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第三章:風岡夏純――①
風岡夏純――①
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「おかしくって、どうした? からかわれたのか?」
「そんなんじゃないよ! 二人とも見ればわかる。愛がベッドの上で、真っ黒になってるんだよ!」
「真っ黒ぉ? 守、お前訳のわからんこと言うなよ。さすがにそんな話じゃ騙されんぞ」
言うことを真に受けずはははと声をあげて笑う父親に痺れを切らしたか、守はずかずかとリビングを進みがっしりと父親の腕を掴み引っ張った。
「いいから来てくれ! 普通じゃないんだ!」
「ちょ――お、おい!」
そのまま連れ出すようにしてまた階段へ向かう息子を、すみれは困惑しながら見送る。
切羽詰まった雰囲気からふざけていないというのは伝わってきたし、僅かな余裕すら感じ取れなかった。
ただただ、何があったのか理解できず成り行きを見つめていただけ。
やがて、もたつくような大人二人の足音が階段を上がっていき、その直後に今度は夫の叫ぶような声が聞こえてきた。
「そんなんじゃないよ! 二人とも見ればわかる。愛がベッドの上で、真っ黒になってるんだよ!」
「真っ黒ぉ? 守、お前訳のわからんこと言うなよ。さすがにそんな話じゃ騙されんぞ」
言うことを真に受けずはははと声をあげて笑う父親に痺れを切らしたか、守はずかずかとリビングを進みがっしりと父親の腕を掴み引っ張った。
「いいから来てくれ! 普通じゃないんだ!」
「ちょ――お、おい!」
そのまま連れ出すようにしてまた階段へ向かう息子を、すみれは困惑しながら見送る。
切羽詰まった雰囲気からふざけていないというのは伝わってきたし、僅かな余裕すら感じ取れなかった。
ただただ、何があったのか理解できず成り行きを見つめていただけ。
やがて、もたつくような大人二人の足音が階段を上がっていき、その直後に今度は夫の叫ぶような声が聞こえてきた。
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