病み憑き

雪鳴月彦

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第二章:秋本夢美――②

秋本夢美――②

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 天気が悪くても、やっぱり蒸し暑い。

 と言うより、天気が悪いからこそ湿度が上昇し熱くなっているのか。

 べたつく汗を我慢しながら山道を歩き始めて約二十分。

 ちらりと背後を窺えば、角田も額から汗を滲ませながらあたしの後をついてきている。

 会話らしい会話は、全くない。

 仲良くお喋りをするような関係でもないため当然と言えばそれまでだけど、質問の類を投げかけられることくらいは覚悟していたので、正直ここまで大人しいのは良い意味で予想外だった。

「疲れましたか?」

 気遣いではなく、素直についてきていることへのサービスのつもりで声をかけてみる。

「……別に、どうってことねぇよ。つーか、これどこに続いてんだ? 本当にこんなとこで人なんか待ってんのかよ」

 不服そうに眉間へ皺を寄せる角田。

「ええ。もうちょっと行けば、一度広い場所に出ますから」
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