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13.番の衝動と変移 ※
しおりを挟むそれはその日の夜のことだった。
ディランとたくさん話をしたルシアは伯爵家であまり寝れていなかったこともあり、心身共にかなり疲弊していた。顔色悪そうにしているのにすぐに気づいたディランはルシアに横になって休むようにいい、ルシアはその言葉に甘えて、自室で眠りについた。
再び起きたのは夕方で、ルシアのベッドの側で椅子に腰掛けて本を読んでいたはずのディランの姿は消えていた。
部屋の外からいい匂いがして、おそらく夕飯を作ってくれているのだろうと思いながらルシアは大きな欠伸をした。お昼ご飯を食べそびれてお腹はぺこぺこだった。
お腹が空いたとディランにねだって早めに夕飯を食べさせてもらおうと思った時だった。
体に異変を感じてルシアはその場に固まった。
体が何だか熱い。風邪のひき始めのようにぽかぽかとして少し怠い。
気のせいかと思って少しじっとしていたが、寝起きはそうでもなかったのにどんどん悪化し始めてルシアは冷や汗をかいた。
火照っているだけの体が徐々にじんじんと強い熱を持ち始めてルシアは困惑した。
とにかくおかしいことを伝えないといけないと思い、布団の中から出てベッドの上を這うと、腰が上手く立たなくてその場にぺしゃんと潰れてしまった。
そんな、これではディランの元に行けない。何か良くない病気だったらどうしようと思いながらルシアは名前を呼んだ。
「ディラン…」
そこまで大きな声は出なかったのに、すぐにパタパタと足音が近づいてくる。
閉まっていたドアがゆっくりと開いて廊下の光が薄暗い部屋に差し込むとディランがベッドに近づいてきた。
「どうしました」
それはルシアが聞きたいくらいだった。
「なんか、体が変で」
突然体がおかしくなったのだと、また立てなくなったと告げるとディランはベッドの縁に腰を下ろした。そのままルシアの背中を撫でてゆっくりと手を下ろし、腰の辺りを優しくさするとルシアはびくりと体を揺らした。
「やだ、それ…やめて」
ディランの大きな手でそこを撫でられるとなぜか下腹部がひどく疼いて、足の間がむずむずとした。
「燃料切れですね」
「ねんりょう…」
何のことだと首を傾げるとディランはルシアの体を抱き寄せて、唇を重ね合わせた。数回啄むとすぐに舌が入ってきて、優しく舌先で口内を撫でられる。自然とルシアも舌を絡めたくなって、積極的にディランと深い口付けを交わすと、腹の奥が急激に熱くなって、そこがとろりと濡れるのがわかった。
どうしようディランに触れられるたびに欲しくて堪らない気持ちが膨れ上がる。
体の変化に驚きながらルシアは目を逸らした。何を考えているの、と自分を叱りながら落ち着こうとする。
それでも息は荒くなるばかりで、お腹は疼いて、胸の先も服に擦れてむず痒くなってきて、ますます動揺して泣きそうになっているとディランに優しく抱きしめられた。
ディランの温もりを感じると体は格段に落ち着いてシャツにしがみついて顔を埋めた。そしてルシアは気づいた。
「ディランこれ、もしかして」
甘い吐息を吐きながら苦しそうな顔で尋ねるとディランは少しだけ申し訳なさそうな顔をして告げた。
「昨日の夜、ルシアの体に精を流し込んだあと、変移を促しました」
「そんな」
ルシアは驚いてディランの顔を見上げた。真っ直ぐにルシアを見つめる赤い瞳はとても綺麗で熱っぽくて甘い。疑っていたルシアもその目を見て本気なんだと理解した。ただ頭で理解しても気持ちはついていかず、ルシアは困惑する。
ルシアは竜人族向けの魔草薬を作る過程で竜人族の特性については粗方調べ尽くしていた。
竜人族は番と呼ばれるパートナーを作るが、番が別種族の人間だった場合、寿命や体質が異なるため、それらを合わせるために自身の体液を通して魔力を与えて変移と呼ばれる体質変化を促すと言われていた。
変移した他種族は竜人族と同等の力や寿命を得ると言われている。ただし、誰もが変移できるわけではなく、竜人族側が正式に番と認めた相手にしか起こらないのと、竜人族の体液は劇薬であるため、慣らしという段階を踏んで少しずつ取り込まなくてはならないはずだった。
一般的に人の魔力は精液や愛液、血液、唾液の順番に魔力量が多い。慣らしでは竜人族の血液を薄めたものを少しずつ番に飲ませて馴染めば完了だと書物には書かれていたが、ルシアはディランの血液を飲んだ記憶はなかった。
「慣らしは」
「たっぷりしてあります」
「いつ」
ルシアは恐る恐る尋ねたが、ディランは頑なに答えようとはしなかった。
正直、生活の全てをディランに任せてしまっているため、いつ飲まされていたのかなんて考えたらきりがないほど心当たりがある。
慣らしをすると体が番の存在に反応して軽い発情症状が出る事があると言われているが、幸いルシアはほとんど起こらなかったようだ。
今思えば時々変な気持ちになる事はあったが、一人で処理できる程度だった。その事についてだけは痴態を見られなくて良かったと胸を撫で下ろした。
「どのくらい辛いですか」
そう尋ねながらディランはルシアの夜着に手をかけた。リボン結びにされていた夜着の肩紐を引っ張り、ディランはルシアを脱がせにかかった。
慣らしが終わり、体が竜人族の 変移の工程に移ると竜人族は番に自身の精液か愛液を定期的に与える必要がある。
体の変移は全て竜人族の体液に含まれる魔力によって引き起こされるからだ。
燃料が足りなくなれば変移は止まってしまうため、足りなくなる前に追加で注ぎ続けなくてはならない。
番との相性にもよるが、変移が始まった直後はだいたい数時間から1日に1回は竜人族の体液をもらう必要があった。
「本当はそろそろ体が完全に成体になるのでルシアに全てを打ち明けて同意を得てからと思っていたんですが、舞踏会でルシアを見たらどうしても我慢できなくて」
そう言われてルシアは舞踏会での自分の格好を思い出した。
露出度の高い挑発的な服にうなじがよく見える髪型。足が綺麗に見えるピンヒール。
竜人族は番に深い愛を注ぐため、裏を返せば嫉妬深く、独占欲も強い。あんな挑発的な格好で番が独身者限定の舞踏会に行ったなんて言われた日にはどんな暴挙に出るかわからない。
最後に話した茶髪の青年が言っていたように、足を切り落とされて監禁されてもおかしく…監禁されてないよね。
ルシアは別荘の中にルシアの開けられない鍵が至る所に取り付けられたことを思い出して、ん?と一瞬顔を顰めたが、基本的に出不精なタチであるため万が一そうだったとしても何も困らないか、と考えるのをやめた。
「ルシア…?」
ディランが少し不安そうにルシアに触れる。ルシアは全てを肯定するように甘い声でねだった。
「わからない。でもすごくじんじんする」
切羽詰まった顔は扇情的でディランも股間の辺りにすぐに熱が溜まるのを感じながらルシアの足の間に手を入れて中に指を差し込んだ。
「はぁっぅ…」
ルシアの体がびくりと震えて腰が揺れる。かき混ぜりると水音が聞こえて、今すぐに入れても問題ないくらいとろとろになっていることがわかった。予定の時間よりもかなり早く補給が必要になっている事に驚きながらもすぐに入れるべきだと判断してディランはベルトに手をかけた。
ルシアはその間ずっと何も身につけていない状態で足を曲げてディランにお尻を向けていたが、羞恥心を感じるほどの余裕さえなくて、大きな飢餓感に苦しんで必死に足を擦り合わせ腰を揺らしていた。
「ディラン…つらい。お腹熱い」
甘えた瞳でディランを見つめて秘部を見せつけたまま足を擦り合わせる。腰をむずむず揺らしてるとお腹の中はどんどん潤んでお尻の裏の方まで愛液が垂れていった。
お腹が苦しい。ディランのを入れて欲しい。我慢できなくてぽろぽろと泣き出すとディランは目を見開いて服の中から乱雑に肉竿を取り出した。
早く欲しいのにぼろんと出たそれはまだ完全には膨らみきっていなくて、ショックを受けたルシアは問答無用でそれを掴む。
「ルシア…」
困惑するディランに構わずルシアは上下に扱いた。早く大きくなってよ。
昨日は暗くて、一方的に体を暴かれたためよく見ていなかったが、ディランの肉竿は扱けば扱くほど大きく膨らみ立派になっていく。
どうなってしまうのだろと思いながらも、昨日はこのディランの立派な肉竿にとても気持ちよくしてもらったことを思い出して躊躇うことなく扱いていく。早く欲しい。昨日みたいにして欲しい。ディランに抱いて欲しい。
その一心でディランの中心についている雄を扱くとすぐにそこは大きくなった。びくびく震えて、先からは透明な液が漏れて、硬く大きく張り詰めてる。
一生懸命に扱くとディランが耐えるような顔をしながらもルシアの胸の頂をいじりだしてルシアは首を振った。
「今はだめ。これ以上欲しくなったらお腹がおかしくなっちゃう」
必死に伝えると少し申し訳なさそうな顔をしてすぐに手を離して代わりにルシアの唇を奪った。キスはとても心地よくて、腹は疼くが愛撫よりも緩やかに気持ちが盛り上がっていく。
ディランもルシアとの口付けは好きなようで熱心に舌を絡めると、興奮してルシアの秘部に肉竿を擦り付けた。
もう入りそう。
そう思ったルシアはディランの肉竿を掴んでルシアの中に導いた。
先端が入り口に当たって唇が離れて見つめ合う。ルシアの意思を悟ったディランがのしかかってきてルシアはディランの雄に貫かれた。
「あああぁっ…」
性急な交わりなのにルシアの中はとろとろで、ディランもかなり昂っていて、とても心地よかった。
互いにとても欲情した顔をしていて寄り添い合う。求め合っていることをすぐに理解してディランは腰を動かし始めた。
ゆっくりと大きな雄をずるりと抜いてはぬっと中に埋め込んでルシアの様子を見ていたディランだったが、物足りなさそうな顔をしている事にすぐに気づいて速度を上げる。
パンパンとルシアの体に釘を打つように強く早く雄を出し入れするとようやく嬉しそうに微笑んでディランの背に手を回した。
「お腹がすごくきもちい」
「さっきまで飢餓状態でしたからね」
「どのくらいでもらわないといけないの」
「体の変移が始まったばかりなので半日から一日おきには」
「大丈夫…?」
「何がですか」
尋ねるとルシアは小さな声で告げた。
「私のことそんなにたくさん抱ける?」
私にそんなに欲情するのと言いたげな、期待と不安が入り混じったような目にディランの雄が荒ぶり始める。
「半日おきと言わず、もっとしてもいいんですよ」
明らかに興奮してぐっと膨らんだ肉竿をガツガツと押し付けて尋ねるとルシアは恥ずかしがりながらも嬉しそうに微笑む。
「そんなにしたら、あきちゃ…あっ」
「飽きません」
ディランは少し拗ねた様子でルシアの体を掴んだ。
しっかりと覆いかぶさるとルシアの首筋に顔を埋めて擦り寄ると体をたくさん触れ合わせたまま腰を振る。掛け布団のようにディランの随分と大きくなった、でもまだ成長途中らしい体がルシアの華奢な体を包み込んでそのまま肉竿を出し入れし始めた。
側からみれば体の大きな雄にのし掛かられて犯されているような体勢だが、ディランはしきりにルシアの体に触れ、唇を重ねたがってルシアの顔に顔を近づける。
肉竿は本能のままにルシアの蜜壺にずぽずぽいれられるのに、ルシアに触る手つきや求める様子はとても甘ったるく優しくて腰がガクガクと震えた。
飽きるわけがない。こんなにしっかり愛しているのにと、教えるように執拗に中に興奮した雄を突き入れられ、抱きしめるように覆い被さって口付けを落とされる。
時折吸い寄せられるようにおっぱいに触れたり、その先に吸い付いて舐める様子はなんだか可愛くて、でも立派な肉竿でルシアの中に己の存在を刻みつけるディランはすっかり立派な男で、心も体と満たされていった。
ルシアの番は、ディランはルシアのことをしっかりと愛してくれているのだと、安心すると中が完全に解れて奥深くまで肉竿を迎え入れた。
奥深くまでまで、ディランの大きな雄を全部ルシアが愛してあげたいと思うと足は自然と大きく開いてディランの背に手が伸びる。
ルシアが受け入れる体制をとると今度こそしっかりと2人の体は深く繋がりあって互いに途轍もない快感を感じて顔を歪めた。
「ルシア…」
ルシアも積極的に求めているのだと気づくとディランは目を細め顔を蕩けさせ興奮した様子で腰を振る。
理性を失ったように、獣のように本能に任せて肉竿を中に突き入れられてルシアはたまらず甘い声を漏らした。
「はぁっ…あ、っん」
優しく触れていたはずのディランの手に少し力が入って、ルシアは体をベッドに押し付けられた。
愛おしい重みが上から加わって、ベッドに押し付けられる。容赦なく攻め立てるディランは凶暴な目つきをしていて、ルシアの体を掴んだまま自分のものだと訴えかけるようだった。
中に大きいものが入ってくる。犯されている。愛おしい人に。ルシアの番いに。
そう思うだけで嬉しくて、体は敏感に反応した。ディランの肉竿が入ってきて奥に擦り付けられるとルシアは目をつぶって体を震わせた。気持ちが溢れて頭が真っ白になって、中がぎゅっと締まる。
「ちょうだい…ディランの」
ルシアはディランの体に腕を絡めた。ディランがとても愛おしそうな顔でルシアを見つめて抱きしめる。
これ以上どうしたら気持ちが伝わるのかわからなくて、ルシアを思う気持ちが強すぎて苦しくなってディランは切なげな顔をして抱きついたまま腰を振った。
「ルシア…出します。こぼさないでください」
「あぅっ…はぁ、っんぁ」
ルシアは快感に顔を歪ませ腕の中で鳴き喚きながら足を腰に絡みつけた。応えてくれるその姿がどうしようもなく愛おしくてディランは衝動的に肉竿を擦り付けた。
ルシアの中は蕩けきっていてディランの雄をどこまでもしっかりと飲み込む。張り詰めた肉竿の先がルシアに腹の中に食われて、擦り付けると粘膜が擦れあって気持ちよくてディランは溜まっていた子種を勢いよくルシアの中に放出した。
びゅっとディランの肉竿から熱が飛び散る。
マーキングするように何度も出してルシアの腹の中をその熱で満たして珍しく口元を緩めで満足げな顔をする。
ご機嫌なのだと思うと気恥ずかしいような嬉しいような気持ちになって抱きつくとディランの体がぴくりと反応する。
「あっん…だめぇ」
そう言っているのにディランは問答無用で腰を掴んで抱き寄せて、まだ硬いままの大きな肉竿を中に擦り付けると濃厚な種をルシアの腹の中にどくどくと放った。
ルシアが誰のもので満たされているのかを示すようにディランは己の熱をルシアにぶつけた。
「どうして。嫌ですか」
「っはぁ…ぅ」
拒むなんて許さないと言わんばかりに尋ねられて、ルシアはすぐにあやすようにディランの頭を撫でる。
「優しく、してほしいの」
「…わかりました」
曖昧に答えるとディランはわずかに困ったような顔をして、すぐに抱きしめられる。
それからは本当にひどく丁寧にねっとりと優しく愛された。
言葉を間違えたかもしれないと思いながらもルシアは断れずにディランを何度も受け止めながら疲労感と眠気に負けて意識を手放した。
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