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刹那5秒
5秒間
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全て一瞬の出来事。
頭上から吹き付ける風を感じながら、私は虚ろに目を開いた。
目の前の景色は絶景で、そこには嫌なクラスメイトもいなければ、嫌な出来事も何も無かった。
ただ流れに身を任せて、海を漂うみたいに全身の力を抜き切ると、重い頭で何となく考える。
私はこれでよかったのか、と。
まあこの状態を望んだ自分だからこそ、もう遅いということはハッキリと明確に分かっていて、今更後悔なんてものを感じるには無理があると思った。
無理があった‥‥。
いや、考えたくなかったんだ。
だから私は考えないために、無理矢理にでも考えるべきだと思った。最後の瞬間。刹那が終わるその時まで、自分を肯定する必要があった。
一瞬、一瞬で全てを終わらせることが出来る。
あともう少しで、あと少しで、私は救われる。
この迷路から抜け出す近道を、私は見つけたのだ。
見つけた。
もう少しで‥‥。
もう終わりが近づいている‥‥‥‥。
もう終わりにできる‥‥‥‥。
はずなのに、
「嫌だ!!」
私は体を力一杯捻ると一言の悲鳴を上げて葛藤の縁から抜け出す。
咄嗟に出た腕に力を込めると物凄い勢いで宙を切り刻んだ。
「っ‥‥!」
‥‥‥。
あの感覚に似ていた。
昨日、学校の帰りに大好きだった親友に言った。
一緒に帰ろう。
けど‥‥ダメだった。
届かない。
私の思いは虚しく、届かなかった。
あぁ‥‥私、ほんとに全て終わらせちゃうんだ‥‥。
諦めて目を閉じると、現実に目を背けた。
いつもそうしてきたように、目を閉じて、嫌なことが過ぎるのを、待つ事を、私は、選んだ。
「わっ!」
その時だった。
体中に物凄い重力を感じ、思わず目を見開いた。
「もう‥もう離さないから」
聞き慣れたその声を懐かしいように感じたと同時に、
私の刹那は終わった。
頭上から吹き付ける風を感じながら、私は虚ろに目を開いた。
目の前の景色は絶景で、そこには嫌なクラスメイトもいなければ、嫌な出来事も何も無かった。
ただ流れに身を任せて、海を漂うみたいに全身の力を抜き切ると、重い頭で何となく考える。
私はこれでよかったのか、と。
まあこの状態を望んだ自分だからこそ、もう遅いということはハッキリと明確に分かっていて、今更後悔なんてものを感じるには無理があると思った。
無理があった‥‥。
いや、考えたくなかったんだ。
だから私は考えないために、無理矢理にでも考えるべきだと思った。最後の瞬間。刹那が終わるその時まで、自分を肯定する必要があった。
一瞬、一瞬で全てを終わらせることが出来る。
あともう少しで、あと少しで、私は救われる。
この迷路から抜け出す近道を、私は見つけたのだ。
見つけた。
もう少しで‥‥。
もう終わりが近づいている‥‥‥‥。
もう終わりにできる‥‥‥‥。
はずなのに、
「嫌だ!!」
私は体を力一杯捻ると一言の悲鳴を上げて葛藤の縁から抜け出す。
咄嗟に出た腕に力を込めると物凄い勢いで宙を切り刻んだ。
「っ‥‥!」
‥‥‥。
あの感覚に似ていた。
昨日、学校の帰りに大好きだった親友に言った。
一緒に帰ろう。
けど‥‥ダメだった。
届かない。
私の思いは虚しく、届かなかった。
あぁ‥‥私、ほんとに全て終わらせちゃうんだ‥‥。
諦めて目を閉じると、現実に目を背けた。
いつもそうしてきたように、目を閉じて、嫌なことが過ぎるのを、待つ事を、私は、選んだ。
「わっ!」
その時だった。
体中に物凄い重力を感じ、思わず目を見開いた。
「もう‥もう離さないから」
聞き慣れたその声を懐かしいように感じたと同時に、
私の刹那は終わった。
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