白薔薇の紋章

サクラ

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帰り道

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「変な女だよな」


「誰がだ?」


「誰がって、珠姫だよ!全然この村のこととか知らないでさ、よく来たよなこんな何もないところに、何の疑いもなく」


歓迎会という名の鍋パーティーを終えたオレと蛍は互いの家までの道のりをぶらぶら歩いていた。


家も近いし、同じ年ということもあって
蛍とつるむことは多い。
村を出ないことが条件で、それさえ守れば好き勝手していいという理事長の言葉どおり
オレは自由に生きている。
可愛い女に言い寄られれば適当に付き合うし、嫌になれば別れるの繰り返し。

それとは反対に、本を読むのが好きで
基本大人しい蛍は、女に人気があるくせに
誰とも付き合ったりはしない。

性格は正反対、だけどウマが合うのかオレ達はずっと一緒にいる。
蓮や倫とも幼馴染だけど
腹を割って話せるのは蛍だけだ。


「そこが、珠姫のいいところなんじゃないのか?」


「いいところねぇ。色気もねーし、けんかっ早いし、しかも暴力的だし…あえていいところ挙げるなら、メシを作るのがうまいところくらいじゃね?」


あとは、順応性が高いところか?
普通だったらなかなか受け入れられないだろ。
自分が白薔薇姫の正統継承者とか、刀を守らなきゃとか、鬼の封印とか。
関係ない世界からきたらなおさらじゃねーの?

オレ達にとっては普通のことでも
珠姫にしてみりゃ、異世界の話だろどう考えても。
それをよくまあ、あっさりと受け入れたもんだ。
いや、実際に受け入れたのかはわかんねーけど
オレ達の話を疑っていないんだから、受け入れたと同じだろ。

だいたい、オレにときめかない女がいること事態が驚きだっつーの!
あぁ、倫もオレにはときめいてないな。
あいつとは小さいころから一緒にいるから、そんな感情沸いても困るけどよ。


「戒が気にかけるなんて珍しいな。付き合っていた彼女も別れた途端に他人って言ってるのに」


「バッカ言ってんじゃねーよ!それはだな!オレは四霊として、白薔薇姫を気にかけているだけで!誰が女としてあいつのことなんて!」


「何も、女として気にかけているなんていった覚えはないけれど?」


「おまえっ!」


してやったり顔で笑う蛍に「うるせー!」と叫んで走り出す。

それに続いて蛍も走り出した。
後ろで小さく笑っている声が聞こえる。


くそ!別にそんなんじゃない!
気にかけるのは白薔薇姫だから!
それだけだ!

誰があんな色気もなくてけんかっ早くて暴力的で
いいところなんて飯がうまいところだけで…

顔は、まあかわいいほうだと思うけど。
って!何を考えてるんだ俺は!


くそ、なんでオレがあんな女のせいで
こんなにドキドキしなきゃなんねぇんだよ!
あしたあったら覚えていろよ!

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