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第一章:秋本夢美――①
秋本夢美――①
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全員、名前もわからない。
(あ――!)
そう結論を下しかけたとき、一人だけ記憶にヒットする人物が紛れていることに気づいた。
確かひと月ほど前だっただろうか。
お姉ちゃんに会うためここへ来た際に、教えてもらったことがある。
下の名前は度忘れしてしまったけれど、名字は覚えている。
箱沢。それで合っているはずだ。
あたしが暮らすこの夜目沢市の市長、 箱沢光世の次女。
そう説明を受けていたことで、印象には残っていたのだ。
でも、裏を返せばそれだけ。他に情報があるわけでもない。
これ以上彼女たちを見つめていても話が進まないため、あたしは先輩へと顔を戻した。
「お姉ちゃんのことで、訊きたいことがあるんです。少しだけでも良いので協力していただけませんか?」
「……真面目な話、だよね?」
「はい」
問い返してくる言葉に、小さく首肯する。
(あ――!)
そう結論を下しかけたとき、一人だけ記憶にヒットする人物が紛れていることに気づいた。
確かひと月ほど前だっただろうか。
お姉ちゃんに会うためここへ来た際に、教えてもらったことがある。
下の名前は度忘れしてしまったけれど、名字は覚えている。
箱沢。それで合っているはずだ。
あたしが暮らすこの夜目沢市の市長、 箱沢光世の次女。
そう説明を受けていたことで、印象には残っていたのだ。
でも、裏を返せばそれだけ。他に情報があるわけでもない。
これ以上彼女たちを見つめていても話が進まないため、あたしは先輩へと顔を戻した。
「お姉ちゃんのことで、訊きたいことがあるんです。少しだけでも良いので協力していただけませんか?」
「……真面目な話、だよね?」
「はい」
問い返してくる言葉に、小さく首肯する。
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