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第三章:風岡夏純――①
風岡夏純――①
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「――!?」
いつも通りの天井。
愛はそこに、等身大の人間の影が音もなく這い回っているのを見てしまった。
重力を無視したようにへばり付き無秩序に動き回るそれに目を見開いて、愛は全身の筋が突っ張ったように身体を固くしてしまう。
(何…………これ……)
無音のままムカデのように天井を蠢き続けるそれは、闇の中でも目立つほどに濃い漆黒をしていた。
胸中から膨らみだした恐怖心に喉を引きつらせ、愛はかけていた布団を頭から被りきつく目を瞑る。
昼間に聞いた茜の言葉が、脳裏にリプレイされた。
窓に貼り付いた、黒い人影。
茜はそれを見たと言っておかしくなっていた。
まさか、彼女が見たその正体がこれなのだろうか。
だとしたら、何故そんな得体の知れないモノがいきなり自分の部屋に現れたのか。
これまでずっとこの場所で暮らしてきて、一度たりとも幽霊なんて遭遇したことないのに。
いつも通りの天井。
愛はそこに、等身大の人間の影が音もなく這い回っているのを見てしまった。
重力を無視したようにへばり付き無秩序に動き回るそれに目を見開いて、愛は全身の筋が突っ張ったように身体を固くしてしまう。
(何…………これ……)
無音のままムカデのように天井を蠢き続けるそれは、闇の中でも目立つほどに濃い漆黒をしていた。
胸中から膨らみだした恐怖心に喉を引きつらせ、愛はかけていた布団を頭から被りきつく目を瞑る。
昼間に聞いた茜の言葉が、脳裏にリプレイされた。
窓に貼り付いた、黒い人影。
茜はそれを見たと言っておかしくなっていた。
まさか、彼女が見たその正体がこれなのだろうか。
だとしたら、何故そんな得体の知れないモノがいきなり自分の部屋に現れたのか。
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