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4 不審者との遭遇
しおりを挟む深い深い溜息を吐き出しながら、どんよりとした近寄り難く暗い雰囲気を辺りに振り撒いていた女性へと、声を掛ける者がいた。
濃い紫のパーカーを着た中肉中背の青年。
服とズボンの紋様じみた装飾が、妙に目を引いてしまう。
「…………あの。ひょっとしなくても、わたしに声を掛けました?」
紫色のフードを目深に被っているせいで相手の表情を伺うことは出来ないが、僅かに覗く鼻や素肌から、顔立ちが整っているであろうことが感じとれてしまう。
「……えぇ、えぇ。そうです、貴方様……ですとも。……フフッ……」
そう言って、わたしに近付いてくれば、鼻に花の香りに似た甘い芳香がこちらに漂ってくる。
お洒落で、香水でもつけているのか。
何処かで嗅いだことがあるようでいて、生まれて初めてのような。
そんな不思議な感覚を覚える。
服装も相まって、なんだか気味の悪い雰囲気だという感想が浮かんでしまう。
「……クフフッ……知っていますよ、貴女のこと。どうやら普通ではない悩みを抱えていらっしゃるようで────」
「あっ、もしもし警察ですか。ストーカー被害について」
「────ちょっと、待ってくださいな」
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