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奔走 3
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勇者が試練を克服し新たな武具を持ち帰った事は、色んな意味で国として良い宣伝材料になる。
国内では民衆へのアピールになるし、諸外国には強い勇者の存在をアピールできるからだ。
そんな理由から、今日は勇者を称えるパレードが催される予定なので、朝から街には出店が並びお祭り騒ぎで賑わっていた。
パレードが始まるまで、まだ、少し時間があるのに。既に大通りは、人だかりが出来ていた。いい場所を陣取り自慢の勇者を一目見ようと、みんな忙しそうに動き回っている。
緑色の膝丈まであるポンチョを着るクリスと着古した茶色いマントを羽織るミツヤは、通りから少し離れた場所で群衆を見ていた。
旅支度をした彼等は、パレードを見てから出発するつもりなのだ。
ただクリスにとって出発する日とパレードが重なってしまったのは誤算だった。日取りを決めた後にラングスから知らされたパレードの日程が、同じ日になるとは思ってもいなかった。
出発する日を変更しようと考えたが、その必要は無いとクリスはカレンに諭されてしまったので仕方なく予定通り準備をしたのだった。
「もっと前で見なくて良いんですか?」
「此処で良いよ」と、気を使ってくれたミツヤに照れくさそうにクリスは答えた。
「しかし、カレンさんの人気は凄いですよね」
「本当だな。みんなに愛されているんだろうな」
誇らしげに鼻を擦ったクリスの目の前で、フードを被った女性が立ち止まった。
「そんな勇者を独り占めするなんて、酷いですよね」
彼女の投げかけた不躾な言葉は、その高く穏やかな声色によってクリスを嫌な気持ちにさせなかった。むしろ親近感が持てる話しぶりに、クリスは誰なのか正体が直ぐに分かった。
「ははーん、お前はサーシャだな。そんな格好して何処に行くんだ」
「ふふふ、バレていましたか」
フードから顔を出したサーシャは、頭を振りながら手で乱れた緑色の髪の毛を整えた。
太陽光の下だと緑色の髪がエメラルドのように輝く。そして微笑するエルフの少女の顔にミツヤは見とれてしまった。
「どうかしましたか?」
「あっ、いや・・・、何でもない」と、不意に目が合ってしまったミツヤは顔を背けた。
酒場で紹介したのに、クリスは今更ながらエルフ族の女性に照れるミツヤが可愛く思えた。彼も年頃の男性なのだ。綺麗な女性が気になるは普通の事なのだが、いつも周りを気にして毅然と振舞おうとする姿とのギャップがクリスの目を引いたのだった。
「それより、サーシャは俺達に何か用があるのか」
「はい、私も一緒に旅に連れて行ってもらおうと思いまして」
「俺達と一緒にか?」
「師匠、いえ、モーガン館長からクリスさんと一緒に旅に出るように言われました」
「モーガン館長がそう言ったのなら、何か考えがあるんだろうけど」
「ええ、クリスさんと一緒に旅をすれば、面白い景色が見られるから楽しいぞと」
「遊びに行く訳じゃないのに、弟子に何てこと吹聴してるんだよ」
「これは、私の意見ですが、魔術師が居た方が何かと便利ですよ」
自信ありげにサーシャは、腰に手を当てモーガンから貰い受けた新しい杖で地面を突いた。つい最近までおどおどしていたのに、自信が付くとこうも凛々しくなるものなのかと、クリスは嬉しくなり口元が緩んだ。
「どうせ、駄目と断っても付いて来るんだろ」
「はい、お供させて下さい」
やれやれと肩をすくめたクリスがミツヤの方を見ると、まだ顔を赤らめてそっぽを向いていた。サーシャを直視できない様だ。
「俺は良いけど、ミツヤは一緒でも良いのか?」
クリスに同意を求められたミツヤは、慌てて振り返った。
「えっ、もちろんです。問題ありませんよ」
ミツヤの言葉を聞いたサーシャは、目を細めて頷いた。
「じゃあ、パレードを見たら出発するか」
男二人で気ままに旅するのも良いが、サーシャが一緒なら彼女が話す通り魔術師は何かと頼りになる。そう考えると反対する理由は初めから無かったのだ。それにクリスは、弟子に経験を積ませたいと考えるモーガンの思惑も理解していたのだった。
大通りの奥から大きな歓声が上がる。それは、カレンを乗せた馬車が近づいて来る合図だった。沿道に居る人々に手を振る軍服姿のカレンが姿を見せた。
離れた場所だから気が付かないと思っていたが、さすが勇者だけあって普段から視野が広い。人ごみの中からクリスをいとも簡単に見つけ出した。
クリスと目が合ったカレンは唇を動かした、「いってらっしゃい」
聞こえるはずも無いその言葉にクリスは、片手を大きく上げて答える。
「お互い通じ合っているなんて、やっぱり夫婦なんですね」と、クリスとカレンのやり取りを見ていたサーシャが横槍を入れた。
「お前達も特別な人が出来たら分かるよ。早く見つかると良いけど」と、クリスはサーシャにウインクする。
二人がリラックスした雰囲気で話している横でミツヤは、表情を強張らせていた。彼にとって安住の地は、まだ存在しない。クリスを追いかけてダンディルグ王国に来たのに、再びアルフェリアに戻ると考えると、この先どうなるのか不安が押し寄せて来たのだ。
カレンを乗せた馬車が通り過ぎると、無言で目を合わせた三人は賑わう街を背にして歩き出した。
国内では民衆へのアピールになるし、諸外国には強い勇者の存在をアピールできるからだ。
そんな理由から、今日は勇者を称えるパレードが催される予定なので、朝から街には出店が並びお祭り騒ぎで賑わっていた。
パレードが始まるまで、まだ、少し時間があるのに。既に大通りは、人だかりが出来ていた。いい場所を陣取り自慢の勇者を一目見ようと、みんな忙しそうに動き回っている。
緑色の膝丈まであるポンチョを着るクリスと着古した茶色いマントを羽織るミツヤは、通りから少し離れた場所で群衆を見ていた。
旅支度をした彼等は、パレードを見てから出発するつもりなのだ。
ただクリスにとって出発する日とパレードが重なってしまったのは誤算だった。日取りを決めた後にラングスから知らされたパレードの日程が、同じ日になるとは思ってもいなかった。
出発する日を変更しようと考えたが、その必要は無いとクリスはカレンに諭されてしまったので仕方なく予定通り準備をしたのだった。
「もっと前で見なくて良いんですか?」
「此処で良いよ」と、気を使ってくれたミツヤに照れくさそうにクリスは答えた。
「しかし、カレンさんの人気は凄いですよね」
「本当だな。みんなに愛されているんだろうな」
誇らしげに鼻を擦ったクリスの目の前で、フードを被った女性が立ち止まった。
「そんな勇者を独り占めするなんて、酷いですよね」
彼女の投げかけた不躾な言葉は、その高く穏やかな声色によってクリスを嫌な気持ちにさせなかった。むしろ親近感が持てる話しぶりに、クリスは誰なのか正体が直ぐに分かった。
「ははーん、お前はサーシャだな。そんな格好して何処に行くんだ」
「ふふふ、バレていましたか」
フードから顔を出したサーシャは、頭を振りながら手で乱れた緑色の髪の毛を整えた。
太陽光の下だと緑色の髪がエメラルドのように輝く。そして微笑するエルフの少女の顔にミツヤは見とれてしまった。
「どうかしましたか?」
「あっ、いや・・・、何でもない」と、不意に目が合ってしまったミツヤは顔を背けた。
酒場で紹介したのに、クリスは今更ながらエルフ族の女性に照れるミツヤが可愛く思えた。彼も年頃の男性なのだ。綺麗な女性が気になるは普通の事なのだが、いつも周りを気にして毅然と振舞おうとする姿とのギャップがクリスの目を引いたのだった。
「それより、サーシャは俺達に何か用があるのか」
「はい、私も一緒に旅に連れて行ってもらおうと思いまして」
「俺達と一緒にか?」
「師匠、いえ、モーガン館長からクリスさんと一緒に旅に出るように言われました」
「モーガン館長がそう言ったのなら、何か考えがあるんだろうけど」
「ええ、クリスさんと一緒に旅をすれば、面白い景色が見られるから楽しいぞと」
「遊びに行く訳じゃないのに、弟子に何てこと吹聴してるんだよ」
「これは、私の意見ですが、魔術師が居た方が何かと便利ですよ」
自信ありげにサーシャは、腰に手を当てモーガンから貰い受けた新しい杖で地面を突いた。つい最近までおどおどしていたのに、自信が付くとこうも凛々しくなるものなのかと、クリスは嬉しくなり口元が緩んだ。
「どうせ、駄目と断っても付いて来るんだろ」
「はい、お供させて下さい」
やれやれと肩をすくめたクリスがミツヤの方を見ると、まだ顔を赤らめてそっぽを向いていた。サーシャを直視できない様だ。
「俺は良いけど、ミツヤは一緒でも良いのか?」
クリスに同意を求められたミツヤは、慌てて振り返った。
「えっ、もちろんです。問題ありませんよ」
ミツヤの言葉を聞いたサーシャは、目を細めて頷いた。
「じゃあ、パレードを見たら出発するか」
男二人で気ままに旅するのも良いが、サーシャが一緒なら彼女が話す通り魔術師は何かと頼りになる。そう考えると反対する理由は初めから無かったのだ。それにクリスは、弟子に経験を積ませたいと考えるモーガンの思惑も理解していたのだった。
大通りの奥から大きな歓声が上がる。それは、カレンを乗せた馬車が近づいて来る合図だった。沿道に居る人々に手を振る軍服姿のカレンが姿を見せた。
離れた場所だから気が付かないと思っていたが、さすが勇者だけあって普段から視野が広い。人ごみの中からクリスをいとも簡単に見つけ出した。
クリスと目が合ったカレンは唇を動かした、「いってらっしゃい」
聞こえるはずも無いその言葉にクリスは、片手を大きく上げて答える。
「お互い通じ合っているなんて、やっぱり夫婦なんですね」と、クリスとカレンのやり取りを見ていたサーシャが横槍を入れた。
「お前達も特別な人が出来たら分かるよ。早く見つかると良いけど」と、クリスはサーシャにウインクする。
二人がリラックスした雰囲気で話している横でミツヤは、表情を強張らせていた。彼にとって安住の地は、まだ存在しない。クリスを追いかけてダンディルグ王国に来たのに、再びアルフェリアに戻ると考えると、この先どうなるのか不安が押し寄せて来たのだ。
カレンを乗せた馬車が通り過ぎると、無言で目を合わせた三人は賑わう街を背にして歩き出した。
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