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第7章 晏寿の奮闘編

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遅めの昼食をとりながら、秀英と景雲は晏寿の話を聞いていた。

「それでね、斉将軍から許可をもらったから明日も押し掛けようと思って」
「初めは目的から外れていたからどうなるのかと思ったが、まさか将軍直々に許可を取り付けるとはな」 

耳は晏寿の話を聞き、口はもぐもぐと動かし目の前の皿を空にしていく。

「一つ怪しいのが調理場なの。どうしても仕入れと出来上がった食事が噛み合わなくて。仕入れ通りの品であれば、もっと沢山の食事が作れるわ」
「それは調理を経験している晏寿だから気づく点ではないのか?」
「私の経験が活かせるのであれば、なお私が動かなきゃ」

食べながら仕事の話をする秀英と晏寿に対し、景雲は少し距離を置き傍観していた。

「景雲は、あれ?なんでそんな離れているの?」

晏寿が景雲に話を振ってようやく距離があることに気づいた。
景雲は呆れたように二人を見やる。

「俺は飯のときくらい、仕事以外の話がしたい。だがこれは俺の我儘だからな距離を置くことにしたんだよ」

「俺はお前達のような仕事人間ではない」と付け加えて、箸休めをボリボリと食べていた。
景雲の様子に晏寿と秀英はきょとんとする。同じ表情の二人に呆れていた景雲は噴き出してしまったのだった。


翌日、晏寿は武官の料理を作る所を訪れていた。そこでも晏寿は驚くこととなる。

「え…食材はこれだけですか?」

武官用に用意されていた食材は武官の半分の人数分程しかなく、全員分を賄える量ではなかった。

「これだけの食材を用意する分しか金は渡されてないな。邪魔だからとっとと帰んな」
「あ、ちょっ…!」

あからさまに除け者扱いを受け、すぐに調理場から追い出されてしまった晏寿。
大きな音を立てて扉も閉められてしまった。

「おかしい…」

晏寿は呟くと、そのまま財務を担当している部署へと足を運んだ。

「すみません、武官用に供給されている食糧の費用についてお尋ねしたいんですけど」
「ん?そんなもの聞いてどうするんだ?」

近くにいた文官が首を傾げながら尋ねる。
晏寿は今しがた見てきたことを説明し、資金の割り振りを確認した。

「やっぱり…この金額なら倍は用意できるはず。どこかに流れているんだわ」

晏寿の呟きを聞いていた文官は、「そういえば」と思い出したことを語った。

「今の調理担当になってから、食べるものが粗末になったって知り合いの武官がぼやいていたよ。前の担当のほうが料理が美味かったって言っていたな」
「そうなんですね…これが仕入れた食材の一覧なんですけど、金額も量もおかしいんです」
「本当だな。天候の影響で仕入れ値は確かに変動はするが、これは酷い」

話しかけた相手が話のわかる文官で、晏寿の意見をすんなりと聞きいれてくれた。少しの違和感を晏寿は感じ、思わず聞いてしまった。
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