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謎の鳥居②
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幸宅に戻るとき、耕太郎があんまり車に興味を持つので乗せてやることにした。大きな身体を運転席に突っ込んだ彼は子どものように目を輝かせ、ハンドルを握ってみたりブレーキやアクセルを踏んだり、ダッシュボードを開けてみたりしていた。車を降りるとタイヤやバンパー、窓ガラスを触って「かっこいいな」と子どものように笑った。
その後耕太郎は権田と交代で僕たちの乗った車を幸の家までニ時間かけて押して運んでくれた。家に戻ったときには日が暮れていて、僕たちが来たのに気づいた幸が家から飛び出してきた。
「遅いから心配してたのよ、あら耕太郎さん久しぶりね」
幸が微笑みかけると耕太郎は真っ赤になった俯いた。
「耕太郎がここまで車を押してくるのを手伝ってくれたんだ」と僕が言うと幸は満面の笑みで「そうなの? 凄いわ!」と褒め耕太郎は照れくさそうに頭をかいた。
松がご飯ができたから皆で食べろというので、耕太郎も一緒に囲炉裏を囲んだ。
「沢山食べてね」と幸に言われた耕太郎は大盛りのご飯を平らげ、家を後にした。
僕と権田は朝晩交代で幸のボディガードをすることにした。耕太郎の話を聞き、幸に何かあってからでは遅い、自分たちで守ってやらねばと思ったのだ。幸がどこかに出かけるときには必ずどちらかがついて行く、何か危険が及んだら命懸けで守ると権田と約束し合っていた。
幸と行動を共にするうちに色んなことが分かった。幸は愛嬌がありお人よしなために村の人々から愛されていて、よく頼まれごとをしていた。また、村の男たちの中には幸に明らかに下心があるであろう輩も数多くいて、僕が幸と一緒に歩いていると敵意と警戒のこもった眼差しを向けられた。
それでも一ヶ月は何もなく平和に過ごしていた。耕太郎と二人で川釣りをしたり、僕と権田と耕太郎の三人で洞窟に集まり酒や食べ物を持ち寄ってどんちゃん騒ぎをしたりもした。時々幸も参加たりした。耕太郎が誰かにいじめられると僕や権田が進んで助けた。権田の腕っぷしの強さはこんなとき役に立ち、耕太郎に酷い言葉を浴びせる人間を容赦なく背負い投げしたり関節技をきめたりする。そうしているうちに耕太郎も僕たちにすっかり心を許し、友達と呼べる間柄になった。
家の鍬や鋤が壊れたときは、耕太郎が来て修理してくれた。耕太郎は手先が器用でこんなことは得意だった。僕たちがお礼を言うと彼は得意げに、照れくさそうに笑った。
その後耕太郎は権田と交代で僕たちの乗った車を幸の家までニ時間かけて押して運んでくれた。家に戻ったときには日が暮れていて、僕たちが来たのに気づいた幸が家から飛び出してきた。
「遅いから心配してたのよ、あら耕太郎さん久しぶりね」
幸が微笑みかけると耕太郎は真っ赤になった俯いた。
「耕太郎がここまで車を押してくるのを手伝ってくれたんだ」と僕が言うと幸は満面の笑みで「そうなの? 凄いわ!」と褒め耕太郎は照れくさそうに頭をかいた。
松がご飯ができたから皆で食べろというので、耕太郎も一緒に囲炉裏を囲んだ。
「沢山食べてね」と幸に言われた耕太郎は大盛りのご飯を平らげ、家を後にした。
僕と権田は朝晩交代で幸のボディガードをすることにした。耕太郎の話を聞き、幸に何かあってからでは遅い、自分たちで守ってやらねばと思ったのだ。幸がどこかに出かけるときには必ずどちらかがついて行く、何か危険が及んだら命懸けで守ると権田と約束し合っていた。
幸と行動を共にするうちに色んなことが分かった。幸は愛嬌がありお人よしなために村の人々から愛されていて、よく頼まれごとをしていた。また、村の男たちの中には幸に明らかに下心があるであろう輩も数多くいて、僕が幸と一緒に歩いていると敵意と警戒のこもった眼差しを向けられた。
それでも一ヶ月は何もなく平和に過ごしていた。耕太郎と二人で川釣りをしたり、僕と権田と耕太郎の三人で洞窟に集まり酒や食べ物を持ち寄ってどんちゃん騒ぎをしたりもした。時々幸も参加たりした。耕太郎が誰かにいじめられると僕や権田が進んで助けた。権田の腕っぷしの強さはこんなとき役に立ち、耕太郎に酷い言葉を浴びせる人間を容赦なく背負い投げしたり関節技をきめたりする。そうしているうちに耕太郎も僕たちにすっかり心を許し、友達と呼べる間柄になった。
家の鍬や鋤が壊れたときは、耕太郎が来て修理してくれた。耕太郎は手先が器用でこんなことは得意だった。僕たちがお礼を言うと彼は得意げに、照れくさそうに笑った。
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