プラスマイナス

フランスでの日々

　フランスに戻ってからの日々は、慌ただしく過ぎて行った。ケイティと私はゆっくりだが関係を育んでいる。クラスでも誰と誰が付き合った、別れたという噂はしょっちゅう耳にする。私たちは周りのことを気にせず、私たちのペースで付き合えたらいいと思っている。

　ちなみに今度、学校行事のキャンプがあるのが楽しみだ。

　アカリから電話があり、チヒロと別れたと聞いた。チヒロはバッシングによって心を病んで引きこもり、学校を辞めて他県に引っ越したらしい。そのあと、どう言うわけか前よりも頻繁にメールで話すようになり、友人として交流が続いているらしい。

『なんかわかんないけど、今の方が仲良いんだよね。ヤリ目とか言ってたことも問い詰めたら謝られたし。時々相談とか愚痴とか送ってくるし。なんか別人みたいになってやんの』

　きっと今でも、アカリはチヒロを忘れられていないのだと思う。だけど、二人がこうしていい関係を続けられていることに安心した。

　私の方もどういうわけか、赤チェックおじさんと時々LINEで連絡を取り合っている。おじさんはこの頃家庭菜園にハマっているらしい。よく野菜の画像が送られてくる。フランス人の綺麗な人を紹介してほしいと言われたから、学園祭で女装した学長の写真を送ったらしばらく返信が来なくなった。

　チャラ男からも、ケイティの近況を尋ねるメールが届く。ある日、あんまりしつこいからケイティには付き合っている人がいると告げたところ、一週間ほどメールが途絶えたが、その後すっかり立ち直ったかのように『ケイティちゃんに恋人ができようと、俺の愛は変わらない』から始まる、チャラ男にしては長い四千字ほどの手紙が届いた。