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スウィーツ・バイキング④

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「あなたは何も悪くないじゃない」

 全てを聞いた後、エイヴェリーは言った。

「確かに人によってはあなたのソラへの返事が冷たく聞こえたかもしれないけれど、私でも同じことをしたと思うわ。それどころか、もっと酷いことを言ってしまったかも。それに、みんなの前で告白する勇気はないわ。振られたら恥ずかしいし、相手だってみんなに見られながらは嫌だと思うもの」

 彼女が私の味方をしてくれたのが嬉しかった。最近本格的に教室に居づらくて、学校にいる時はエメラルドやバンドのメンバー以外誰も味方がいないような感覚だったから。

「クラスメイトだけじゃなく先輩の何人かもソラの味方なのよ。この間呼び出されて、『ソラを傷つけたことを謝れ』って言われたの」

「事情も知らずにそんなこと言うなんて、おかしな話ね。私なら『あなたたちに謝る理由なんてありません』って言っちゃうと思う。それで、あなたは何て返したの?」

「『馬鹿馬鹿しいので謝りません』って」

 エイヴェリーは「ふふっ、あなたらしいわ」と笑った。笑ってくれたのに凄く救われた。

 今まで家でも友達の前でも平気なふりをしていたけれど、知らないうちに心が押しつぶされて疲弊していたんだとこの時初めて気づいた。

「ソラには酷いことをしたと思ってる。私が感じていたよりずっと彼女は傷ついてた。一週間以上学校に来てないし。でも、私は公開告白なんて嫌いなの。何だかゲームみたいだし、見せ物になるみたいで。分からないの、何でソラがそんなことしたのか」 

 ソラを冷たい言い方で突き放した自分自身を、私は許せていないんだと思う。同じくらい、私はソラに対しても怒っていた。お互いの家を行き来するくらい仲の良かった彼女が、どうして私が嫌がるような方法を使って気持ちを伝えたのかが理解できなかった。クラスメイトや先輩たちにも頭に来るけれど、誰よりソラに頭に来ていた。

「その子に悪気はなかったと思うの。あなたのことが大好きで、振り向いて欲しくてそんなやり方をしたのかもしれないわ」

「本当に私のことが好きなら、あんな伝え方しないはずよ」

「逆にあなたが好き過ぎてどうしようもなくて、冷静さを失ってたのかも。みんなの前で告白すれば、付き合ってもらえると思ったんじゃない?」

 エイヴェリーに言われて、確かにと思うことがいくつかあった。

 ソラはよく私に「大好き」と言っていた。後ろから抱きついてきたり、頬にキスをしてきたり、「シエルが男だったらお嫁さんになりたい」なんて言われたこともある。

 だけど全部友達としての冗談だと思って、「ありがとう」と答えて流していた。まさか本気だなんて思わなかった。彼女の大好き=恋愛感情ではなくて友達の好きの最上級系だと思い込んでいたから余計に、あの告白が真剣なものではなく、茶化されたみたいに感じてしまったのかもしれない。

 でも考えてみれば、本気で好きでなければソラが学校に来られないほど落ち込むこともなかったと思うから、エイヴェリーの意見は一理もニ理もある気がする。
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