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 そうだ、あのときも、あの一行が魔将を倒してこの村に還ってきたはずだ。
 それだけじゃない。
 その前も、さらにその前も、何度も何度も、同じように道を尋ねられて、そのたびごとに同じように答えていたのを思い出した。
 次から次へと、似たような連中が、似たような身なりで現れては、同じ道をたどる。

 もちろん少しずつの違いはある。
 剣が小振りだったり、槍や弓矢だったり、一行も、筋骨隆々の男ばかりで固めていることもあれば、うら若い女性や女子ばかりのこともある。
 無数に連なる勇者一行の姿。
 それに、魔将は何人いるんだろう? 
 倒したやつが翌日からまた蘇っているんだろうか?

 目まいがするほど頭がくらくらしながらも、ようやく階段の真下までたどり着き、昇ろうとした。

 が、この間とはうって変わって、彼らの威光が増している。
 どうあっても近寄りがたい。
 ここまで押し寄せてきた群衆も、階段の下で足踏みしている。
 それでも、ここで止まっては仕方がない。
 押し合いへし合いしている村人の間をくぐり、何とかして一歩を踏み出した。

 勇者一行がこちらに気づいて、何人かが身構える。
 一気に階段を昇り切って、勇者の向かい側に立ち、声を絞り出した。
「僕を覚えてる?」
 小柄な勇者は、ゆっくりと顔を上げて、まじまじとこちらを見つめてきた。
「初めてこの村を通ったときに会った、この村の人だな」
 答えが返ってきた。
 黒い鎧の男が行く手に立ちふさがり、腰の剣に手をかけた。
 それ以上前に進むのはあきらめ、大声で、本当に訊きたかったことをたずねる。
「あんたはどこからやって来たんだ」
 勇者の顔に、ほんの一瞬、戸惑いの表情が浮かぶ。
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