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第四章:風岡夏純――②
風岡夏純――②
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前を向いたまま器用に秋本 夢美を避け、竜次がわたしたちの前まで後退してくる。
それを追うように、ビチャビチャと音を鳴らして、貴秀だったはずのモノもズルズルと地面を進んできた。
「……?」
その姿を凝視していて、わたしはある異変に気がつく。
貴秀の触れた地面から、まるで無数の蟻が涌き出るように黒い粒のようなものが溢れだし、蜘蛛の子を散らすような勢いで周囲へと広がり始めた。
照らされていた壁や天井が、かなりのスピードで黒く塗り替えられていく。
「――ちょ、これ何よ!?」
ザワザワと不快な音を立てて広がるような幻聴を聞きながら、わたしは全てを浸食していくその黒い粒を必死に目で追う。
「もっと離れろ!」
余裕のない竜次の怒声に、慌てて祠の前まで移動する。
黒い粒は止まることなく増殖し、秋本 夢美の死体すらも包み込んでしまった。
黒い死体へ更に黒が重なり、着ていた服の色すら奪う。
それを追うように、ビチャビチャと音を鳴らして、貴秀だったはずのモノもズルズルと地面を進んできた。
「……?」
その姿を凝視していて、わたしはある異変に気がつく。
貴秀の触れた地面から、まるで無数の蟻が涌き出るように黒い粒のようなものが溢れだし、蜘蛛の子を散らすような勢いで周囲へと広がり始めた。
照らされていた壁や天井が、かなりのスピードで黒く塗り替えられていく。
「――ちょ、これ何よ!?」
ザワザワと不快な音を立てて広がるような幻聴を聞きながら、わたしは全てを浸食していくその黒い粒を必死に目で追う。
「もっと離れろ!」
余裕のない竜次の怒声に、慌てて祠の前まで移動する。
黒い粒は止まることなく増殖し、秋本 夢美の死体すらも包み込んでしまった。
黒い死体へ更に黒が重なり、着ていた服の色すら奪う。
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