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第4章 後宮潜入編
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後日、秀英と景雲の文は楓茗を介して晏寿の元へと渡った。
「へぇ~、二人とも頑張ってるんだ」
「何読んでるの?」
自室で文を読んでいた晏寿であったが、そこには京雅の姿もあった。
京雅は暇な時間はほとんど晏寿の所にいた。
最初の頃は晏寿も「何故」と思っていたが、毎日だと慣れてしまった。
「これは友人からの文です」
「友人?」
「はい、簡単な近況報告です」
京雅はしみじみと晏寿と文を見つめ、ぽつりと呟いた。
「その友人って女…?」
「え?」
「その文の相手って女?男?」
「男の方ですけど…」
男と知ると京雅は口を尖らせ、あからさまに機嫌が悪くなった。いきなりの京雅の態度に晏寿は戸惑ってしまう。
「安里は僕っていう旦那さんがいるのに違う男と連絡を取り合ってるんだ?僕には安里だけなのに」
「いや、まだ取り合ってはないです。それに、相手とは疑われるような関係ではないですし…」
「未遂でも、嫌なものは嫌だ」
「えぇ…」
このあと京雅の機嫌が直ることはなく、晏寿は文を京雅の前では読むことはできなかった。
「楓茗、どう思う?京雅様が文だけで機嫌が悪くなるだなんて…」
「良いことではありませんか?それは嫉妬でしょう?」
寝る支度を楓茗にしてもらっているときに昼間の京雅の態度について晏寿は話していた。髪を梳きながら、楓茗は晏寿に返答している。
「嫉妬…でも、文の相手は仕事仲間であってそれ以上の関係ではないし」
「安里様の近しい男性の存在が気に食わないのでしょう。殿下のお心が安里様に向いていて、良いことではありませんか」
「そうなのかなぁ…」
晏寿は京雅と親しくなっていくにつれて京雅のことを騙しているのではないかという気持ちになっていた。この関係には終わりがある。
だからこそ、だんだんと晏寿は京雅へと素直になれなくなっていたのだった。
「安里」
大体の寝る支度が終わった頃、京雅が晏寿の寝室にやってきた。京雅が来たら、楓茗は一礼して退出した。
「本日もお疲れ様でした」
「うん」
そう言って京雅は椅子に腰かける。晏寿はすかさずお茶を出した。京雅は嬉しそうに茶に手をつけた。
「そうだ。安里、まさか文に返事なんて書いてないよね」
「書いてないですよ。あれからほとんど京雅様は私の傍にいらして、全く隙を与えなかったじゃないですか」
「でも少し離れてる時間もあったから」
「あんな短時間じゃ書けませんよ…」
ついため息をつきそうになった。
これでは束縛ではないか。
そもそも今まで人に関心のなかった京雅がここまで自分に固執するとも思ってなかった晏寿。
だから少しでも慈しむ気持ちが生まれればという気持ちであった。
すると晏寿が色々模索している間に京雅が口を開いた。
「僕と安里は夫婦だよ。だから他の男のことを考えられるのは嫌なんだ。安里は僕だけの安里でいて?」
「でも」
「ある書物で読んだんだ」
安里の発言を遮るように話し続ける。
「ある男とある女が恋して、愛し合って、夫婦になった。僕は恋も愛もわかんないけど、安里と夫婦だ。僕は安里のことが好きだし、大事だし、必要。安里とずっと一緒にいたいって思う。こう思うことが『愛しい』ってことも書いてあった。
だから僕は安里のことを愛してる」
「へぇ~、二人とも頑張ってるんだ」
「何読んでるの?」
自室で文を読んでいた晏寿であったが、そこには京雅の姿もあった。
京雅は暇な時間はほとんど晏寿の所にいた。
最初の頃は晏寿も「何故」と思っていたが、毎日だと慣れてしまった。
「これは友人からの文です」
「友人?」
「はい、簡単な近況報告です」
京雅はしみじみと晏寿と文を見つめ、ぽつりと呟いた。
「その友人って女…?」
「え?」
「その文の相手って女?男?」
「男の方ですけど…」
男と知ると京雅は口を尖らせ、あからさまに機嫌が悪くなった。いきなりの京雅の態度に晏寿は戸惑ってしまう。
「安里は僕っていう旦那さんがいるのに違う男と連絡を取り合ってるんだ?僕には安里だけなのに」
「いや、まだ取り合ってはないです。それに、相手とは疑われるような関係ではないですし…」
「未遂でも、嫌なものは嫌だ」
「えぇ…」
このあと京雅の機嫌が直ることはなく、晏寿は文を京雅の前では読むことはできなかった。
「楓茗、どう思う?京雅様が文だけで機嫌が悪くなるだなんて…」
「良いことではありませんか?それは嫉妬でしょう?」
寝る支度を楓茗にしてもらっているときに昼間の京雅の態度について晏寿は話していた。髪を梳きながら、楓茗は晏寿に返答している。
「嫉妬…でも、文の相手は仕事仲間であってそれ以上の関係ではないし」
「安里様の近しい男性の存在が気に食わないのでしょう。殿下のお心が安里様に向いていて、良いことではありませんか」
「そうなのかなぁ…」
晏寿は京雅と親しくなっていくにつれて京雅のことを騙しているのではないかという気持ちになっていた。この関係には終わりがある。
だからこそ、だんだんと晏寿は京雅へと素直になれなくなっていたのだった。
「安里」
大体の寝る支度が終わった頃、京雅が晏寿の寝室にやってきた。京雅が来たら、楓茗は一礼して退出した。
「本日もお疲れ様でした」
「うん」
そう言って京雅は椅子に腰かける。晏寿はすかさずお茶を出した。京雅は嬉しそうに茶に手をつけた。
「そうだ。安里、まさか文に返事なんて書いてないよね」
「書いてないですよ。あれからほとんど京雅様は私の傍にいらして、全く隙を与えなかったじゃないですか」
「でも少し離れてる時間もあったから」
「あんな短時間じゃ書けませんよ…」
ついため息をつきそうになった。
これでは束縛ではないか。
そもそも今まで人に関心のなかった京雅がここまで自分に固執するとも思ってなかった晏寿。
だから少しでも慈しむ気持ちが生まれればという気持ちであった。
すると晏寿が色々模索している間に京雅が口を開いた。
「僕と安里は夫婦だよ。だから他の男のことを考えられるのは嫌なんだ。安里は僕だけの安里でいて?」
「でも」
「ある書物で読んだんだ」
安里の発言を遮るように話し続ける。
「ある男とある女が恋して、愛し合って、夫婦になった。僕は恋も愛もわかんないけど、安里と夫婦だ。僕は安里のことが好きだし、大事だし、必要。安里とずっと一緒にいたいって思う。こう思うことが『愛しい』ってことも書いてあった。
だから僕は安里のことを愛してる」
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