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第三章:風岡夏純――①
風岡夏純――①
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煙草から立ち上る煙が、空気を少しずつ白く染めていく。
短くなった煙草を灰皿代わりの空き缶へ放り込みぐるりと首を回しかけたとき、コツンッと硬い物がぶつかる音が聞こえ、竜次は首の向きをそちらへ軌道修正した。
外は暗く、夜闇しか見えない。
「……?」
竜次は不審そうに立ち上がり窓際へ向かうと、躊躇することなく窓を全開にして外へ身を乗り出す。
目に映る範囲に、これといって気になるものはない。
家の前に伸びる道路に街灯はあるものの、その明かりが照らす中には無秩序に飛び回る蛾の姿があるのみ。
(気のせいか……?)
湿り気を含む蒸した空気の中へ、室内を漂っていた紫煙が流れて行き消えていく。
虫でもぶつかったかと適当な結論を下し、開け放った窓を閉めようかとした瞬間。
今度は、パキンッという薄いアルミが潰れるのに似た音が背後で響き、竜次は咄嗟に振り返った。
室内には誰もいない。
短くなった煙草を灰皿代わりの空き缶へ放り込みぐるりと首を回しかけたとき、コツンッと硬い物がぶつかる音が聞こえ、竜次は首の向きをそちらへ軌道修正した。
外は暗く、夜闇しか見えない。
「……?」
竜次は不審そうに立ち上がり窓際へ向かうと、躊躇することなく窓を全開にして外へ身を乗り出す。
目に映る範囲に、これといって気になるものはない。
家の前に伸びる道路に街灯はあるものの、その明かりが照らす中には無秩序に飛び回る蛾の姿があるのみ。
(気のせいか……?)
湿り気を含む蒸した空気の中へ、室内を漂っていた紫煙が流れて行き消えていく。
虫でもぶつかったかと適当な結論を下し、開け放った窓を閉めようかとした瞬間。
今度は、パキンッという薄いアルミが潰れるのに似た音が背後で響き、竜次は咄嗟に振り返った。
室内には誰もいない。
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