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第四章:風岡夏純――②
風岡夏純――②
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「……直感でしかねぇが、あの黒いのには触らない方が良い。嫌な予感しかしやがらねぇ」
ジリジリと後退りしながら告げてくる竜次の言葉に誰も返事はしなかったけれど、沈黙で同意を示していることは場の雰囲気で十分に把握できた。
「ひ――っ!」
すぐ背後で、茜の短い悲鳴。
浸食する黒に包まれた秋本 夢美の身体が、前触れもなくビクンと跳ねた。
今度は何事かと目を見張るわたしたちの正面で、横たわっていた死体がその上半身を起こす。
黒い顔をぐるりとこちらへ向かせ、まるで怒りを滲ませるようにその表情を歪めると赤ん坊がはいはいするように近づき始めてくる。
「――な、何だよ! いったいどうなってるんだこれ!?」
晴樹が、弾かれたように叫ぶ。
「いや……いやぁぁぁぁぁ!」
「あ! 茜!?」
その叫びに感化されたか、茜が半狂乱になったかのごとき悲鳴をあげ、一人出口へ向かって駆け出した。
ジリジリと後退りしながら告げてくる竜次の言葉に誰も返事はしなかったけれど、沈黙で同意を示していることは場の雰囲気で十分に把握できた。
「ひ――っ!」
すぐ背後で、茜の短い悲鳴。
浸食する黒に包まれた秋本 夢美の身体が、前触れもなくビクンと跳ねた。
今度は何事かと目を見張るわたしたちの正面で、横たわっていた死体がその上半身を起こす。
黒い顔をぐるりとこちらへ向かせ、まるで怒りを滲ませるようにその表情を歪めると赤ん坊がはいはいするように近づき始めてくる。
「――な、何だよ! いったいどうなってるんだこれ!?」
晴樹が、弾かれたように叫ぶ。
「いや……いやぁぁぁぁぁ!」
「あ! 茜!?」
その叫びに感化されたか、茜が半狂乱になったかのごとき悲鳴をあげ、一人出口へ向かって駆け出した。
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