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第一章 ドラゴンを退治しようぜ!

2 夢見るままではいられない世界

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 気付いたら、すっげぇ大大大好きな小説(正式名称長いので省略して)イセテンの主人公の姿になっていた俺は今後どうすべきかと悩んだ。
 そして、女神様でも現れるんじゃないかと思いついたので、とりあえず待ってみることにした。
 けれど、どんなに期待しても何も起こらない。
 どれだけ経っても誰も来そうもなかった。

「おっかしいな──? イセテンだと女神様が現れて、異世界のことを教えてくれるはずなんだけどなぁ?
……う~ん……」

 期待外れにガッカリしたが、これ以上ここに突っ立ってても何も起こらないし、どうにもならなそうだ。
 そう判断すると、一先ず森から離れることにした。


 がむしゃらに走っても身体はちっとも疲れない。
 しかも剣を背負っていて、軽装だが鎧を着ているというのに重さはほんの少し程度。息切れすることもないことが俺はカケルになっているんだと実感してワクワクした。

「スッゲェ──! 俺は今まさに本当に本物のカケルになっているんだ!!」


 どれだけ走ったか、何処に向かっているのか分からない。この世界の住人に会いたくて兎に角走って走って走り続けた。

 流石に、そろそろスタミナが切れそうか?とちょっと心配しかけた時に辿り着いたのは、粘性生物の群れが見える草原。

「くぅ~! ますますカケルっぽくなってきた──!!」

 背負っていた剣を鞘から抜いて構える。知らない時にはただ光輝いて見えただけだったのに、今では神々しささえ感じている。

 戦うぞと思ったら自然と構えが出来たことに疑問はあったが、俺はカケルなんだから当然なんだと思って特に気にはしなかった。
 目の前に広がるのは大量のスライム。
 度重なるファンタジー展開の連続に興奮が抑えきれない。

(女神様から勇者の力と剣を貰ったカケルは、沢山のスライムに怯まず飛び込んで行くんだよな~!)

「勇者カケルにかかってこいっ!スライム共!!」

 勇者カケルは脳内で歓喜の雄叫びを上げ、口からはイセテン一話のスライム戦開始の台詞を叫び、斬り掛かって行った。


「何やらかそうとしてんのよこの馬鹿──!!」

 ────いや、正しくは飛び掛かろうとした瞬間に少女の魔法による爆発で吹っ飛ばされていた。

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