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第二章:秋本夢美――②
秋本夢美――②
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安達と言うのはこのクラスの担任。
体育を教えてる女の先生だけど、あたしは授業を受けたことはないのでどんな人なのかはよく知らない。話をしたことすらない相手だ。
「え? 角田くん?」
角田の名前を聞いた途端、わかりやすいくらいに先輩の顔つきが変わった。
自然な笑顔を引きつらせ、眼球だけが教室奥に座る該当人物を捉える。
「あー……うん、わかった。伝えてくるよ。あの人、あたし苦手なんだけどねー」
苦笑しながら白い歯を見せる先輩へ、
「ありがとうございます」
と会釈をしてすぐさま踵を返し階段へと走る。
職員室は一階の中央に近い位置にある。
角田が素直に応じるならば、ほぼ確実にここを通るはずだ。
それを見越して、あたしは踊り場に立ち相手が来るのを待ち伏せる。
うまくやらなければいけない、最初のポイント。
脅す材料もあるし大丈夫だろうとは思うけれど、油断することなく角田からイニシアチブを奪わなくては。
体育を教えてる女の先生だけど、あたしは授業を受けたことはないのでどんな人なのかはよく知らない。話をしたことすらない相手だ。
「え? 角田くん?」
角田の名前を聞いた途端、わかりやすいくらいに先輩の顔つきが変わった。
自然な笑顔を引きつらせ、眼球だけが教室奥に座る該当人物を捉える。
「あー……うん、わかった。伝えてくるよ。あの人、あたし苦手なんだけどねー」
苦笑しながら白い歯を見せる先輩へ、
「ありがとうございます」
と会釈をしてすぐさま踵を返し階段へと走る。
職員室は一階の中央に近い位置にある。
角田が素直に応じるならば、ほぼ確実にここを通るはずだ。
それを見越して、あたしは踊り場に立ち相手が来るのを待ち伏せる。
うまくやらなければいけない、最初のポイント。
脅す材料もあるし大丈夫だろうとは思うけれど、油断することなく角田からイニシアチブを奪わなくては。
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