110 / 341
第二章:秋本夢美――②
秋本夢美――②
しおりを挟む
お姉ちゃんの席に飾られた白や黄色のカラフルさが、どこか空虚で色あせたように見えるのはあたしの心に問題があるからだろうか。
(……いた)
その花瓶の、ずっと向こう。
以前と同じ、一番窓際の席に彼らはいた。
ただ、唯一違うのは前に比べて大人しくしているということ。
そのため、教室の中は比較的落ち着いた雰囲気にはなっていた。
一体何を話しているのか、六人は全員で身を固めるようにして集まり、ポツポツと何事かを囁き合っている。
その中の一人。
角田貴秀を一瞥してから、あたしはちょうど教室を出ていこうしていた女子の先輩へと小声で話しかけた。
「あのぉ……すみません。ちょっと良いですか?」
「ん? なぁに?」
スポーツでもやっていそうな、健康的で溌剌としたイメージのその先輩は、あたしの方を向くなりニコリと笑って足を止めてくれた。
「えっと、角田先輩に安達先生が呼んでるって伝えてもらえませんか? すぐ職員室へ来るようにって頼まれたもので……」
(……いた)
その花瓶の、ずっと向こう。
以前と同じ、一番窓際の席に彼らはいた。
ただ、唯一違うのは前に比べて大人しくしているということ。
そのため、教室の中は比較的落ち着いた雰囲気にはなっていた。
一体何を話しているのか、六人は全員で身を固めるようにして集まり、ポツポツと何事かを囁き合っている。
その中の一人。
角田貴秀を一瞥してから、あたしはちょうど教室を出ていこうしていた女子の先輩へと小声で話しかけた。
「あのぉ……すみません。ちょっと良いですか?」
「ん? なぁに?」
スポーツでもやっていそうな、健康的で溌剌としたイメージのその先輩は、あたしの方を向くなりニコリと笑って足を止めてくれた。
「えっと、角田先輩に安達先生が呼んでるって伝えてもらえませんか? すぐ職員室へ来るようにって頼まれたもので……」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
すべて実話
さつきのいろどり
ホラー
タイトル通り全て実話のホラー体験です。
友人から聞いたものや著者本人の実体験を書かせていただきます。
長編として登録していますが、短編をいつくか載せていこうと思っていますので、追加配信しましたら覗きに来て下さいね^^*
風の音
月(ユエ)/久瀬まりか
ホラー
赤ん坊の頃に母と死に別れたレイラ。トマスとシモーヌ夫婦に引き取られたが、使用人としてこき使われている。
唯一の心の支えは母の形見のペンダントだ。ところがそのペンダントが行方不明の王女の証だとわかり、トマスとシモーヌはレイラと同い年の娘ミラを王女にするため、レイラのペンダントを取り上げてしまう。
血などの描写があります。苦手な方はご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる