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買い物
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その日はミコトと買い物に行く予定だった。ケイティは母の買い物に付き合うというので、私は準備をしてミコトの家に向かった。
ミコトの家の前まで来た時、中から激しい口論の声が聞こえてきて一瞬脚がすくんだ。ミコトと彼女のお母さんの声ーー。一体何があったのだろう。一度出直した方がいいだろうかと考えていた時、憤りに満ちた表情のミコトが家から出てきた。
「ミコト、大丈夫?」
「ああうん、いつものことだから」
と言いつつ憮然とした表情のミコトは、ジーンズのポケットに両手を突っ込み一つため息をついた。
「母さん、私に女らしい格好しろってうるさいんだよ。別に良いだろっての」
苛立たしそうに短めの髪をかき上げるミコト。彼女は母親と関係がうまく行っていない。彼女の母は私服や生活態度、言動などあらゆることに女らしさを過剰に要求してくるため、ミコトと意見がぶつかることが多いようだ。それに比べたら私の母親は、かなり寛容だ。
「私さ、誰かに指図されんのとか嫌いなんだよね。特に親から女らしくしろとか言われんのとか、ストレスでしかない。それってスタイルを否定してるってことじゃん? 生き方を否定されてるみたいで、マジで不快」
ミコトの言いたいことは理解できる。私だって自分の着たいものや行動なんかにいちいち口を出されるのは嫌だ。それは個人の自由だと思うし、他人があれこれ言うことではない。だけど、そういう他人の好みや在り方自体に干渉したくなる人間が一定数いることも理解している。彼らは悪気はないのだ。相手のためを思って言っているのだろうけれど、言われた本人としては自分自身を否定されたみたいで、相手が感じている以上に傷つくのだ。
「私はミコトの私服はカッコいいと思うし、凄く似合ってて素敵だと思うよ」
「ありがと。やっぱレンカは最高の友達だわ」
ミコトの笑顔が見れたことにほっとしながら、私たちは肩を並べてバス停に向かった。ミコトは私よりも五センチくらい背が高い。彼女と歩いているとまるでカップルみたいだと、前に友達から冷やかされたことがある。
ミコトの家の前まで来た時、中から激しい口論の声が聞こえてきて一瞬脚がすくんだ。ミコトと彼女のお母さんの声ーー。一体何があったのだろう。一度出直した方がいいだろうかと考えていた時、憤りに満ちた表情のミコトが家から出てきた。
「ミコト、大丈夫?」
「ああうん、いつものことだから」
と言いつつ憮然とした表情のミコトは、ジーンズのポケットに両手を突っ込み一つため息をついた。
「母さん、私に女らしい格好しろってうるさいんだよ。別に良いだろっての」
苛立たしそうに短めの髪をかき上げるミコト。彼女は母親と関係がうまく行っていない。彼女の母は私服や生活態度、言動などあらゆることに女らしさを過剰に要求してくるため、ミコトと意見がぶつかることが多いようだ。それに比べたら私の母親は、かなり寛容だ。
「私さ、誰かに指図されんのとか嫌いなんだよね。特に親から女らしくしろとか言われんのとか、ストレスでしかない。それってスタイルを否定してるってことじゃん? 生き方を否定されてるみたいで、マジで不快」
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