病み憑き

雪鳴月彦

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第二章:秋本夢美――②

秋本夢美――②

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 誰かが歩いたような痕跡は、ここで途絶えている。

 まるでそこにだけ不思議な力でも作用しているかのように、不自然に開けた小さな空間。

 鬱蒼と伸びる木々の枝葉もそこだけを避けるように回避し、上からはどんよりとした空の光が落ちてきている。

 その空間には、地面が盛り上がり木の根が隆起している部分がありそこにポッカリと黒い小さな入口が無言で口を開いていた。

(……これって、何だっけ。前にテレビで観たことある。樹海の地下に続く穴があって――)

 風穴。

 その単語を思い出すのに、一分近くかかってしまった。

 ずっと前、テレビで観た。小さく狭い入口をレポーターが入っていき奥へ進むと、洞窟みたいに広い地下空間が広がっているという自然が作り出した神秘の空間。

 その入口に、ここは酷似していた。

(人工的に作られたってこともあり得るよね? かなり年季が入ってそうな雰囲気はあるけど、これ……入って大丈夫なの?)
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