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 アレクセイ公爵家の本邸は、王都貴族街でも一、二を争う豪華絢爛な大豪邸だ。古く長く王家に仕え、時には血筋を分けてもらい、関係を強固にしてきた。公爵家独自の領土を持っていないので領主勢力からは「王家の腰巾着」と揶揄されたりしているが、長年に渡って積み上げた実績と権威は本物だった。
 あまりにも強固に作られた地盤のお陰で、無能が頭に据えられても家を少し傾けるだけで済む。それが代を続いても、王家の庇護のある限りでは没落は免れるだろう。しかしそれは、最悪を回避しただけだということであって、回復しなければいずれは見捨てられるものだということを、留意しなくてはならないものだった。

 当代アレクセイ公爵ロビンソンは、己が優秀でないことを自覚していた。王国の安寧の時代に生まれてきた幸運を噛み締めるくらいには、真剣に。根が臆病で肝が小さいことまで自己評価として正しくされているが、彼には自覚できていない欠点があった。

 とにかく、頭が高い。

 才能のなさを公爵家の権威で補おうと(無駄な)努力をした結果だ。ロビンソンがいくら小物でも、公爵位がある限り誰も彼には逆らえない。彼は親にもそう教えられたし、実際身分社会では統制をとるべきよすがであるため、正しい振る舞いでもある。
 しかしそれも、節度というものがある。

「へえ、最近うるさいなあと思ってたら。変な風に契約を嗅ぎ付けられた挙げ句の強行突破?無茶しすぎだよ」

 面白そうに笑うのはこの国の王太子。黒髪に紅玉の瞳を持つ彼は、一回り年上の「絶氷」と一目おかれる美麗な青年を目の前にして、全く威厳を揺るがせない。彼こそ面と向かってロビンソンを小物と言い放ち、激怒させたことがある。若気の至りだ。

「それで?あなたはぼくに露払いをお願いしたいわけではないでしょう?」
「そんな。一侯爵家の嫡男として、またこの国に住まう一人の国民として、天下に大名轟くあなたさまにそのような不遜な真似などできません。まして矮小な私の存在なれば」
「――そうやって馬鹿にするの、やめてくれる」

 子どもらしいふくふくとした顔がさすがにひきつった。セシルはしれっと「申し訳ありません」と言い、自分の通り名すら利用して皮肉を叩いたことを認めた。絶氷は時に聡慧に変わり、王兄たる王立学園の長にも国随一、比類なしと称賛されたこともあるセシルである。
 そんな面の皮の分厚い男を前にして、こいつ打ち首にできないかな、と幼き権力者は内心で呟く。会うたびに呟いているが、実現されたことはないし、これからも絶対にないのはわかってはいるのだが。全く、その無駄に優秀な頭脳だけ、取り出せるなら取り出して楽しく百辺は刻んだのに。

「ぼく、お前だけはぜっったいに側近にしない。父上の命令でもヤダ」
「そうでしょう、私では容姿も頭脳も武力に関しても殿下のお役に立てるような才を持っているわけではありませんので」
「……ねえ、苛々してるのはわかるんだよ。でもさ?ぼくみたいないたいけな子どもに八つ当たりするのを、みっともないとは思わないわけ?」
「八つ当たりなど畏れ多い。私のような矮小な人間では、殿下のように虫よりしぶとい――ごほん、ごきぶりのように逞しい――ごほん、ねじが緩んでいるお方を傷つけることなど、できはしません」
「おっ前全然ごまかせてなからね!?結論最悪だし!何!?虫けら扱いの果てにぼくを最終的に頭のねじの緩んだボケだって思ってるわけ!?侮辱罪だ侮辱罪!ケリー!打ち首!!」
「本日も仲がよろしいようで、何よりでございますね、お坊っちゃま。わたくしめが再度陛下に口添え致しましょうぞ」
「やめろっつってんの!!」
「私からもご遠慮願います」
「ほっほっほっ。最近わたくしめも耳が遠くなりましてな?」

 ほのぼのと口ひげを揺らして笑う、王太子の教育係ケリー・ハルメイ元伯爵。頭でっかちで威勢ばかりが凄まじかった天下無敵のオレサマ王太子に「小物」という言葉を教えた元凶である。その言葉に打ちひしがれたのは、なにも公爵だけではなかったりしたのであった。
 そうして性根が叩き直された(物理込み)王太子の一番の理解者であり、優秀ゆえに行き場のない葛藤を抱えていた彼を心配して、若き俊英を出会わせたのも彼だ。こうして健全に怒鳴るようになった教え子に日々感激しているケリーは、それゆえにセシルに感謝奉った挙げ句、元側近として国王に進言して側近候補にこっそり捩じ込ませたのだった。
 たった今、セシルにばれてしまったが、そのうそ寒い笑顔すら飄々といなす最強の教育係だ。

「さてさて、お二人とも、本題が逸れておりますぞ」
「逸らしたのは誰だと思ってんだ……!」

 王太子はそれだけを言い返したあと、鼻を鳴らして手打ちにした。短い足を組んで、「で?」とセシルを睨む。

「いい加減言え」
「化けの皮が剥がれてますよ殿下」
「化けの皮言うなお前が。こっちは暇じゃないんだ、さっさと言え。そして帰れ」
「奇遇ですね。私もここに長居するほど暇をもて余しているわけではなくて」
「前置きが長いって言ってんだよ」
「失礼。ですが、ここで憂さ晴らしをしないといけない用事があったのも確かですから」
「ケリー、打ち首」
「しかし、そろそろのようですね。あなたの言われた通りに致しましょう」

 王太子を無視してセシルは席を立った。おい、と背中からかけられる声を無視して扉まで歩いていったところで一瞬立ち止まり、素晴らしい笑顔で振り返って、告げた。

「――これから盛大に荒らしますので、心の準備を、とだけ。それでは」

 呆気にとられた少年と目を見開くばかりの老人の目の前で、ぱたりと扉が閉じられた。

「……は?荒らす?おい、まさかあいつアレクセイだけじゃなく……」
「まあ、ここで全てを相手にした方が早いですからなぁ」
「じょっ、冗談じゃない!!おい待てこらセシル・スートライト!!お前それはあれか!後始末全部ぼくに押し付けるのか!」

 部屋から飛び出して廊下を見渡すと、既に逃げられた後だった。扉を守っていた衛兵がぎょっとしているが、王太子は構う余裕もなく地団駄を踏んだ。

「あいつ!言った通りに言い逃げしやがった……!!」
「言い置いてくれただけ親切なのでは?」
「終わったあとにぼくが父上に叱られるってわかっただけだろうが!対処も噛ませてくれないんだぞあいつは!ああああ、先に釘刺せばよかった……!」
「さすがですなぁ……」
「だからぼくはあいつが大っ嫌いなんだ!!」

 その王太子の絶叫は、内宮を大きく震わせたのだった。














『だからぼくはあいつが大っ嫌いなんだ!!』

 別室で控えていたシドは、聞こえてきた大声に首を竦めた。こうも堂々と王太子殿下を手玉に転がすことができるのはこの人しかいないだろうと、部屋に入ってきた色んな意味で至上の主人を迎える。

「それじゃあ先触れは終わったことだし、行くよ」
「……はい」
「アデル。いつでもいいよ」
「わかったわ」

 ソファに座っていたアデルは、優雅に立ち上がった。最近は屋敷内でのはっちゃけた姿しか見ていなかったシドが思わずほうとため息をつきたくなるような、洗練され美しさが際立つ据措だった。流れる髪の一筋すら掌中に収め、指先から背筋、瞳の動き、唇の淡い色……全てから花のように匂い立つ貴品。

「大輪」のアデライト。紳士として比類なしとセシルが讃えられるならば、淑女としてはアデライトが随一と、誰もが褒め称える。それは社交界を統べる王妃すらもだ。
 誰もがその美貌に目を向ける。振り返らずにはいられない。それこそが魅力だと信じる者たちは、誰もが、その美貌を際立てるものに気づかない。注意深い者ならば反対に、ますます瞠目することになる。
 アデルの魅力は美しさだけではない。その肢体に染みついた磨きあげられた立ち居振舞いや、場を読む上手さ、なんなら控え目に微笑んでいるだけでも、その姿勢から滲み出る圧倒的な存在感がある。
 自由奔放だった昔にヒルダから鍛えられ、複雑な事情のもと離れていた数年間(アレン曰くツンデレ最高潮期)で、姉に誉められたいが一心で己に研きをかけにかけた、努力の結晶である。先に「大輪」の姿を知っていたシドでさえ、改めて目にしてその気品と畏敬に腰を折りたくすらなる。
「暴君」しか知らないアレンが見たらどう思うかな、とセシルは笑みを含めて妹が歩み寄るのを待ち、差し出した掌に載せられた白魚の繊手を柔らかく握りしめた。

 二人が交わした青い瞳には、全く同じ炎が燃えていた。
 苛烈なあまり、残酷ですらある色だった。たおやかな風貌に似合わぬぎらつく眼光がお互いを貫く。こうして比べてみると、やはり二人の容貌は似通っており――中身までまるで双子のようだと、シドは思った。何らかの手違いで、母の胎の中で分かたれたのではないか。

「初戦は?」

 妹の物騒かつ短い問いに、セシルもまた出陣する指揮官のように端的に返答した。

「まずは目に見える釘から叩き潰す」





















 セシルとアデルが双子のような兄妹なら、その間に生まれたヒルダとて同じことだ。
 そんなヒルダは、驚異的な意欲と根性と手回しのよさと社交能力で、まだまだ足りない人脈を補って余りあるほどの情報を、わずか一日で仕入れてきた。

「アレクセイ公爵家……こうしてみると、ずいぶん傾いてるのね。しかも姉弟揃って頭が弱く、家を盛り立てる気概も意識もなく身分を傘に着て散財ばかり、と。本当、よくも分際を弁えず兄上とアデルに婚姻を取り付けようとしたものね。分不相応すぎてむしろ笑えてくるわ」

 ヒルダは無表情でばっさり言い切った。
 対面に座って残業していたアレンは、一晩越してますます剣呑な様子の後輩に口を挟む無謀さは持っていなかった。というかマジ怖い。セシルより怖いかもしれない。
 セシルはどれだけ激怒しても笑みを忘れない(冷笑嘲笑と種類は問わない)が、ヒルダは反対に、表情筋が死滅するタイプらしい。柔和な微笑みを湛えているのが常なので、その落差ギャップがかなり際立っている。

(こりゃあ……)

 凝り性なヒルダのことだ、普段は心がけて笑顔でいるのだろうとアレンはそこまで推察した。
 当たらずとも遠からず、ヒルダからしてみれば、どうしても抱いてしまう劣等感をあげつらって周囲に攻撃されないように、大好きな兄妹を不安がらせないようにと仮面を磨いただけのことだ。
 物は何であれ大切に扱うヒルダが、珍しく手元の書類をばさりと乱雑にテーブルの上に放るところにも、心中が垣間見えた。クリップで留めているので散らばることはなかったが、アレンは何気なくその書類に視線をやって――ぎょっとして立ち上がった。

「……ヒルダ、これ、アレクセイ家の家政記録じゃないのか?」
「え?ええ」
「どこから手に入れた!?」
「盗んだりなんてしてないわ。あたしが作ったものよ、ほら、よく見て。あたしの字でしょ?」

 アレンは拾った書類を見つめたまま、ぽかんと放心した。
 ……自力で作った?二年分もあるぞ?
 しかも元の資産から現在の残高まで計算してある。
 単なる調書やメモ書き程度かと思っていたらばっちり表や一覧にまとめられていて――しかもご丁寧なことに表紙と目次までつけている――アレンは猛然と書類を捲った。
 丁寧で、女性らしい可愛らしさよりも実務を優先したような四角く読みやすい字に、要点を掴んで簡潔に書かれた文章、時折入る表はこれまた重大だと一目でわかり、……あり得ないことに、最後の章はこれから先数年の収支予定まで記されていた。そこまでする必要はあったのかと思ったが、口にはしない。
 できなかったという方が正しい。
 裏表紙にまとめられた参考文献ならぬ調書を取った際のものだろう参考人らの名前の列挙の下に、他でもない彼の唯一の上司の名前が、はっきりしっかりと刻まれているのを目撃してしまったので。

「あ、気づいた?これが完成するまでに兄上が助言して、監修までしてくれたの。主に最終章なんだけど」
「……あいつ……」

 ヒルダは遠ざけるつもりじゃなかったのか。まさか初の三兄妹共同作業だとかで受かれてる訳じゃないよな。
 片手で目を覆って、えも言えぬ脱力感を訴えるアレンの前に、ことりとティーカップが置かれる。アレンが読んでいるうちにヒルダが用意してくれたらしい。対面に座り直す後輩を思わずじっと見つめてしまったアレンは、気づけばぽつりと呟いていた。

「……本当にすごいよな」
「え?」

 思わぬ言葉にヒルダは目を丸くして、自分が飲んでいたお茶から唇を離した。

「すごいって……」
「いや、ほんと。普段の業務の片手間でここまで普通できるかよ」
「兄上が手伝ってくれたから」
「素地はお前が作ったんだろ、これ。確かにセシルがすごくないとか言いたいわけじゃないが……」

 ヒルダが雑に扱った書類を、アレンは大切にテーブルの上に置いた。そして、まるで芸術品のように惚れ惚れと見つめる。

「あいつ、ちっさな物から天性の勘働きで大きく線を引いて繋げていくのは大得意だけど、反面思考回路読めないときあって、昔はおれもかなり振り回されたよ。でもその代わり、頭の回転がとんでもなく早い。さすが天才って感じ」
「そうよね。兄上は本当に賢いの」
「お前もだよ」

 ヒルダは自分に回ってきた称賛に再びきょとんとした。しかし、脈絡がないなと考えるのはヒルダだけだ。むしろこれからがアレンの言いたいことで。
 アレンはほとほと感心していたのだ。これで評価されないどころか蔑まれていたとか、全く意味がわからない。この少女と渡り合える実力を持った人間など、王都でも数えられる限りしかいないだろう。

「あいつはああいうやつだから、こういった調査から計算、要約に編集……はっきりとした根拠に立って地道に作り上げていく真似は、もっと時間がかかっただろうな。それをお前はこんな短時間で」
「で、でも、それは兄上が手伝ってくれたからよ。それに人海戦術だし、兄上ならもっとうまくできたはずなの」
「ヒルダ。おれにだけはその『予防線』を張るのはやめてくれ。そりゃあまだ短い期間だが、一緒に仕事をしてきて、ちゃんと知った。お前が頑張ってきたこと。知ったような口を利かせてもらえばさ、お前が故郷で努力してきたこともわかってる」

 唖然としているヒルダに、アレンは優しく微笑んだ。

「……お前、暗算速いもんなぁ。速記も、収支報告書も正確無比でさ。人海戦術とか嫌そうに言うけどさ、それの何が悪いんだ?情報拾って、裏付ける証拠も見つけて、確実な部分をたくさん見つけて繋げていって、絵を描く。あり得ない速度で」

 、文脈もわからずヒルダが認識したのはその部分だけだった。

「……そ、れは、昔から慣れてたから」
「経験して体に染み付いてるってことか。なおさらすげぇや。本当に頑張ってきたんだな。だっておれ、ここに勤めて長いけど、まだまだ未熟なんだ。こないだ頭の回転遅いってセシルにも言われたし。そうかー、経験か。もっと頑張らないとな。先輩なのに立つ瀬がなくなっちまう」

 にっかり笑ったアレンはようやくお茶を口に含んだが、ここでまた新たに思い出したこともあれば、発見したこともある。

「そう、あと、お前って臨機応変がとても的確。ないならないで諦めたあとの代替案が元の奴よりいいかもって思うものがとても多い。このお茶もな。お客さんの出身とか土地柄とか、おれが教えた以上に自分で工夫して茶葉を選んで出してさ。旨いしお客さんもみんな大絶賛してるんだぜ?ほんとすごいよなあ……って、あれ?」

 そこでアレンはようやく奇妙な沈黙に気づき、視線を上げ……ぽかんとした。
 ヒルダが両手で顔を覆ったまま固まっている。

「どうしたヒルダ?気分悪いのか?頭痛?」

 慌てて立ち上がったアレンに、ヒルダは顔を覆った手をそのまま、ふるふると頭を振った。

「……ち、違うの。兄上以外に、こんなに褒められたのが、は、初めて、で」

 鈍いヒルダではないのでアレンはすぐに察した。顔は隠していても、耳が真っ赤になっているのが丸見えで、思わずふにゃりと笑ってしまう。

「照れてるのか。可愛いなぁ」
「……」
「褒められたことないなら、普段からもっと言うべきだったな」
「……アレンは、思ったりしないの?女の癖にとか兄上の二番煎じとか……」
「誰が思うかそんなこと。お前が長年をかけて頑張ってきたことを、馬鹿にできるわけないだろ。お前の磨いてきた能力はセシルが追いつかないほどなんだぞ。言った瞬間におれの立場と矜持がどん底だわ」
「……」
「なにより、お前が必死に守ろうとしてるもんを、おれが貶められるわけがない。言ったろ?おれに『予防線』はいらないって。ちゃんとわかってるからさ」
「……アレン」
「うん?」

 ヒルダが顔を覆った指の隙間から、青く潤んだ瞳を覗かせていた。
 そしてこの一言だ。

「そんなに褒めてくれるんだったら、ついでに、な、撫でてくれてもいいのよ……?」

 ばきゅん。

 アレンの胸が撃ち抜かれた。
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