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 いつも通り、聖淫魔学院で牛乳の補充を行っていた。

 ここの自販機には、コーヒー牛乳、イチゴ牛乳、フルーツ牛乳、そして牛乳とミルクオンリー自販機がある。一日で売り切れが出てしまう程の爆発的人気だ。

 わが社としては大変光栄だ。俺の給料も上がらないだろうか。

 せっせと自販機の牛乳を補充する。

「これ、今飲んでも冷たい?」

 すると淫魔の学生が声をかけてきた。

「あぁ。冷蔵で運んでいるから冷たいよ。補充終わったからどうぞ。お待たせしました」

 淫魔が自販機のボタンをピッと押し、イチゴ牛乳とフルーツ牛乳を購入した。
 一度に二本。お腹壊さないのだろうか。
 何気に見ていたら、パチッと淫魔と目があった。


「人間のアンタさ、誰かの雌だろう?」
「はぁ!?」

 雌? 雌って言った!?何 こいつ。


「アンタみたいな平凡そうなの手出す奴いるんだ。あ、でも、清潔そうで元気そうだしマズそうではないな。俺とも一度しようぜ。その雌尻満足させてやるよ」
「……」


 淫魔が俺を見て舌なめずりする。

 きもい。まず、口が悪い。

 どうして、俺が誰かのお手付きかと知ったかは分からないが、初対面で雌尻なんて言われて喜べるわけがない。俺はドМじゃねぇ。

「興味ない。仕事中だ」

 作業も終わらせたし、早く次の現場に向かおう。


「あ? いいじゃん。ちょっと、遊ぼうって。30分あれば終わるよ」
「っっ!?」


 淫魔が腕を掴んで触られると、ゾゾっと身体から嫌悪感と悪寒と、あと、なんか船酔いみたいな感じもする。
 腕を掴んでいる淫魔の方は平気なようで「何? 感じた?」とにやついている。

 船酔いで動けないでいると、グイっと淫魔に抱き寄せられる。

 …………すげぇ気持ち悪い。もう吐く。


 グッと喉からこみあげそうになった時、俺のもう片方の手をスッと引っ張られて、後ろの身体にストンッともたれる。

 すぅ…………。
 あ、気持ち悪いのが引いていく。マシになっていく。


 その身体に感謝して振り返ると、俺の斜め上には、馴染みのレオの顔があった。

「中庭に時間通り来ないから探しに来たんだ。こんな所でナンパされたらダメだろう。気をつけろ」
「レオ」

 レオの額に青筋が立っている。すげぇ怒ってんな。

「あれ? お前、出来損ない淫魔じゃん。器だけ大きい無能淫魔だろ。Aランクの俺の獲物横取りすんじゃねぇぞ」


 コイツ。Aランクなんだ……。
 見た目も華やかさもレオの方が遥かにいい、これでAランクか。淫魔も大して凄くねぇな。

「あぁ? 意味わかんねぇ。俺の爽太さんにちょっかいかけんじゃねぇ。ぶっ倒すぞ」


 あ。もしかして、ケンカ? ケンカが始まる!?

 ドキドキドキドキ……と見ていると、互いにガンつけあって…………それでAランクの淫魔が「くそぉ。かなわねぇ」と呟いて去っていった。

 え? ケンカは? とあっけにとられていると、レオがこちらを向いて怒ってくる。

「爽太さん、アンタ可愛いんだから気をつけないと駄目だろうっ!!」
「か、可愛い??」


 レオが俺の事を可愛いと称するのは時折聞いた事がある。
 だが、さっきの淫魔も俺のこと、平凡だって言ってたし。

「あぁ!? キョトンとした顔可愛い。そんな顔他の奴にしてはいけません!!」

 レオが俺を抱き寄せてぎゅうっと抱きしめる。
 もしかして、レオは目が悪いのかもしれない。目が悪くなければ頭が悪いんだな。
 ただ、この心地よさはいい。さっき感じた気持ち悪さがなくなった。

 スリっとレオの胸板に顔を擦り付けて、匂いを嗅ぐ。

 いい匂いがするじゃねぇか―……。
 ん? レオの鼓動が速い……。

「……俺さ、そろそろお腹減った」

 見上げるとレオがごくりと喉を鳴らす。
 レオが俺に向かってお腹減るとはイコール精力ください。ということ。


「俺は仕事」
「……ここ2週間、俺ん家に宅配に来てもすぐ帰るじゃねぇか。そんなに忙しいのかよ」
「……」


 レオが不機嫌そうにブーブーと文句を言うのも無理はない。
 実は、セックスをしてから2週間以上たつ。初めはレオも反省の色を見せて何も言わなかったが1週間過ぎた辺りから、文句を言い始めた。でも、俺はのらりくらりとかわしまくった。

 だって、前回のセックスのように一度やってしまえば2日ベッドの住人になるんだぞ。

 レオはそうならないようにセーブすると言ったが、セックスを覚えたばかりの10代がセーブできる保証などどこにもない。

「やましい事考えてなくても拒否るし、恋人が冷たすぎる」
「……」
「俺の全細胞が爽太さんに抗議する!! もっと触れ合いたい!!」

 なんだよ。全細胞って……。小学生みたいなことを言っている。

 でも、レオの部屋に行くとあのセックスの事思い出しちゃうし、正直怖いのはレオじゃなくて俺自身なんだ。セックスしてからレオを見るとムラムラする。
 二人っきりになると俺の理性が危うい。

「……今日はちょっと配達時間に余裕があるから休憩時間10分、待ってろよ」
「休憩時間だけ?」
「それも嫌なら……」
「全然嫌とは言ってない!」








 そんなことで、休憩時間。
 中庭ではなくて、誰もいない科学実験室に連れて行かれた。

「な、なんでここ……?」

 すると、チャリンっとレオがカギを指でクルクルと回す。

「鍵。家族が理事ってこういう時便利だよな。あ、その手に持っている牛乳くれんの? ありがとう」
「あぁ」

 レオに牛乳を手渡すと、パイプ椅子に座りながらチューっと牛乳を飲み始めた。
 ストローをチューっと咥える唇にドキリとする。

 レオにペニスをチューっとストローみたいに吸われると強制的に凄く気持ちいい。あれされると、待ったなしですぐ出ちゃう。

「何?」

 レオが俺の視線に気が付いたのだろう。ストローから口を離した途端、牛乳がピュッと俺の服についてしまった。

「あっ! 何するんだ!! 中着に牛乳ついたじゃんか。」
 俺は堅苦しくて青いユニフォームの前チャックを開けていた。中着に白いTシャツを着ていたんだ。
 それに牛乳が付いてしまった。牛乳が衣類に付着したら臭いんだよなぁ。

「やべ。妄想が現実化してしまった」
「は?」

 レオがそう言うとパイプ椅子に座る俺の目の前で膝をついた。

「ちょっと味見していい?」
「は?」

 レオは俺の牛乳のついたTシャツを舐め始めた。
 そんなに牛乳すきなのか!?

 レオの行為にキョトンとしていると、そのレオの舌が服の上からベロリベロリと大きく舐める感覚に腰にズンっと甘い快感が起こってくる。

「ふぅ……ん。レオッ!? ん? コレ、嫌……」

 レオはこの2週間、迫ってきても絶対に手を出さなかったから油断していた。

 胸の真ん中に牛乳が付いていたのに、いつの間にか乳首側に口が移動している。
 服ごと、乳首を吸われベロベロと舌で舐められる。服越しでも乳首が気持ちいい。

「んんっ!? あっ、んん、ん。そ、そこぉ、牛乳ついて、ん、ん、なぁい……。んんっ」
「……おいひい(おいしい)」

 レオが乳首片っぽだけなめるから、片方が乳首が唾液で透けて厭らしい。もう片方の乳首が期待してピンと立ち上がったのが服越しでもハッキリわかった。

「やーらしいな。久しぶりの爽太さんの味♡ 服越しでも上手いよ。最高」

 ツンっと片方の乳首を指で突かれる。

「ふっあんッ!! 馬鹿っ」
「こっちも舐められたいんだよな?」

 そう言って、片方の乳首も口に含んでベロベロと唾液まみれにする。ゾクゾクが止まらない。
 レオにされると身体が動けない。
 でも、さっきの淫魔はそうじゃなかった。気持ち悪かった。
 ちゅーぅと服の上から乳首を吸われ引っ張られる。

 
「うぅん。ん、やぁ。きぃ気持ちよくなっちゃ、あぁん。や。はぁはぁ、あん、パンツ汚れちゃ……、っんんあぁ」
 
 レオは口を離した。それから、俺の張り詰めたズボンのチャックを下げた。

「見ろよ。スケスケおっぱい。パンツも涎で濡れて。妄想よりずーっとエロイ」

 服がレオの唾液で透明になっているのを、はぁはぁと荒い息を吐きながらぼんやり眺める。その透けた乳首にツンっとレオの指がなぞった。

「ん……」

ジンと腰が痺れる。

「酷いのは分かってる。でも、あれからずっと爽太さんでオナニーするばっかでしんどいんだ。馬鹿みたいなってる。恋人なのに触らせてくれないなんて爽太さんも酷い」

 そう言いながら、レオが俺のパンツの中からペニスをとり出す。もう期待して濡れているし…。

「時間ないから、飲むだけにするから」


 レオが俺のペニスを下着から取り出して顔を近づけようとするので、その頭を掴んだ。

「キス」
「————悪い。ムードがないよな? ホント、ごめん。キスしたい」

 すると、レオが俺の唇にキスを落とす。
 ちゅうっと俺の唾液を吸って唇を離す。ツーっと互いの口から唾液の糸。

「本当は、爽太さんの唇もずっと舐めたい。この前以上、口の中にずっと舌入れてかき混ぜたい」

 ギラリと怪しく光る瞳に魅了される。

「レオ……」

身体がその言葉に疼く。
全部、食べられたい。


 レオはもう一度軽くチュッとキスをする。それから、首、服越しの乳首、腹、そしてペニスに唇を落としペロリと長い舌で舐めた。

「俺、浮気許せない淫魔だと思う。他の奴に触れられた爽太さん見てまだイライラする」

 陰茎を持つ手がぎゅっと強まったのを感じ、ギクッとして、夢見心地がハッと覚めた。
 レオの怒っている目と視線が合う。

「うん。他の淫魔は考えられない……さっきの淫魔、もう少し触られていたら嘔吐してた。多分、触られて気持ちいいのはレオだけだと思う」

 レオの体質に合う人間が俺だけってことは、触られて気持ち悪くならない淫魔もレオだけなんじゃないか。

「でも、人間同士でも許せない。俺は、爽太さんを独占したい」
「……」

 レオは、この2週間急ぐことを全くしなかった。急に手を出してきたのはヤキモチからだろう。
 そう思うと、やっぱり可愛いのはレオの方じゃないか。

「レオの手は、何というか。本当に気持ちいいんだ。他なんか考える余裕ねぇよ」

苦笑いすると、レオが赤面する。
「……っ」

 レオは下を向いた。少し黙っていたが、くくっと笑い、俺のペニスの根っこをギュッと力強く握った。

「吸ってミルクもらうだけのつもりだったけど、あと5分、俺のフェラテク披露してやるよ♡」
「え? え、えぇ? い、いいよ。それ、こ、怖いし」
「遠慮すんなって」
「へっえ? え、え!? んんんぁぁああ!?」


 根っこをグッと力強く握られ舐められ始めた。
 レオの喉で絞められたりバキュームされたり鈴口に舌差し込みながら片手でぐりぐりされたり……イきたいのにイけない。苦しいのに気持ち良過ぎる。腰が溶ける!! レオの高スキルフェラを味わう事になった。

「ひーーーーっんあああぁあ!!ひっあん、や、あん、んあぁぁ。」

 ようやく射精を許され口の中に沢山出した。
 気持ち良すぎて、一瞬、意識が飛んでしまった。


 反省したレオにより謝られ、トラックまでおんぶしてもらい、なんとか次の配送先へ向かう準備が出来た。

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