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第二章 白狼と秘密の練習

転移禁止*

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「また勃ってきたな」
 嬉しそうな声がする。
(今は、俺がガイアスを翻弄する番なのに!)
 やられてばかりでムッとしたミアが、大きいソレの先端を口に含む。
「ミアッ、」
 余裕なく自分の名前を呼ぶ声に、ミアの心が満たされる。
(ガイアスが白いの出すとこ見たい)
 口の中で熱いモノに舌を絡めると、ゆるく勃ちあがったミア自身も、温かくぬめったものに包まれる。
「あぁ……ッ!」
 いきなりの快感に驚き声を上げるミア。振り返ると、ガイアスがソレを口に含んでいる。
「やぁ、今は俺の、番だ、からっ!」
 やめさせようと抗議するが、ガイアスは返事をしない。ミアも負けじと、目の前の大きなモノに舌を伸ばした。
「んッ、な、なに」
 びっくりしたミアの舌は、的を外してガイアスの内ももに触れる。ガイアスは、ミアのモノを舐めながら、その後ろにある蕾を指で擦っていた。
 ミアから出ているぬめりとガイアスの唾液で濡れそぼった窄まりは、スリスリと濡れた指で擦られている。今にも指が中に侵入しそうだ。
「待って。お尻、洗浄させて……ッ」
 ガイアスは、口を一旦離すとミアに尋ねる。
「今できるか?」
「……うん」
 ミアは本で習った知識を思い出す。
 目をギュッと瞑り石を握る。その瞬間、身体がビクンと強張った。
「やぁん……ッ!」
「大丈夫かっ?」
 ガイアスが心配し声を掛けるが、ミアは返事なく顔を下に向けている。内股は痙攣し、全身に鳥肌が立っていた。
「あ、ちょっと、待ってね……」
 ミアは大丈夫だと言い、ガイアスの顔を振り返った。
「いいよ……触って」
「苦しかったのか?」
「ううん、ちょっと変な感じがしただけ……早く、触ってほしい」
 以前からずっとセックスをしたがっていたミア。ガイアスが蕾に触れたことで、その目には期待の色が滲んでいた。
「触るぞ。少しでも気持ち悪いと感じたら言ってくれ」
「うん」
 返事をして前を向くと、またガイアスを刺激しようと舌を伸ばすミア。
 そんなミアに応えるように、ガイアスは目の前の双球を舐めて竿を数回擦ると、一旦口を離して奥の窄まりを開くように手で割る。
 そこに、ふっと息を掛けると、「あッ」と下から可愛らしい声がした。
 ガイアスは舌を出して押し当てるように窄まりを舐めていく。唾液を絡ませるように、丁寧に塗り込めていくとその身体が小刻みに震えた。
「んぅぅ……」
 時々、ミア自身やその下の玉を手で刺激しながら、窄まりに舌を差し込んでいく。
「ん……ぅん…ッ!」
「指を入れるぞ」
 つぷっと指を差し込むと、思っていたよりもすんなりと入っていく。一気に第二関節まで入っていった指を中で動かしながら、ガイアスが問いかける。
「すんなり入ったが……一人で練習してないだろうな」
「ん、ん、…ぁぁ、して、ないよぉ……」
 はぁはぁと息を吐くミア。嘘をついている様子ではない。
「なら、ミアの身体がいやらしいだけか?」
「ずっと、ガイアスとセックスしたかったから、身体がそうなった、のかも……ッん!」
 ガイアスはその言葉に熱くなり、思わず腰が動いた。
 ミアの唇から頬に勢いよくガイアスの一物が当たる。
「すまないミア!」
「大丈夫。早くほぐして、これ挿れよう?」
 ミアは頬に当たるガイアスのモノを擦る。
「ミア、煽るな……今日は挿れない」
「でも、入りたそうだよ?」
 ミアがガイアスの先端をよしよしと撫でながら答える。
(今すぐ、ミアの中に入りたい……)
 ガイアスは、欲望が頭を支配しそうになるがグッとこらえ、ミアの窄みをほぐすことに専念した。

 くちくち……
 ガイアスの指はもう三本も自由に入るようになり、動かすたびにミアが嬌声を上げる。
「あ、あ、あ、なん、か…気持ちいい…んんッ」
 前立腺を掠める度にミアの目の前に火花が散る。
「ここだな」
「あぁッ!」
 指で押すようにグリグリとされると堪らない。ミアは快感でどうにかなりそうだった。
 ガイアスは指を引き抜く。
「起きれるか?」
 頷いたミアはうつ伏せにされ、腰を高く上げた体勢にされる。顔の下に枕が敷かれたため、ミアはそれを反射的に掴んだ。
 ガイアスは背後に回ってミアの腰を掴む。
「ミア、足を閉じてくれ」
「……?」
 ミアは言われた通りに足を閉じる。
「いい子だな」
「あッ……」
 ガイアスはミアの窄まりに親指を入れる。そして他の四本の指で尻を掴むと、ミアの足の間に自身の昂ぶりを差し込んだ。
 その熱い熱は、ぬめりを纏いミアのモノを擦っていく。
「あッ…なにこれ……!」
「これで達したい……良いか?」
 返事をしようとミアが振り返った時、腰を引いたガイアスが勢い良く腰を打ち付けた。
「ッひゃ、」
 そのまま、パンパンッという激しい音が響く。
(あぁ、これセックスみたいだ……)
 ミアの想像がゾクッとした快感に変わり、入ったままの大きな親指をキュッと締め付ける。
「は、ミア……」
「ガイアスッ、きもちぃ?」
「気持ちが良い、ミア、ミア、」
 低い声で名前を呼びながら腰を振るガイアスに愛しさがこみ上げる。
 動くたびにあ、あ、と声を出していたミアだったが、自身の胸の飾りを摘ままれ、身体に電流が走った。
「そこ、今やだぁ……ッ!」
 最初にさんざん弄られた乳首は、シーツが擦れるだけでもむず痒い。ギュッと抓るように握られると堪らなかった。
「あ、やぁ…も、もう出る……また出ちゃう…ぁ、」
 半べそをかきながら声を上げるミアがビュクッと精を吐き出す。
「俺もだ……っく、」
 小さく囁いたガイアスは、数回腰を速く打ち付け、自身の欲望を弾けさせた。

「ん……?」
 胸の辺りに暖かい何かを感じる……ミアは浅い眠りの中でそのことに気づくと、自分を布団越しに優しく撫でている手を掴んだ。
 目をゆっくり開けると、心配そうなガイアスの顔。
「ミア、大丈夫か?」
「え、俺……寝てた?」
 ベッドの上に仰向けに寝ているミアには、ふかふかの掛布団が胸までしっかりと掛けられていた。
 隣で身体を横にしていたガイアスは、いきなり目覚めたミアにびっくりして声を掛けた。
「終わってから、急に動かなくなるから心配した」
「俺、全然覚えてない」
 射精したところまでは覚えている。ただ、その先の記憶がないのだ。
「寝ていたようだから勝手に身体を拭いたが、気持ち悪いところはないか?」
 布団を捲ってみると、新しい寝間着がきちんと着せられ身体はベタつきもなくさっぱりとしている。
「ごめんね。全部やってもらって」
「いや、俺が無理させたんだ」
「でも、ん……」
 謝罪の言葉を続けようとするミアの口にちゅっとキスを落としたガイアスは、その身体を抱きしめる。ミアはこれ以上何も言えず、黙って広い背中に手を回した。
「今日は幸せだった。またしよう」
「うん! 次はセックス?」
「どうかな。ミアに負担がかからないと判断したらだな」
「え~、もう大丈夫だってば」
 不機嫌な顔で文句を言うミア。
「俺も我慢してるんだ。本当は、すぐにでもミアの中に入りたい」
 真剣な顔で言うガイアスに、ミアの顔が熱くなる。
「はは、顔が真っ赤になってるぞ。こんな調子じゃ次には進めないな」
 笑ってミアの耳を軽く摘まむように撫でる。
「ひゃっ……ちゃ、ちゃんとできる!」
 耳をペタンと下げているミアの可愛さに、ガイアスはもう一度その身体を布団ごと抱きしめた。

「ミア……ミア、」
 名前を呼ぶ優しい声に反応し、ミアがうっすら目を開けると、目の前には大好きな恋人の顔。
 ふにゃっと笑ったミアは、目の前の愛しい男に自分の愛を伝える。
「ガイアス……大好き」
「俺も好きだ」
 ガイアス優しい表情に、ミアは全身がとろけそうな気持ちになる。
(ああ、これが幸せって言うんだ……)
 自分の胸を優しく撫でる手がまた眠気を誘い、ミアが目を閉じる。ガイアスは焦った声を出した。
「おい、寝るな寝るな」
 ガイアスはミアの布団を剥いでその身体を起こす。まだ頭の冴えないミアは、どうして起こされるのかと不満な表情だ。
「今日はミアも俺も仕事だろう。ルシカに戻らないと」
「あ……!」
 ミアはそこでやっと、今日が平日でお互い仕事があるのだと理解した。一気に眠気が吹き飛ぶ。
「屋敷まで送るね! 俺も帰らないと」
「助かる」
 それから、シュラウドがホテルに頼んで用意してもらっていたという下着やシャツに着替える。着ていた服は置いておけば、屋敷に送ってくれるらしい。
(なんだか、至れり尽くせりで申し訳ないなぁ)
 今度シュラウドに会う時にはぜひ手土産とお礼を……と決めたミアだった。

 帰る時の手続きは不要とのことなので、机に鍵を置き二人でホテルの部屋から転移した。
「ミア、ありがとう」
 ガイアスの部屋。今週末はミアの勘違いやすれ違いにより、ここで二人で過ごすことはできなかった。部屋はカーテンが閉まっており、薄暗くシンとしている。
「ううん。俺、起きるの遅くてごめん」
 ミアをギリギリまで寝かせていたことで、ガイアスは朝食も食べずに出かける予定だ。
「気にしなくていい。長く一緒に過ごせて嬉しかった」
「俺も……あの、いってらっしゃい」
 ミアが精一杯背伸びをしてキスをしようとするのを、屈んで答えたガイアス。ちゅっと可愛らしい音がして離れていく小さな唇を見てガイアスが笑みを溢す。
「行ってくる。いいな、こうやって毎日仕事に行けたら」
 そう言ってクシャッとミアの頭を撫でるとガイアスが扉の方へ向かった。
「帰って来たことを屋敷の者に伝える。ミアも気をつけて帰るんだぞ」
「転移で一瞬だけどね」
 お互い笑いながら手を振り、ミアは王宮へと転移した。

「ふぅ……」
 シーバ国の王宮にある自室に戻り、ミアは息をつく。
(いろいろあったけど、良い休日だったな)
 そして、ガイアスがさっき言った言葉が頭によぎる。
『いいな、こうやって毎日仕事に行けたら』
 ガイアスが自分と夜を過ごし、朝見送られて仕事に行くことを望んでいる……そう考えるだけで、緩む表情が抑えられない。
(とりあえず、朝ご飯食べたら仕事始めないと)
 ガチャ……
 ニヤつく顔はそのままに、扉を開けた先には目を見開いて驚くイリヤの姿。
(あ、まずい……)
 ミアはイリヤの顔を見た瞬間、大事な事を思い出した。連絡を一度もせずに二日も外泊をしてしまったのだ。
 あわあわと焦るミアに、イリヤがゆっくり近づきつつ口を開く。
「ミア様、二日続けての無断外泊は楽しかったですか?」
「あの、あの、帰る時間が、なくて、」
 思いついた言い訳は子供のように拙く、従者の男を納得させるものではないことは自分でも分かる。
 イリヤは冷たい目線をミアに向ける。
「へぇ、そうでしたか。そんなに忙しいなら、これ以上剣や恋人にかまけている暇なんてないですよね」
「あ、あの……イリヤ?」
「私はミア様に『十日間の転移禁止』を要求します」
「そんな……却下っ!」
「今まではきちんと私に連絡をして下さったので、陛下もカルバン殿下も外泊を許可していましたが、今回ばかりはミア様に王子としての自覚がないと判断しました」
 わなわなと震えるミアに、目の前の冷徹黒狼は続ける。
「昨日カルバン様に転移禁止を提案したら、快く承諾して下さいましたよ。それどころか一ヶ月にしたらどうかと言われ、逆にお止めするのが大変でした……感謝してほしいくらいです」
 そう続けるイリヤに、疑問に思ったことを確認する。
「ガイアスにそれを伝えに行くのは良い?」
「はい、行かれて結構ですよ。ミア様が帰ってくるか定かではなかったため、今日は仕事をお休みにしていただきました」
 鬼従者・イリヤの言葉に、疑い深い目を向ける。
「私もそこまで酷くはありません。最後の挨拶くらいゆっくりさせてあげますよ」
「最後って言わないで! お昼ぴったりにサバルに行く」
 ガイアスは、昼は食堂ではなく執務室で買ったものを食べると言っていた。チャンスは昼休みの時間しかない。
「何時頃お戻りになりますか?」
「うーん、三時くらいかな?」
 もしかしたら訓練所も見れるかもしれないと、少し長めに時間を伝える。
「その時間を過ぎたら、転移禁止を一週間延長しますよ」
 ミアは理不尽だと思いつつも、自分の非が招いたことなので文句は言えない。大人しくイリアの言葉に頷いた。
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