上 下
19 / 39

第19通 郵便屋さんの一大イベント。年末繁忙期編5 〜恐怖の13連勤〜

しおりを挟む
さて、12月の半ばになると新しい勤務表が出ました。
勤務表は4週間を1勤務として作られます。カレンダーの様な物の日付の欄に日2とか中2とか非とか書かれています。
説明しますと、
日2は日勤。
この頃は8時出勤ですね。
中2は中勤。
11時から19時45分までの勤務で仕事の後半は夕方からの便(3号便といいます。)を走ります。
非は非番。
お休みの事ですね。
あと、週休の週。
祝日の祝。
と、いった表記がそのカレンダーに書かれています。

今回の勤務表では1月の第1週終わりまでの4週間分が記載されています。
先輩達が、年末年始は休みが無いぞーと脅かすものだからドキドキしながらその勤務表を見ると。

あれ?
普通に非番、週休と12月23日は天皇誕生日で祝日なのでその日も祝の記入がしてあるよ!
やった!なんだ、びびらせやがって。
先輩達も人が悪いなあ。
と、思って勤務表を見てると…
各休みの欄に「广」の記入があります。

なんだこれ?

「あー。それなあ廃休の廃のマークや」
「廃休…ですか?」廃休ってなんだろ??
「そう。休み買取りや。お前、こんなに年末に休めるわけないやろう?
こんなに休んでたら仕事進まんやろ?」

「え?て、いう事は…」と、1月2日の非番日までの連勤日を数えると…

13日…
13日ーッッッ!?

「まあ、それだけ金が付くで良いやろ?
あと、年末年始で繁忙期手当が付くから超勤代もいつもより割り増しになるぞ。
お前、給料安いんやから年末年始で稼がなあかんで!」

え~ッッッ!!

そうなんです。まさかの13日連勤が待ち構えてるとは思いもしませんでした。

今では最長でも10日程の連勤になる様に勤務指定するようになっていますが、この時代はこれが当たり前でした。

書き忘れましたが、この頃はまだ完全週休2日制ではなく1勤務4週間の内3週間は非番日があり週休2日なんですが、1週間は非番日が無く、6日間出勤なんです。
そこで、職員の先輩達はその未非番日週に年休を入れて年休消化の週にしていました。
しかし入局したばかりの私にはまだ使える年休が無いため、その週は涙の6日間出勤になるわけです。
ただ、郵便局も翌年の4月から完全週休2日制になり、涙の6日間出勤を経験するのは数ヶ月だけでした。

「お前、ラッキーやのお~」
と、ニヤリと笑う先輩の残念がる声が懐かしく頭に残ってます。

さてさて、こうして地獄の13日連続出勤が始まるのです。

余談ですが。
世間一般で完全週休二日制が浸透し、「華金」という言葉が生まれたのはこの頃です。
まあ、この時代の集配課は貯金、保険課や窓口業務、そして世間一般の様に土日連休では無くて、非番、週休が不確定。
勤務によっては土曜日、日曜日も出勤なので「華金」という言葉には縁が無いんですけどね。
現在の郵便屋さんは通常郵便の配達は土曜日、日曜日もお休みなので「華金」という言葉が使えそうですね。
その言葉が使える様になるまで私が郵便屋さんになってから約30年程掛かりましたが。

さて、初めての13連勤の年末繁忙期を郵便屋さんになったばかりの若者はどう乗り越えるのか?
お楽しみください。

今回もご愛読いただきありがとうございました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

B型の、B型による、B型に困っている人の為の説明書

メカ
エッセイ・ノンフィクション
「あいつB型っしょ、まじ分からん。」 「やっぱ!?B型でしょ?だと思った。」 「あぁ~、B型ね。」 いやいや、ちょっと待ってくださいよ。 何でもB型で片付けるなよ!? だが、あえて言おう!B型であると!!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

くろいやつのくろいつらつらですわ~

黒幸
エッセイ・ノンフィクション
くろいゆきという謎生物がつらつらとしたものを書き連ねていくだけですですわ~。 日記は三日坊主になるので不定期更新になると思われたら、毎日、更新してますわね。 不思議ですわ~。 6/4現在、何を思い立ったのか、急にお嬢様言葉で書き綴ることになりましてよ。 6/8現在、一話からお嬢様言葉に変換中ですわ~! そして、短編から長編に変えておきました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

発達障害の長男と母としての私

遥彼方
エッセイ・ノンフィクション
発達障害の長男と母としての私の関わり方の記録というか、私なりの子育てについて、語ろうと思います。 ただし、私は専門家でもなんでもありません。 私は私の息子の専門家なだけです。心理学とか、医学の知識もありません。きっと正しくないことも語るでしょう。 うちの子とは症状が違うから、参考になんてならない方も沢山いらっしゃるでしょう。というよりも、症状は一人一人違うのだから、違うのは当たり前です。 ですからあなたは、あなたのお子さんなり、ご家族の方の専門家になって下さい。 願わくば、その切っ掛けになりますよう。 ※私の実際の経験と、私の主観をつらつらと書くので、あまり纏まりがないエッセイかもしれません。 2018年現在、長男は中学3年、次男小6年、三男小4年です。 発達障害だと発覚した頃は、長男3歳、次男6カ月、三男はまだ産まれていません。 本作は2017年に、小説家になろうに掲載していたものを転記しました。 こちらでは、2018年10月10日に完結。

絶対に笑える作者の日常・爆笑した話集

湯川仁美
エッセイ・ノンフィクション
作者:湯川梨乃(32歳) 職業・小学校保健室勤務。 見かけは派手だが、中身は超絶真面目で堅物人間。 夫:湯川総一郎(35歳) 職業・大手会社員の若手管理職。 日本有数の高級住宅街で生まれ、育ったお坊ちゃま。 そんな夫婦を中心に起こる日常の爆笑話。 ※名前、年齢、登場人物の年齢や名前はもちろん仮名ですが設定や内容は事実です。

処理中です...