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第二章:秋本夢美――②
秋本夢美――②
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文句を呟く角田の声と蝉しぐれを聞きながら足を動かす無言の進行がひたすら続き、やがて――。
木々の密集する山奥、霧が漂うその先に。
あの風穴がその姿を現した。
「先輩、着きましたよ。すみませんでした、こんな所まで歩かせて。この穴の奥に、先輩と話をしたいという人が待ってます。日が暮れて面倒なことになる前に、さっさと話を終わらせましょう」
「……何だここ。こんな薄気味悪ぃ場所でおれを待つ奴なんて本当にいんのか? お前、何か企んでんじゃねぇだろうな?」
風穴を指差すあたしを、角田は胡散臭そうな視線で睨んでくる。
警戒するように足の角度をずらし、引き返そうとする気配まで漂わせてくる相手に、だけどあたしは冷静に言葉を返した。
「……企むって、先輩まさかあたしのことを怖がってるんですか?」
身体を回転させ角田と向かい合い、聞き分けのない子供とやり取りをするように心底呆れた表情でため息をついてみせる。
木々の密集する山奥、霧が漂うその先に。
あの風穴がその姿を現した。
「先輩、着きましたよ。すみませんでした、こんな所まで歩かせて。この穴の奥に、先輩と話をしたいという人が待ってます。日が暮れて面倒なことになる前に、さっさと話を終わらせましょう」
「……何だここ。こんな薄気味悪ぃ場所でおれを待つ奴なんて本当にいんのか? お前、何か企んでんじゃねぇだろうな?」
風穴を指差すあたしを、角田は胡散臭そうな視線で睨んでくる。
警戒するように足の角度をずらし、引き返そうとする気配まで漂わせてくる相手に、だけどあたしは冷静に言葉を返した。
「……企むって、先輩まさかあたしのことを怖がってるんですか?」
身体を回転させ角田と向かい合い、聞き分けのない子供とやり取りをするように心底呆れた表情でため息をついてみせる。
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