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第4章 後宮潜入編
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初対面と入内を終えた晏寿は翌日から京雅と時間を共にすることが増えた。
一日目でわかったことは、京雅が世間一般のことを何も知っていないということだった。
殿下ともあろう人が教育を受けていないわけがないので晏寿が京雅に問い詰めたところ、
「サボっていた」
という返答だったので、晏寿は呆れて何も言えなかった。
そこで晏寿は毎日京雅と勉強する時間を設けた。
「ん~わかんないし、飽きちゃった」
京雅の集中力は短く、すぐに勉強を放棄しようとする。
その度に晏寿は京雅に気付かれないようにため息をついた。
「ならこの問いを解いたら休憩にしましょう」
そう言って問題を見せる。
それをやる気のなさそうに眺める京雅。
少しの間問題と睨めっこしたのち、筆を動かし始めた。
さらさらと紙の上を流れる筆。
横から見ていた晏寿はその字がとても優雅なものだったので、改めて育ちの良さを感じた。
「はい」
「ありがとうごさいます」
解答を受け取ると、そこには目を疑うような解答が書かれていた。
「『国が財政難になった場合、どのような対策をとるか』という問題で、どうして賄賂という選択肢が出てくるんですか!?」
「え?だって貴族の人達、お金持ってるし」
「賄賂は不正行為です!」
「なんで?」
「王が特定の貴族から賄賂をもらったら、その一族は他の貴族よりも力を持ちその権力を振りかざす可能性があるからです。
場合によっては王自身も危険な目に遭うかもしれません」
「へぇ~」
「…約束でしたから、休憩にしましょうか」
「うん」
晏寿の口から休憩という言葉が出てくるのを待っていたようで、すぐに机の上を片づけ始めた。
それを見て、またため息が出そうになったが何とか収めてお茶の用意に向かった。
晏寿はお茶とお手製の茶菓子を京雅に出した。
嬉しそうに京雅はお茶と茶菓子に手をつける。
「おいしー」
「ありがとうございます」
「どうして安里がお礼を言うの?」
「私が用意しましたから」
「へ?」
晏寿の発言にきょとんとなる京雅。
最近同じような反応をされたなと、ぼんやりと思った。
「侍女は?」
「お茶くらい私が準備できます」
「安里が?」
「ちなみにその団子も作りました」
京雅は言葉もなく手にしていた団子を見た。
今までもお茶や菓子の用意を晏寿がしていたのだが、今まで京雅の関心に引っかかることはなかった。
今日偶然気になったらしい。
「安里」
「なんでしょうか」
「饅頭も作れる?」
「できますよ。一昨日に出した饅頭はおいしくなかったですか?」
「ううん。おいしかったし、また食べたいなって思ってた。ねぇ、明日作ってくれる?」
「京雅様がこのあとの勉強を頑張ってくださったらお約束します」
「…わかった、頑張る」
しばらく考え込み、結局饅頭に負けた京雅。
その様子に思わず晏寿は苦笑したのだった。
一日目でわかったことは、京雅が世間一般のことを何も知っていないということだった。
殿下ともあろう人が教育を受けていないわけがないので晏寿が京雅に問い詰めたところ、
「サボっていた」
という返答だったので、晏寿は呆れて何も言えなかった。
そこで晏寿は毎日京雅と勉強する時間を設けた。
「ん~わかんないし、飽きちゃった」
京雅の集中力は短く、すぐに勉強を放棄しようとする。
その度に晏寿は京雅に気付かれないようにため息をついた。
「ならこの問いを解いたら休憩にしましょう」
そう言って問題を見せる。
それをやる気のなさそうに眺める京雅。
少しの間問題と睨めっこしたのち、筆を動かし始めた。
さらさらと紙の上を流れる筆。
横から見ていた晏寿はその字がとても優雅なものだったので、改めて育ちの良さを感じた。
「はい」
「ありがとうごさいます」
解答を受け取ると、そこには目を疑うような解答が書かれていた。
「『国が財政難になった場合、どのような対策をとるか』という問題で、どうして賄賂という選択肢が出てくるんですか!?」
「え?だって貴族の人達、お金持ってるし」
「賄賂は不正行為です!」
「なんで?」
「王が特定の貴族から賄賂をもらったら、その一族は他の貴族よりも力を持ちその権力を振りかざす可能性があるからです。
場合によっては王自身も危険な目に遭うかもしれません」
「へぇ~」
「…約束でしたから、休憩にしましょうか」
「うん」
晏寿の口から休憩という言葉が出てくるのを待っていたようで、すぐに机の上を片づけ始めた。
それを見て、またため息が出そうになったが何とか収めてお茶の用意に向かった。
晏寿はお茶とお手製の茶菓子を京雅に出した。
嬉しそうに京雅はお茶と茶菓子に手をつける。
「おいしー」
「ありがとうございます」
「どうして安里がお礼を言うの?」
「私が用意しましたから」
「へ?」
晏寿の発言にきょとんとなる京雅。
最近同じような反応をされたなと、ぼんやりと思った。
「侍女は?」
「お茶くらい私が準備できます」
「安里が?」
「ちなみにその団子も作りました」
京雅は言葉もなく手にしていた団子を見た。
今までもお茶や菓子の用意を晏寿がしていたのだが、今まで京雅の関心に引っかかることはなかった。
今日偶然気になったらしい。
「安里」
「なんでしょうか」
「饅頭も作れる?」
「できますよ。一昨日に出した饅頭はおいしくなかったですか?」
「ううん。おいしかったし、また食べたいなって思ってた。ねぇ、明日作ってくれる?」
「京雅様がこのあとの勉強を頑張ってくださったらお約束します」
「…わかった、頑張る」
しばらく考え込み、結局饅頭に負けた京雅。
その様子に思わず晏寿は苦笑したのだった。
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