竜次は残った右足だけでどうにか一歩前へ進んだ。
黒い粒は、手で払おうとしても実体がなく、まるで生きた影のようにひたすら身体を黒く染めようとその面積を広げるばかり。
(どういう構造してんだこいつ……?)
ビチャリ、という一際大きな音が、すぐ後ろで響いた。
「…………」
何もない剥き出しの土の中から黒い粒が湧きだし、いつの間にか音もなく左足を這い上がってきている。
背後から迫り来る気配も大きくなり、すぐにでも追いついてしまう距離にいるのは考えるまでもなく理解できた。
「ちっ……!」
黒い粒の触れた部分は、まるで氷でも貼りつけられたかのように冷たくなり、体温を消滅させていく。
膝上まで上がってきた黒い粒を忌々しく睨みつけながら無理矢理足を動かそうとするも、固まったかのように微動だにせず、竜次は残った右足だけでどうにか一歩前へ進んだ。
黒い粒は、手で払おうとしても実体がなく、まるで生きた影のようにひたすら身体を黒く染めようとその面積を広げるばかり。
(どういう構造してんだこいつ……?)
ビチャリ、という一際大きな音が、すぐ後ろで響いた。
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