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第35通 郵便屋さんの一大イベント。元旦出発式〜 大爆笑!クス玉事件〜

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さて、前回は突然の衆議院議員総選挙が始まったので急遽選挙郵便についてお話しました。
今回は本題に戻りましょう。

ついに迎えた1月1日元旦。
年賀状配達出発の前に出発式というものがあります。
今回はその出発式に起こった冗談の様な本当のお話をお送りします。

さて、郵便屋さんになって初めての年賀状配達の出発式。
もうすでに出発式が行われる発着場広場には年賀状配達に向かう無数の自転車とその横には高校生バイトが整列されており、今か今かと出発式を待ちます。

去年の今頃は俺も自転車の横に立って出発式を迎えたなあ。
今年は職員で出発式を迎えるのかあ。と、ドキドキしてます。
すると何か見慣れない物が発着場出入り口にあります。

高さ2メートルは超える大きな煌びやかな木枠が立っていて、その中に大きな金色のミラーボールの様な物がぶら下がってる?
「なんですか?アレ?」と先輩にきいてみると。
「なんか、総務課が今年は気合い入れてクス玉を作ったって言ってたわ」
「クス玉ですか!?」

世はバブル、ジュリアナトーキョー!な時代にクス玉作った??
昭和じゃあるまいし、テレビのバラエティーやクイズ番組でも最近見ないぞ??
なんかの冗談?と思いました。
が、総務課の方々は結構本気で作ってたみたいです。
このクス玉を郵便局長の挨拶の後に集配課長が紐を引っ張って割るそうなんですが…

勘のいい人はもう気づきましたよね?
はい。そうなんです。
割れないんですよ、このクス玉が。

郵便局長様のありがたいご挨拶が終わると、今度は集配課長の挨拶が始まります。
殆ど同じ内容の挨拶?と思いながら寒い寒い中、体を震わせながら、冷たい手をゴシゴシと暖めながら聴きます。

挨拶が終わると「では、新年をお祝いしまして、クス玉を割りたいと思います!
では、集配課長どうぞ!」の掛け声と同時に得意げに紐を引っ張っる課長。

ビンッッッ

ん?割れないぞ?

慌てて何度も紐を引っ張る課長。
ざわめく配達員。

「おいおい♪割れねーじゃねーか?」と面白がって笑い出す先輩達。
私も笑いを堪えるのに必死です。

課長も必死になって何度も引っ張り続けると…

ブツンッッッ!!

なんと紐がクス玉の根本から切れたのです!
木枠に吊り下がってる紐が無いクス玉を唖然と見上げる課長に周りは気まずいやら面白いやらで笑いを堪えるのに必死です。
これは不味いと、今度は総務課の方がほうきの柄でドンドンとクス玉を突つくと少しずつクス玉が開いてきます。
お?あと少しでクス玉が割れそう?
と、思った瞬間!!
大きく揺れたクス玉は木枠にくくりつけていた糸が根本から切れ、真っ逆様に落下!!
ボトンッッッ!!と大きな音と共に地面に落ちてパカッと見事に割れたクス玉の中から今度はだらしなさそうに『あけましておめでとうございます』と書かれた垂れ幕が飛び出しました。

この一連の光景についに配達員全員、我慢できずに大爆笑!!
「ワハハハハハハハハッッッ!!!!
なんだこれ!?コントか!?
こんなところで初笑いさせるなよ!
ギャハハハハハハハハハッッッ!!」
出発式会場は笑いの渦に包まれたのでした。

それから数年間、この割れないクス玉がA郵便局の正月の風物詩になります。
翌年も相変わらず開かないんですね。これが。
で、総務課の方が棒で突いて開く。
さらに次の年では集配課長が紐を引くと片方は開くのですが、もう片方は閉じたまま。
それを総務課長が棒で突いて開く。
そういったやり取りが数年間続き、ある年に無事にクス玉が綺麗に割れたのが最後に、そのクス玉は姿を消しました。

そして時は流れ、私が三十代の頃に備品を探しに物置室を見に行った時、ひっそりとそのクス玉が置かれてありました。

うわあ懐かしいなあ。
毎年このクス玉には笑わせてもらったっけ?

あれから何年経ったでしょうか?今でも思い出すと笑えてくるクス玉事件は私の大好きな思い出です。



今回もご愛読いただきありがとうございました。
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