失恋は甘く苦く

谷川ベルノー

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1 この心も、砕けてしまえばいいのに

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 パキリッ、パキリッ、パキリッ。

 細い枯れ枝を折り続けるような、軽快な響き。
 静かな部屋に小さく鳴り続ける。


 それは、大きなハートのチョコレートを割っていく音。  
 一つを砕け続け、やがて複数のチョコになっていく。


 大き目の一口大になったそれ。
 指先で摘み上げて、眺める。

「…………」


 暫くそうしていたけれど、やがて思いきって口の中に放り込む。

 ボリボリ、ボリボリ。
 口に入れたものが歯で砕かれていけば、細かな破片となって口内の温度で溶けていく。

 わたしの、思いと共に。

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