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新月の章 鮮血ヲ喰ライシ断罪ノ鎌
鮮血ヲ食ライシ断罪ノ鎌 4
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そこからは地獄絵図だ。
瞬く間に蹂躙される。
落下の衝撃で呻く者は魔犬の前足で踏み潰され、挽き肉となる。
槍を遠方に飛ばされた三人の騎士は、咄嗟に剣を抜いたところで魔犬の爪が、牙が、肉体がそれぞれを引き裂き、食いちぎり、踏み潰される。
その光景を目の当たりにした貴族は腰を抜かす。
俺はそいつに一歩一歩歩いていった。
その前に護衛二人が立ち塞がる。
「邪魔だ、通せ」
「易々と通すと思っているのか」
護衛の一人が石のような物を投げつけてきた。
突如、俺の体が爆ぜる。
鎌を握っていた左腕は飛ばされ、左足は消える。
爆薬か。
そこへすかさずもう一人の騎士の剣が俺の左胸を貫き、爆薬を使った騎士が無防備になった首を飛ばす。
だが、その肉体は首が飛ぶと共に赤い液体へと変化し、瞬時に霧散した。
「身代わり!?」
驚愕する騎士に俺は短剣を首に突き刺し、その体をもう一人の護衛騎士に向けて蹴飛ばした。
体勢を崩された騎士は無様な転びかたをして、仰向けに倒れた。
「食らえ、憑血の魔犬」
魔犬は生死の有無に関わらず、鎧ごと砕いて彼らを食した。
そして魔犬が食した血が霧となり、鎌へ集まる。
魔犬が吸収した血は詠唱なしに鎌へ送られる。
「さて、邪魔者は消えた。ゆっくり話をしようじゃないか」
「あ、あ…………あぁぁぁぁぁぁ…………」
怖いのか、ズボンから液体が流れ出る。
漏らしたのか。
「精鋭な騎士は愚かな主のせいでこうなった。彼らはただただお前に従い、任を全うしようと努力した。下らない任務であっても、だ。彼らの行いは許されない、だが元の元凶を正せば全てお前がいけないんだよ」
「な、何故だ……………………」
「何が?」
なんだこのゴミは? まだ己の罪を認めないのか?
「何故私がこんな目にあわねばならんのだ!?!? 私は誇り高きグランドルが遠縁…………ガレット家の当主ぞ!!!」
「だからなんだ? お前の行いが正しいとでも? 適切な税を納めないで遊ぶ富裕農民ならまだしも、罪の無い村の人達にこんなことしていいと思ってるのか?」
「そうだ! 私は選ばれし高貴なる器!! 下郎共に何をしようが私の勝手だろうが!!!」
はぁ、駄目だこれは。
「死ねっ! 『ジブラル・クレイディオ』!」
俺の真下が輝き、尖りに尖った数多のつぶてが俺の肉を削いでいく。
奇襲用にはピッタリな魔術。
だが、
「『散った者の血を代償に発動せよ……………………贄血の治癒』」
俺との相性は最悪だ。
「クソっ!!! 魔術も使わない邪道めっ!」
「魔術が正義で最強だと誰が決めた? 現にお前達は俺に負けただろ? この世に本当の正義はない。勝ったものが正義なんだよ」
「グッ!!!」
「もうお前は眠れ。力は使うべき者が、使うべき時に使うものだ。お前のその血を来るべき時に使ってやる。裁きを受けろ」
俺の言葉に、貴族が反応する。
「血、断罪の鎌、裁き……………………
ハハハハハハハハハハッッッッッッッ!
そうか、貴様! 教団の生き残」
「食らえ、憑血の魔犬」
「貴様ァァァァァァァァァァッッッ!」
最後の言葉は、魔犬の口が閉じられるときに途絶えた。
瞬く間に蹂躙される。
落下の衝撃で呻く者は魔犬の前足で踏み潰され、挽き肉となる。
槍を遠方に飛ばされた三人の騎士は、咄嗟に剣を抜いたところで魔犬の爪が、牙が、肉体がそれぞれを引き裂き、食いちぎり、踏み潰される。
その光景を目の当たりにした貴族は腰を抜かす。
俺はそいつに一歩一歩歩いていった。
その前に護衛二人が立ち塞がる。
「邪魔だ、通せ」
「易々と通すと思っているのか」
護衛の一人が石のような物を投げつけてきた。
突如、俺の体が爆ぜる。
鎌を握っていた左腕は飛ばされ、左足は消える。
爆薬か。
そこへすかさずもう一人の騎士の剣が俺の左胸を貫き、爆薬を使った騎士が無防備になった首を飛ばす。
だが、その肉体は首が飛ぶと共に赤い液体へと変化し、瞬時に霧散した。
「身代わり!?」
驚愕する騎士に俺は短剣を首に突き刺し、その体をもう一人の護衛騎士に向けて蹴飛ばした。
体勢を崩された騎士は無様な転びかたをして、仰向けに倒れた。
「食らえ、憑血の魔犬」
魔犬は生死の有無に関わらず、鎧ごと砕いて彼らを食した。
そして魔犬が食した血が霧となり、鎌へ集まる。
魔犬が吸収した血は詠唱なしに鎌へ送られる。
「さて、邪魔者は消えた。ゆっくり話をしようじゃないか」
「あ、あ…………あぁぁぁぁぁぁ…………」
怖いのか、ズボンから液体が流れ出る。
漏らしたのか。
「精鋭な騎士は愚かな主のせいでこうなった。彼らはただただお前に従い、任を全うしようと努力した。下らない任務であっても、だ。彼らの行いは許されない、だが元の元凶を正せば全てお前がいけないんだよ」
「な、何故だ……………………」
「何が?」
なんだこのゴミは? まだ己の罪を認めないのか?
「何故私がこんな目にあわねばならんのだ!?!? 私は誇り高きグランドルが遠縁…………ガレット家の当主ぞ!!!」
「だからなんだ? お前の行いが正しいとでも? 適切な税を納めないで遊ぶ富裕農民ならまだしも、罪の無い村の人達にこんなことしていいと思ってるのか?」
「そうだ! 私は選ばれし高貴なる器!! 下郎共に何をしようが私の勝手だろうが!!!」
はぁ、駄目だこれは。
「死ねっ! 『ジブラル・クレイディオ』!」
俺の真下が輝き、尖りに尖った数多のつぶてが俺の肉を削いでいく。
奇襲用にはピッタリな魔術。
だが、
「『散った者の血を代償に発動せよ……………………贄血の治癒』」
俺との相性は最悪だ。
「クソっ!!! 魔術も使わない邪道めっ!」
「魔術が正義で最強だと誰が決めた? 現にお前達は俺に負けただろ? この世に本当の正義はない。勝ったものが正義なんだよ」
「グッ!!!」
「もうお前は眠れ。力は使うべき者が、使うべき時に使うものだ。お前のその血を来るべき時に使ってやる。裁きを受けろ」
俺の言葉に、貴族が反応する。
「血、断罪の鎌、裁き……………………
ハハハハハハハハハハッッッッッッッ!
そうか、貴様! 教団の生き残」
「食らえ、憑血の魔犬」
「貴様ァァァァァァァァァァッッッ!」
最後の言葉は、魔犬の口が閉じられるときに途絶えた。
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