133 / 341
第二章:秋本夢美――②
秋本夢美――②
しおりを挟む
角田が闇に気を取られている一瞬の隙にそっと背後へ身体の位置をずらし、そのまま背中を突き飛ばす。
突然のことにバランスを崩した角田の身体は当然前へとつんのめり、その一寸先に口を開いて待ち構えていた巨大な穴の底へと吸い込まれていった。
直後、重いものが落ちる鈍い音が反響し狭い通路を駆け抜けていく。
「…………」
それから暫く、動くことなく立ち尽くす。
真っ暗過ぎて確かめる術はないけれど、特に変化は見受けられず穴の底は沈黙したまま闇を放出させている。
無防備の状態で突き落とされ、底へと叩きつけられた角田が今どんな有り様なのか確かめられないことは残念だけど、これで助かることもないだろう。
(あんたなんか、生贄役で十分……)
あたしはすぅっと息を吸い、口元を綻ばせたまま闇の凝縮された中空を見つめた。
そして呟く。
「どうか、お姉ちゃんを死に追いやった残りの五人を殺してください。お姉ちゃんの無念を晴らしてください」
上手くいけば良いな。
突然のことにバランスを崩した角田の身体は当然前へとつんのめり、その一寸先に口を開いて待ち構えていた巨大な穴の底へと吸い込まれていった。
直後、重いものが落ちる鈍い音が反響し狭い通路を駆け抜けていく。
「…………」
それから暫く、動くことなく立ち尽くす。
真っ暗過ぎて確かめる術はないけれど、特に変化は見受けられず穴の底は沈黙したまま闇を放出させている。
無防備の状態で突き落とされ、底へと叩きつけられた角田が今どんな有り様なのか確かめられないことは残念だけど、これで助かることもないだろう。
(あんたなんか、生贄役で十分……)
あたしはすぅっと息を吸い、口元を綻ばせたまま闇の凝縮された中空を見つめた。
そして呟く。
「どうか、お姉ちゃんを死に追いやった残りの五人を殺してください。お姉ちゃんの無念を晴らしてください」
上手くいけば良いな。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
すべて実話
さつきのいろどり
ホラー
タイトル通り全て実話のホラー体験です。
友人から聞いたものや著者本人の実体験を書かせていただきます。
長編として登録していますが、短編をいつくか載せていこうと思っていますので、追加配信しましたら覗きに来て下さいね^^*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる