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第8章 無駄な経費削減編

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「おい、夏維!」

三人で話しているところにズカズカと佐嶽が恐ろしい剣幕でやってくる。

「お前はウチの隊の軍師だろうが。なんで文官の味方してんだ」
「隊長が壊しまくってて困ってたのは晏寿ちゃんもおれも一緒だよ」
「じゃあなんでお前の母ちゃん連れてくるんだよ」
「使えるものは何でも使わなきゃ。じゃなきゃ戦場じゃ生き残れない。それに隊長の苦手なのはウチの両親ってわかってるんだから、使わない理由はないよね」

聞き方によっては親を利用する息子に聞こえ、晏寿は隣りの水蓮をちらりと見るが特に気にした様子もなく二人を見ている。

ただ見ているのだ。

我が子が大丈夫だろうかとか、助太刀しようかとかが一切感じられない、感情もなく本当に見ているだけ。

晏寿のほうがひやひやしながら二人のやりとりを見ていた。

「そもそも夏維は親の何とか光で」
「七光りね」
「その光でこの隊に入れたわけで、お前自身に価値があるかどうかなんて」
「この間の国境での城攻め、籠城戦する相手の攻め方考えたのは誰?隊長は目の前の門から突破しようとしてたけど、結局隊員に無駄な怪我をさせて時間がかかっちゃったじゃん。
その後おれが考えて行った兵糧潰しに水攻め。これで国境付近で無駄な血を流すことなく降伏に導いたけど、どっちの策が良かったかは明確だよね」
「う、ぐっ、でもよ!あれは天気が雨ってことがなきゃ」
「軍師たるもの天候くらい読むよ」
「俺たちは誇り高き武官が刀も振るわずに戦場を終えるなんて」
「結果として多く残ってるほうが勝ちなんだよ。流した血や汗の量で評価は難しい。隊長が考えられないから、難しいこと考えるのがおれの仕事だろ!」

「隊長一人で武功をあげたければ、一人で先陣切って討死にしても結構!けど何百という武官の命を預かっているというのを忘れないこと!隊長はこの何百人の命を預かってんだから!」と14歳とは思えぬ台詞であっという間に佐嶽を論破してしまう。

思わず拍手をしてしまいそうになる晏寿の横で水蓮は満足気に口角を上げていた。


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