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秋葉原
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その三日後、姉の運転する車で秋葉原に向かった。二人並んで後部座席に座った私とケイティは、『鬼滅の刃』というアニメの話で盛り上がっていた。ちなみにケイティは煉獄さん推しで、私は宇髄天元を鬼推ししている。姉は私たちの話には興味0で、ラジオを聴きながら運転を続けている。
「胡蝶さんが義勇さんに毒吐くシーンとか、最高よね」
ケイティが思い出し笑いをする。
「分かる分かる!!」
「レンカは女のキャラなら誰が好き?」
「ねづこかな!」
「私はたまよさん」
高速道路を100キロ越えのスピードで飛ばす姉。私たちの話題は、アニメから学校の話に移り変わる。
「オーシャンって絶対エイヴェリーが好きだよね」
私が言うと、
「分かる分かる」
とケイティが頷く。オーシャンとはクラスメイトのボーイッシュな女子のことだ。エイヴェリーは赤毛のショートヘアで、切長の目でとても綺麗な顔立ちをしている。
「オーシャンの双子の妹、全然雰囲気違うの! 最初見た時びっくりしちゃった」
「そうよね、確かに」
クラスメイト達は元気にしているだろうか。私のいる1年B組は、仲が良いクラスだ。最初はここまでまとまりがあったわけではないが、去年の12月の学校行事の演劇コンペティションで団結が強まった。その演劇コンペの脚本を書いたのはケイティだった。当日の授賞式で脚本賞を受賞した彼女は、その後も慢心せずに脚本を書き続け、フランスの脚本コンクールの高校生部門で見事グランプリに輝いた。
ケイティを好きになった理由は、今となっては分からない。才能かもしれないし、性格かもしれないし、優しい雰囲気かもしれないし、笑顔かもしれないし、見た目かもしれない。彼女と話していると楽しくて、気持ちが安らいだからかもしれない。もう、何がきっかけかなんてどうだって良かった。気づいたら彼女のことが気になっていた。いつの間にか、彼女と会うのが楽しみで学校に行くようになっていた。彼女が休みの日の私はまるで、水を失った魚のようだった。
「ケイティがいないと元気ないね」
演劇コンペが近づいた十二月のある日、友人のメグから指摘された。その日、ケイティは風邪をひいて休みだった。メグは天然でぼーっとしているようで、時々鋭いのだ。私はケイティのことが気になっているのだとメグに打ち明けた。
「そうだと思った」
そう言って友人は微笑んだ。
「胡蝶さんが義勇さんに毒吐くシーンとか、最高よね」
ケイティが思い出し笑いをする。
「分かる分かる!!」
「レンカは女のキャラなら誰が好き?」
「ねづこかな!」
「私はたまよさん」
高速道路を100キロ越えのスピードで飛ばす姉。私たちの話題は、アニメから学校の話に移り変わる。
「オーシャンって絶対エイヴェリーが好きだよね」
私が言うと、
「分かる分かる」
とケイティが頷く。オーシャンとはクラスメイトのボーイッシュな女子のことだ。エイヴェリーは赤毛のショートヘアで、切長の目でとても綺麗な顔立ちをしている。
「オーシャンの双子の妹、全然雰囲気違うの! 最初見た時びっくりしちゃった」
「そうよね、確かに」
クラスメイト達は元気にしているだろうか。私のいる1年B組は、仲が良いクラスだ。最初はここまでまとまりがあったわけではないが、去年の12月の学校行事の演劇コンペティションで団結が強まった。その演劇コンペの脚本を書いたのはケイティだった。当日の授賞式で脚本賞を受賞した彼女は、その後も慢心せずに脚本を書き続け、フランスの脚本コンクールの高校生部門で見事グランプリに輝いた。
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「ケイティがいないと元気ないね」
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「そうだと思った」
そう言って友人は微笑んだ。
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